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第64回
ご利益を求めるだけでなく、目標・生き方を約束する初詣の「お願い」
神社に、お寺に、初詣に出かけた人は全国にどれほどいたのでしょうか。大変な数だと思います。私もその一人ですが、2週間前にクリスマスを祝い、年の初めに神仏に頭を下げて、1年の平穏無事を願う。そのことに少しの違和感も覚えません。外国の事物に対して日本人はあまりこだわりを持たず楽しい行事は何でも取り込んでしまうのですね。
初詣の「お願い」は、ただ御利益を求めているだけではないようです。
今年の自分の目標・生き方を神仏に約束する、「それに向かって努力しますから、お守りください」という意味合いが強いと思うのですが、どうでしょうか。
受験生が合格祈願しっぱなしで勉強せず、健康を祈ったサラリーマンが暴飲暴食では話になりません。祈られたほうも困惑する...で、初詣は「年頭に自分の努力目標の宣言と実行を神仏に誓約すること」という説が成り立ちそうです。
巨人は2月のキャンプインで宮崎に移動すると青島神社に必勝祈願とキャンプの安全を祈願します。「誓約」ですから、怪我、病気に細心の注意を払って厳しい練習を始めるわけです。

80歳を迎える私の2016年初詣の誓い
必勝祈願のお参り、と言えば外国人選手でこんな話がありました。「キリスト教徒だから神社で頭を下げるのは拙いのでは」とフロントが気を使って「参加は自由だが」とたずねたのです。「興味深い習慣だ。もちろん参加する」。私の一期、二期の監督時代は不参加の外国人選手はいませんでした。今でもそうだと思います。外国人選手は、見よう見まねで手を合わせ頭を下げ、お祓いを受けます。神官の装束に感心し、ぞろぞろ付いてくる不信心な担当記者たちに、お祓いに使う木の枝(榊=さかき)は「何という植物で、どういう意味があるのだ」などと聞いて閉口させるのです。
私は今年、傘寿80歳になります。高校生で本格的に野球に取り組み、勝負の世界に入って65年です。勝負に明け暮れてきた自分がいつしか「神仏は尊ぶべし、頼りにするべからず」の宮本武蔵の考え方に近くなっているのを感じています。尊ぶべき神仏に「今年も元気で過ごせますように」と頭を下げました。2004年のアテネ・オリンピック目前で倒れてから12年。「これからもリハビリの手は緩めず、自分に勝つぞ」と約束したのです。
初詣で思ったことはこんなことでした。

楽しみや興味が尽きることのない2016年のスポーツ界
そこで今年のスポーツですけれど、メイン・イベントは8月のブラジル・リオデジャネイロのオリンピックです。男子の体操、水泳でどれだけ金メダルを獲ってくれるか、澤(穂希)の抜けた女子サッカーはどうなるのか...。
ほかにも楽しみ、興味のタネは尽きませんが、世界の大スポーツイベントは問題が抱き合わせになって私たちファンの前に突き付けられる時代になっています。
ドーピング問題を起こしたロシアは陽性反応が出た陸上選手だけの出場停止で済むのか。それとも国として参加が認められないのか。国の財政が危機に陥ってしまったブラジルはきちんと大会を運営できるのか。
また、国際的な大きなスポーツ大会がテロの標的になってしまい、安全確保も気になります。ドーピングではなく政治的対立からでしたが、オリンピックでのスポーツ大国の欠場はモスクワ大会(1980年)とロサンゼルス大会(1984年)で経験し、テロはミュンヘン大会(1972年)で起こっています。無事に"平和の祭典"ができるよう世界中の国々の力を合わせた取り組みを望まずにはいられません。
最後は身近な話題、大相撲初場所です。先場所、横綱・白鵬が立った瞬間に栃煌山の顔の前で両手を叩いて面喰わせ、もう一回これをやって寄り切り勝ちしました。「猫だまし」の奇技ですが、横綱らしくない、と賛否両論なかなかの話題でした。
亡くなった北の海理事長は「否」でしたが、私は「OK」です。面白かった。「おーっ」と驚き、楽しみました。
「弱いものが強者に不意打ちをかける奇策を横綱が」と私の周囲でもうるさかったのですけれど、「せせこましくなくて堂々とした"猫だまし"でスケールが大きかった。ダメなら禁じ手にすればよろしい。余裕の"猫だまし"だ」。
かつてV9時代の巨人は勝っても、勝っても「勝ち方が面白くない」と批判されました。本当に強くなるとこういうファンからの"お叱り"というか"注文"が入ります。白鵬の強さはV9巨人の域に入っているのでしょう。「時折こんな奇技を織り交ぜて楽しませて」と言ったら私にも叱責が飛んでくるのでしょうか。
第64回 ご利益を求めるだけでなく、目標・生き方を約束する初詣の「お願い」
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