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第73回
せっかちな私と敬遠
「どうなることか?」と気になっていた、大リーグ機構(MLB)提案の"投球なしの敬遠"を選手会が受け入れました。大リーグは今季から打者を敬遠する場合は、監督が球審に合図して、打者を歩かせます。目的は試合時間の短縮、これで4球投げるのに要した約1分の短縮といいます。
選手時代の私は、敬遠されるのが大嫌いでした。「怖いバッターだから敬して遠ざける。」相手が敬意を表しているのですから、自尊心が刺激されて悪い気はしない...。とんでもない、冗談ではありません。ファンは私が歩いても喜んでくれないし、私も全然面白くない。
性格はせっかちで野球では攻撃型の人間ですから、多少のボールは体が自然に打ちに行ってしまいます。敬遠球やウエストボール(捨て球)を安打にしたり、ホームランにしたりもしました。ただし公式スコアカードには打ったボールが敬遠球だったかどうかは記録されません。観ていたファンや野球記者の"判定"の伝説の世界の記録というのが、自分でも痛快です。
敬遠に「勝負しろ」と無言の抗議でバットを持たずに打席に立ったりもしました。とにかく、敬遠であろうと普通の四球であろうと、私は「歩く」のが嫌でした。

想定外のドラマと人間味
「長嶋は四球に弱い」と評した記録記者がいました。何のことかと思っていたら、四球が2個以上続いた次の打席の私の終身打率は、64打数11安打(3本塁打)、打率1割7分2厘と、その"記録の神様"と呼ばれた記者からデータを突き付けられたものです。グーの音も出ませんでした。歩かされると、腹を立てイライラしてしまうんですね。
一方で、敬遠のボール球を投げにくそうにする投手がいます。暴投、けん制悪送球、ボークも起こります。カットされる1分に詰まっていた予期せぬ出来事、想定外のドラマは、完全に消えてしまいます。
投球なしの敬遠論争が始まったときのイチローの鋭い評を新聞で読みました。「これでは、ホームランを打った打者はベースを回らなくていい、ということになりかねない」。
あまりに合理的に効率的にと物事を進めるとゲームから人間味が失われてしまいます。社会生活でもそうでしょう。残業なし、プレミアム・フライデーなどの政策は、過重な働きから人間味を取り戻す試みではありませんか。
投球なし敬遠は『オフィシャル・ベースボール・ルール=公認野球規則』の変更です。日本球界は、大リーグのルール変更に1年遅れで対応してきましたが、投球なし敬遠を来年から取り入れるのか?注目ですね。

4位予想のWBC日本代表への期待
注目となるとワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。正直に言えば、ちょっと期待のボルテージがさがりました。大谷(翔平)が右足首の故障で欠場になったからです。
大谷に会ったとき、私は「時速170キロの速球を投げてくれ」とはっぱをかけました。大リーグの最速球はヤンキースの抑え投手アロルディス・チャップマンの時速169.1㌔。これを大谷にWBCで破ってもらいたい。それを目にしたアメリカのファンのどよめきが聞きたい、大リーグ関係者が目を丸くするのが観たかったのです。
欠場はまことに残念。期待はレギュラーシーズンにつなぐことにしましょう。
となると興味は日本代表の成績に絞られます。ただし、予想するには、私の外国代表チームへの知識が不足していますから、事前報道をチェックしている野球記者OBの現地での予想報告の受け売りです。
スポーツ専門局のESPNの予想。1位、前回チャンピオンのドミニカ共和国。リリーフと抑えで投手陣を固めて勝った前回同様の手堅い布陣。2位はアメリカ。大物先発投手は球団が"出場ノー"なので、ドミニカ共和国にならいブルペン強化。熱心に誘いをかけ野手陣を集め打線も充実。3位はヴェネズエラ。打線は強力だが、投手陣が弱い。この上位3チームはほとんどが現役大リーガーでの編成チームです。現役大リーガーは青木(宣親)一人で、大谷を欠いた日本の4位の予想は仕方ないところかもしれません。
さあ、楽しませてもらいましょう。
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