歴代のセコムオリジナル長嶋茂雄さんの看板(ビッグボード)と、それにまつわる豆知識のご紹介や、1957年に通算8本塁打で東京六大学リーグ本塁打の新記録を達成してから現在にいたるまでの、長嶋茂雄さんの伝説「NAGASHIMA Living Legend」と、数々の名言を世の中に送りだしてきた長嶋茂雄さんの名言「伝説の長嶋茂雄“語録”」をご紹介します。
第53回
欲張りで贅沢なファンとスーパースターとの関係
スポーツのファンとは贅沢なものです。いい意味でファンは欲張りなのです。選手に、チームに「もっといい成績を」、「もっといいプレーを」、「もっと勝ってくれ」と要求し続けます。素晴らしいプレーを見ていい気分になりたい、皆と話したい、明るい気持ちになり、元気を貰いたいのです。
テニスの4大大会の幕開け、オーストラリア・オープンの錦織圭を観ていて私はそのことを実感しました。心の中で自分が錦織に「もっと、もっと」と要求しているのに気付いたのです。昨年、世界ランキング5位になった錦織は私たちファンの期待通りのプレーで観る者を十分楽しませてくれました。
「サッカーのアジア・カップは観ましたか?錦織と同じオーストラリアでの大会でしたが」とOBスポーツ記者からたずねられました。
「で、観たの?時差は2時間だから中継も観やすかったはずだけれど」と私は聞き返します。「決勝に進んだら観ようと思っていたけれど、ダメでしたね」。
近年どのスポーツでも、国際試合テレビ中継によるファンが増えているようです。話題の試合、話題の選手の国際試合をチャンネル飛び渡りで観戦するファンです。私もそんな一人ですから、「まあ、そういうこと。観たくなるところまで勝ち進んでくれなかった」というわけです。昨年のワールドカップの惨敗でサッカー代表への期待度は下がってしまいました。今のスポーツマンはこんな国際基準で楽しむファンの厳しい視線のもとでプレーしているのです。
「サッカーのアジア・カップは観ましたか?錦織と同じオーストラリアでの大会でしたが」とOBスポーツ記者からたずねられました。
「で、観たの?時差は2時間だから中継も観やすかったはずだけれど」と私は聞き返します。「決勝に進んだら観ようと思っていたけれど、ダメでしたね」。
近年どのスポーツでも、国際試合テレビ中継によるファンが増えているようです。話題の試合、話題の選手の国際試合をチャンネル飛び渡りで観戦するファンです。私もそんな一人ですから、「まあ、そういうこと。観たくなるところまで勝ち進んでくれなかった」というわけです。昨年のワールドカップの惨敗でサッカー代表への期待度は下がってしまいました。今のスポーツマンはこんな国際基準で楽しむファンの厳しい視線のもとでプレーしているのです。
感嘆と嬉しさを覚えた錦織圭のプレー
錦織のオーストラリア・オープンの期待度は、そのランクからベスト8以内がファン設定の"ノルマ"だったでしょう。錦織はこれをクリアして、いつもながらのプレッシャーを感じさせない明るく、クールな粘り強いプレーを見せてくれました。
驚くのはそのサーブです。時速200キロ近いスピードで相手コートの狙ったところに打ち込むのです。あるときはスライドし、あるときは大きく落としと、まるで大投手の球筋でした。それをみけんに縦ジワなし、唇をかみしめることもなく、ただプレーが楽しくて仕方ないという顔つきでやってしまうのですから、舌を巻きます。嬉しくなります。なまじの鍛錬、練習で出来ることではありません。試合でのプレーは氷山に例えるとその選手の頂点、水面に浮かんでいる部分です。残りの9割近くが水面下に沈んでいます。それがファンの眼に触れない練習です。私は世界5位を支えている水面下の大変な質量の練習を想像してしまいました。
それにしても錦織のファンを引きこむようなあの明るさ、「アメリカ仕様だから」とOB記者はいいますが、世界のトップを争う大舞台でアメリカ選手があれほど明るい顔をしていたのは思い浮かびません。錦織の天性でしょう。スーパースターへの道に本格的に踏み出した、と感じます。
驚くのはそのサーブです。時速200キロ近いスピードで相手コートの狙ったところに打ち込むのです。あるときはスライドし、あるときは大きく落としと、まるで大投手の球筋でした。それをみけんに縦ジワなし、唇をかみしめることもなく、ただプレーが楽しくて仕方ないという顔つきでやってしまうのですから、舌を巻きます。嬉しくなります。なまじの鍛錬、練習で出来ることではありません。試合でのプレーは氷山に例えるとその選手の頂点、水面に浮かんでいる部分です。残りの9割近くが水面下に沈んでいます。それがファンの眼に触れない練習です。私は世界5位を支えている水面下の大変な質量の練習を想像してしまいました。
それにしても錦織のファンを引きこむようなあの明るさ、「アメリカ仕様だから」とOB記者はいいますが、世界のトップを争う大舞台でアメリカ選手があれほど明るい顔をしていたのは思い浮かびません。錦織の天性でしょう。スーパースターへの道に本格的に踏み出した、と感じます。
スーパースターはファンに支えられ、その夢に応える
スターと言えば、昨年は高倉健さんを失いました。
私と健さんとの交流の始めは20代からです。選手時代は週に4、5回も会っていたこともあります。私が健さんの作品を観ていたのは東映時代のものがほとんどですが、東映を離れてからの作品で観たのは『八甲田山』です。冬の八甲田山のロケーションが凄かった、完成まで3年くらいかかったとか。
それで評判になった他の作品は観ていないのですけれど、新聞の映画評などで筋書きを読むと、過去を背負った主人公が誠実に生きていくという役が多かったようですね。勝手な想像ですけれど、なんだか、東映時代の任侠路線の主人公が年齢を積んで市井でしっかり生きていく感じで、高倉健ファンにはたまらなかったのではないですか。
健さんは、ファンがこうあって欲しいと願う夢を受け止めて、それをスクリーン上で実現させて、見事に俳優生活をまっとうした。さすがだと思います。
どうやら、スターの話になってしまいましたが、ファンに支えられ、ファンの夢にこたえるための精進努力は映画俳優もスポーツ選手も変わりありません。
錦織の4大大会発進の成績はこれからの3大大会を待ち遠しくさせ、期待のレベルを上げるのにふさわしいものでした。今年の楽しみが増えました。
私と健さんとの交流の始めは20代からです。選手時代は週に4、5回も会っていたこともあります。私が健さんの作品を観ていたのは東映時代のものがほとんどですが、東映を離れてからの作品で観たのは『八甲田山』です。冬の八甲田山のロケーションが凄かった、完成まで3年くらいかかったとか。
それで評判になった他の作品は観ていないのですけれど、新聞の映画評などで筋書きを読むと、過去を背負った主人公が誠実に生きていくという役が多かったようですね。勝手な想像ですけれど、なんだか、東映時代の任侠路線の主人公が年齢を積んで市井でしっかり生きていく感じで、高倉健ファンにはたまらなかったのではないですか。
健さんは、ファンがこうあって欲しいと願う夢を受け止めて、それをスクリーン上で実現させて、見事に俳優生活をまっとうした。さすがだと思います。
どうやら、スターの話になってしまいましたが、ファンに支えられ、ファンの夢にこたえるための精進努力は映画俳優もスポーツ選手も変わりありません。
錦織の4大大会発進の成績はこれからの3大大会を待ち遠しくさせ、期待のレベルを上げるのにふさわしいものでした。今年の楽しみが増えました。
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