歴代のセコムオリジナル長嶋茂雄さんの看板(ビッグボード)と、それにまつわる豆知識のご紹介や、1957年に通算8本塁打で東京六大学リーグ本塁打の新記録を達成してから現在にいたるまでの、長嶋茂雄さんの伝説「NAGASHIMA Living Legend」と、数々の名言を世の中に送りだしてきた長嶋茂雄さんの名言「伝説の長嶋茂雄“語録”」をご紹介します。
第40回
野球カレンダー
新しい年のカレンダーを前にすると気持ちが改まります。そして、どんな年になるのか、どんな年にしたいか、との期待と希望が湧いてきます。ただ、野球人には一般の人たちと違った"特権"があるように思います。新年を迎えるごとに若返り、生まれ変われるからです。
もちろん、歳はとりますが、「野球少年」の気持ちがよみがえります。ユニホームを着てキャンプでチームメートと顔を合わせた時、40歳のベテランも18歳のルーキーも等しく同じスタートラインに立ちます。気持ちは皆が野球少年、プレーする喜びは草野球の子供時代と変わりません。若々しい気持に満ちていなければプレーは続けられません。
年が改まるごとに若者に戻れる
「野球カレンダー」の1年は、春先の野球少年が炎天下の夏に青年に育ち、壮年となった秋の収穫期に仕事を成就して完了します。成就と言っても栄光を手にするのは1チームだけですから、ほとんどの選手が挫折を味わって終わる厳しいものですけれど、こうして1年周期で回り続けています。年が改まれば、勝者も敗者も、再びキャンプの野球少年に戻って、秋の壮年での優勝を目指すのです。「野球人は年が改まるごとに若者に戻れる特権がある」とは、そういうことです。
では新しい「野球カレンダー」の中で選手が目指すべきものは・・・もちろん優勝ですけれど、その達成にはファンと一体になり共に時間を忘れるような試合をどれだけ作れるか、にかかっているでしょう。
こんなことを考えたのは、昨年末に私が現役を引退した40年前の最後の試合に関する取材を受けたからです。1年がかりで本にするのだと言うのです。
では新しい「野球カレンダー」の中で選手が目指すべきものは・・・もちろん優勝ですけれど、その達成にはファンと一体になり共に時間を忘れるような試合をどれだけ作れるか、にかかっているでしょう。
こんなことを考えたのは、昨年末に私が現役を引退した40年前の最後の試合に関する取材を受けたからです。1年がかりで本にするのだと言うのです。
1974年10月14日の後楽園球場です。あの時ほどファンと一体になれた試合はなかった気がしていますから、多少熱くなって覚えていることを語り尽くしました。
取材が終わってからの雑談で、「ところでスコア覚えていますか?」との質問です。絶句しました。「巨人は勝ったが・・・」と口ごもると、あの試合を取材していたというOB記者が「そうなんです。観ていた人も長嶋さんの表情、動きはこと細かく覚えているのに、10対0のスコアを覚えている人がほとんどいないんです」と言うのです。
ファンも私同様スコアを覚えていなかった・・・まさしく気持ちは一つになっていたと言うことです。
「あんな試合はそうありません」と取材の席にいた記者、カメラマンなど7人だったでしょうか、と一同うなずきました。それはそうですね。バットがメインでしたが、守備でも、走塁でもファンと共に時間を忘れた試合を数多く持った私ですが、引退試合はまだ1回だけですからね。
取材が終わってからの雑談で、「ところでスコア覚えていますか?」との質問です。絶句しました。「巨人は勝ったが・・・」と口ごもると、あの試合を取材していたというOB記者が「そうなんです。観ていた人も長嶋さんの表情、動きはこと細かく覚えているのに、10対0のスコアを覚えている人がほとんどいないんです」と言うのです。
ファンも私同様スコアを覚えていなかった・・・まさしく気持ちは一つになっていたと言うことです。
「あんな試合はそうありません」と取材の席にいた記者、カメラマンなど7人だったでしょうか、と一同うなずきました。それはそうですね。バットがメインでしたが、守備でも、走塁でもファンと共に時間を忘れた試合を数多く持った私ですが、引退試合はまだ1回だけですからね。
時間を忘れるような試合
そんな特別な試合は別にして、昨季なら楽天・田中(将大)の24連勝中の試合ではマウンドの田中もスタンドのファンも時間を忘れ続けていたはずです。(余談になりますが、このおしゃべりをしている時点では田中の大リーグ移籍先のチームは決まっていません。「連勝が終わるまで日本で投げる、終わったら大リーグへ行くのはどうだろう」とOB記者が言いましたが、分かりますね、その気持ちは)。
プレー中の選手がふと気がつくと思いもよらない長い時間がたっていた。ファンが夢中になって観戦していたら、もう夜も遅くなっていた・・・。大リーグの球場で7回裏が始まるときに歌われる『野球に連れて行って』の一節、「家に帰れなくても構わない。ホームチームの応援だ」となる状況です。アメリカでも野球の理想はこういう時間を作りだし、ファンと共にあることなのが、この野球の歌で知ることができます。
プレー中の選手がふと気がつくと思いもよらない長い時間がたっていた。ファンが夢中になって観戦していたら、もう夜も遅くなっていた・・・。大リーグの球場で7回裏が始まるときに歌われる『野球に連れて行って』の一節、「家に帰れなくても構わない。ホームチームの応援だ」となる状況です。アメリカでも野球の理想はこういう時間を作りだし、ファンと共にあることなのが、この野球の歌で知ることができます。
昨季大リーグ、プレーオフのタイガース対レッドソックス第1戦は9回、1対0でタイガースが勝ちましたが、息詰まる投手戦で試合時間は3時間56分。「これはサッカーのスコア。サッカーなら90分で終わる。野球はなぜ4時間もかかるのだ」と、かみつく評論記者に野球記者が両軍選手の感想を伝えたそうです。「今夜の4時間はあっという間の4時間だったぜ」と。ファンも短い4時間と感じたはずです。
私もまた2月に巨人の宮崎キャンプのグラウンドに立って「野球少年」に戻ります。今年の「野球カレンダー」にはどれだけ時間を忘れさせる時間が刻まれるのか。そんな期待がわいて、待ち遠しくなっています。
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