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月刊長嶋茂雄

  • 2011年02月01日 更新
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第4回 旅は人の心を豊かにする

第4回
旅は人の心を豊かにする

 野球カレンダーの2月は"キャンプの月"です。
 私も、巨人のキャンプに出かけます。リハビリ中ですから、あわただしい小旅行になりますが、疲れよりも気分一新のリフレッシュ感覚の方がはるかに強いものです。
 日常生活から場所が変わり、空気が変わり、交わる人たちが変わり、食べ物が変わる・・・それが心と体の隅々まで刺激して、日常のこわばりをほぐしてくれるのでしょう。

写真:長嶋茂雄氏

 仕事柄、日本国内のおもな都市はほとんど行きました。好きなところもたくさんあります。しかし、自由に出歩くというところで制約されてしまう。人の山になってしまうんです。自由に歩き回れるのは海外です。そんな旅を堪能したのはユニホームを脱いでいた1980年代の"浪人中"でした。アメリカ、ヨーロッパはもちろん、好奇心が旺盛ですからキューバ、中国、アフリカにも足を伸ばした。難民キャンプや韓国と北朝鮮が対峙する軍事境界線まで出かけました。
 もっとも、30年も前の思い出話を並べても仕方がない。いまは世界のあらゆる街から秘境にまでツアー網が張り巡らされている。どこにだって行けますから。さらに、テレビのドキュメント番組がある。お茶の間で世界遺産でも最高級レストランでもアルプスの頂上でもすごい映像で見られます。知識が増えて、便利この上ない。

五感のすべてで旅を満喫する それが知識を超えてゆく

五感のすべてで旅を満喫する それが知識を超えてゆく

写真:長嶋茂雄氏
 けれどもこの便利さ、手軽さは"落とし穴"でしょう。アフリカの最高峰・キリマンジャロ登山ツアーのドキュメントを衛星テレビでやっていました。かつてタンザニアの平原からはるかに望んだ峰がダブり、食事に困って日本から持って来たインスタントラーメンを食べていたことを思い出しました。キリマンジャロに関する情報量ではテレビにはとてもかなわない。しかし、インパクトの度合いは、たとえハイビジョン映像が3Dだったとしても、「インスタントラーメンとキリマンジャロ体験」の足元にもおよばない。
 ショッピングでもそうですね。日本の大都市ならニューヨークやローマ、ベネチア、パリなどの世界の名店の品物が買える。通販もある。しかし、小銭入れ一つでも現地の本店で手に入れた品は、銀座で手に入る品とまったく同じでも、その人にとって価値は全然違う。体験した旅のトータルが小銭入れに詰まっているからです。
 国内でも外国でも旅先での一度の体験は、映像で見たり、本で読んだりで得た数百の情報、知識にまさります。
 その意味で、気になっていることがある。これは「旅」とは言えないかもしれませんが、最近しきりに言われる若者の"内向き"姿勢です。グローバル化の時代にこれは困ったことです。留学生の数など激減だそうです。これから国の将来を担う若者が「引きこもり」で液晶画面やインターネットの情報だけでは豊かな感性を持った幅広い人間ができるはずがない、と思います。
 柄にもないことを口にしましたけれど、旅は面白く楽しいが、お金も時間もかかるうえ、不便さが伴い、思いもかけない面倒も起こる。だから旅先での出来事はささいなことでもいつまでも忘れない。だから旅は人間を豊かにしてくれるのです。

日常から離れた旅が人生の特別な1ページを作る、旅に出よう

日常から離れた旅が人生の特別な1ページを作る、旅に出よう

写真:長嶋茂雄氏
 ところで、外国で最も長くいたのはフロリダ半島の田舎町ベロビーチです。巨人キャンプでの滞在で選手として2度、監督で1度、それぞれ1カ月近く滞在しました。
 こんなこともありました。日本から同行した記者とカメラマンたちが「たまには贅沢を」とシーフード・レストランに出かけた。エビを食べようとなって、和英辞典をひいて「シュリンプ」と注文した。小エビのカクテルが出てきたので一人が「ノー、ノー、ビッグ・シュリンプ」と両手でハサミを作って頭の上にかざしてみせると、ウェイトレスが「ああ、ロブスターね」。さらに、トラベラーズ・チェックを現金化しようと「バンク」の表示がある建物に入ったら「血液銀行」。「いい服が並んでいるぞ」と飛び込むとクリーニング屋だった・・・。
 外貨持ち出し額が制限されていた40年も前の話で、断っておきますが、話の主役は私ではありませんよ。キャンプに出かけるたびに、こんな他愛のないエピソードまでがよみがえって、今度は何が、と心が浮き立つのも旅の功徳に違いありません。
 旅はその一つ一つが人生の特別なページを増やすようなものです。「書を捨てて街に出よう」と言ったのは私と同世代の詩人・寺山修司さんですが、出ていく先は街に限らない方がよろしい。より広く旅すればより多くの、そう、笑い話さえも身につけられる。旅はいいものです。

  • 2011年02月01日 更新
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セコム シニアの安全を考える委員会 著 あなたの親は大丈夫?高齢な親を守る安全生活ガイド

第4回 旅は人の心を豊かにする

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長嶋茂雄さん 看板豆知識・伝説・語録

 歴代のセコムオリジナル長嶋茂雄さんの看板(ビッグボード)と、それにまつわる豆知識のご紹介や、1957年に通算8本塁打で東京六大学リーグ本塁打の新記録を達成してから現在にいたるまでの、長嶋茂雄さんの伝説「NAGASHIMA Living Legend」と、数々の名言を世の中に送りだしてきた長嶋茂雄さんの名言「伝説の長嶋茂雄“語録”」をご紹介します。

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