歴代のセコムオリジナル長嶋茂雄さんの看板(ビッグボード)と、それにまつわる豆知識のご紹介や、1957年に通算8本塁打で東京六大学リーグ本塁打の新記録を達成してから現在にいたるまでの、長嶋茂雄さんの伝説「NAGASHIMA Living Legend」と、数々の名言を世の中に送りだしてきた長嶋茂雄さんの名言「伝説の長嶋茂雄“語録”」をご紹介します。
第10回
カメラを巡って、その技術と楽しみと
カメラに囲まれて過ごしてきました。最近では携帯電話を向けられます。電話と写真機が一体になったケータイのおかげもあるのでしょう。カメラ愛好者がシニア世代に増えているといいます。
デジタル・カメラになり、フィルム・カメラの現像の手間がなくなった。自動式で露出からピント合わせまでカメラがすべてやってくれる。一度に撮れるカット数がフィルム時代は最多36枚だったのが900カット、1,000カットは当たり前だとか。
撮影者はシャッターを押すだけだが、レンズを交換し、色調やら構図やらはコンピューター上の画面で好きなように修正できるので、手をかけるマニアックな好みも満たされます。これは楽しいに違いありません。機械に弱いシニア世代には魅力的です。ただ、私には寂しい思いもきざしてくる。ちょっと大げさですが、消えゆく職人技についてです。
クラシックのアナログ・カメラはさまざまな名人芸を生んだ、共感呼ぶ技術競争
私が巨人に入団した昭和30年代(1950年代半ばです)、新聞社の主力カメラはスピード・グラフィック(通称スピグラ)でした。週刊誌大の箱型の大きなカメラで、電気スタンドのようなフラッシュライト付き。フィルムは1枚。
「これで優勝や当選の万歳三唱を3枚撮れれば報道カメラマンとして一人前」と聞かされた覚えがある。最初の万歳で、パシャと1枚、すかさずフィルムを入れ替え、フラッシュのバルブ(電球)も新しいものに付け替えて、次の万歳でもう1枚、またフィルムとバブルを交換して最後の1枚。息をのむ早技です。
けれどもこの名人芸は、フィルムの巻き上げがクランク式のレンジファインダー・カメラが主力になると滅びます。万歳三唱3枚は、アマにでも可能になったのです。それから一眼レフの登場。はるかな外野席から望遠レンズで打席に立つ私たちが狙われるようになりました。
ここではバットがボールをとらえるインパクトの瞬間を撮るのが勝負です。バットとボールがピタリと重なっているか、ゴルフならクラブのフェイスにボールがくっついているか。シャッターチャンスの技が争われた。ところがこの高等技術も、モータードライブがついた連続撮影用カメラが出現するにおよんで消えてしまいます。カメラの性能の向上が名人芸を滅ぼしたのです。
私たち野球選手も技術の競争ですから、技術を争うカメラマンには親近感があって、カメラさんとの雑談のなかで得た知識です。
「チョーさん、打つときファインダーからはみだしちゃうよ」とベテラン・カメラマンに言われて打席で構えたときに、中心線がずれていたのに気付かされたこともあったなあ。被写体としての私は、あれこれポーズを付けられるのは苦手でした。シャッターを押す前にイメージを固めていて、2、3度シャッターを切って「OKです」なんて言うのが理想のカメラマン。まあ、せっかちなんですね。
我が愛用は世界の名機「ライカM3」手にするだけで良い気分
ところで我が写真歴ですが、プロ2年目の1959年(昭和34年)に発売間もない「ライカM3」を手に入れました。世界カメラ史上トップと言われるドイツ製の名機です。
さぞやいい写真が撮れたでしょう、とはたずねないでくださいな。いかにも精密機械らしい重量感、しっとりと手になじむ胴部に貼られた皮、「カシャ」という引きしまった独特のシャッター音。ひとこと言わせてもらえば、M3は撮るものではなく手の中で楽しむもの、これで腕前は想像していただくとして、光学機械から電子機械になったカメラですが、きっと新しい楽しみ方もいろいろ開発されていることでしょう。また、新しい名人芸も。
ともかくカメラ・写真の世界は広く深いものです。どっぷりと漬かりがいがあるはずです。楽しんでください。私も久しぶりにM3のシャッターを押してみましょうか・・・。
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