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第15回
「負けるものか」と誓った、今年の二つの重大ニュース 〜東日本大震災と「なでしこジャパン」の活躍〜
いつも年末になると各メディアに「重大ニュース」が並びます。
今年のトップは言うまでもなく、大地震、大津波、原発事故と続いた東日本大震災です。「まいったなあ」という気持ちは今も続いています。3・11以降、心のどこかにあの時のショックがずっとわだかまり、同時に「負けるものか」と誓った人は多いでしょう。日本人ならそれが自然な感情だと思います。
震災後間もなく、何度か「東北へ応援メッセージを」と言うテーマの取材を受けました。
その一つで、記者が「選手時代の東北での試合は、共に広島戦で1973年に3試合、現役最後の74年に2試合の5試合です。ホームランは73年に盛岡で打った1本だけ」と言い出しました。下調べのデータを示して我が東北の思い出を引き出そうというのです。
自分ではもっと試合をしたような気がするし、盛岡で打ったホームランというのもおぼろな記憶の中。記者のデータ話はさらに、「盛岡の前日、仙台での試合はノーヒット。その試合後に寿司屋で"打撃練習"をしませんでしたか」と続きました。ヒットが打てなかったら素振りです。選手時代の日常のことですから、素振りはしたでしょう。「寿司屋で素振りねえ・・・」。考え込みました。

東北での日常のひとコマがファンの記憶になる驚き
お寿司屋さんに硬式野球用のバットはなかったので、わたしは店の子供のバットを借りて素振りをして、翌日の盛岡の試合でホームラン(5打数4安打)を打ったらしいのです。"証拠"は残っています。それから何年もたって、お寿司屋さんの主人がその子供用の短いバットを東京ドームの野球体育博物館に寄贈していました。大切に保管されたそのバットは、このエピソードの説明つきで時々展示される、というのです。
選手時代の当たり前の日常のひとコマ、素振りは食事のようなものですから38年も前のメニューを憶えているわけはありません。ところが仙台のファンには、「長嶋らしい楽しい話」と記憶されていたのです。驚きました。
重大ニュースの話が大脱線ですが、この話を持ち出したのは、わたしたち野球人がファンに与えられるのは、こんな記憶なのだ、と感じたからです。スポーツマンは日常生活でもファンに楽しみを与えられる・・・。これは野球に限らず、すべてのスポーツに関わる選手が生みだせるささやかな効用でしょう。

「なでしこジャパン」がくれた素晴らしい贈り物
ここで重大ニュースにUターンです。
大震災と対照的な明るいニュースのトップは「なでしこジャパン」。女子サッカーのワールドカップ優勝です。大震災後、明るいニュースに飢えていたわたしたちへの素晴らしい贈り物でした。
ご承知の通り日本の女子サッカーは取り立てて人気があったわけではありません。ところが「なでしこ」が驚異の粘りで勝ち進むうちに、次第に皆が注目し始めました。わたしもそんな"にわかファン"、"スポット応援団"の一人でしたが、決勝の対アメリカ戦は日本中の関心事になりました。録画中継やニュースの「いいとこ取り」で観ただけの感想に過ぎませんが、インパクトは大きかった。"寿司屋の素振り"どころではありません。スポーツがいかに人々を励ます大きな力を持っているか、実感したものです。
震災後4カ月、7月のあの快挙がなかったら、わたしたちの今の気持ちは「まいったなあ」程度ではすまない、ずいぶん暗いものになっていたことでしょう。「なでしこジャパン」の国民栄誉賞、文句なしです。
2011年は、東日本大震災と「なでしこジャパン」ワールドカップ優勝の年として心に刻みます。明暗二つの重大ニュースは、これから何年たっても、わたしたちに犠牲になった方々への哀悼の思いと「負けるものか」と誓った心を思い出させるはずです。
第15回 「負けるものか」と誓った、今年の二つの重大ニュース
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