歴代のセコムオリジナル長嶋茂雄さんの看板(ビッグボード)と、それにまつわる豆知識のご紹介や、1957年に通算8本塁打で東京六大学リーグ本塁打の新記録を達成してから現在にいたるまでの、長嶋茂雄さんの伝説「NAGASHIMA Living Legend」と、数々の名言を世の中に送りだしてきた長嶋茂雄さんの名言「伝説の長嶋茂雄“語録”」をご紹介します。
第44回
"勝利の方程式"の成功と野球ロマン
日本球界では「投手は勝ち星を計算できるが、打者では難しい」といいます。大リーグでは「野球の75%が投手」というそうです。共に投手陣の重要さの指摘です。今月は投手についての話しです。
私たちの現役時代は「柱になる先発投手は7回を3失点ぐらいで抑えなければ」といいました。いまは大リーグの数値評価を使って「6回を3点以下で抑えればクオリティ・スタート=良好な先発」と合格にするようです。
「そうかなあ」という気になります。「そのクオリティ・スタートやらを防御率に直すと、どうなる」とOB記者にたずねました。高品質の投球とは思えなかったからです。防御率4点台、案の定でした。日本の7回3失点なら防御率3点台ですから合格でしょう。昔の日本球界の感覚的な評価基準は、なかなかクオリティ(質)が高かったのです。もっとも今は打撃力が上がっていますから、6回3失点ならいいのかもしれませんが。
「そうかなあ」という気になります。「そのクオリティ・スタートやらを防御率に直すと、どうなる」とOB記者にたずねました。高品質の投球とは思えなかったからです。防御率4点台、案の定でした。日本の7回3失点なら防御率3点台ですから合格でしょう。昔の日本球界の感覚的な評価基準は、なかなかクオリティ(質)が高かったのです。もっとも今は打撃力が上がっていますから、6回3失点ならいいのかもしれませんが。
セオリー外戦法をセオリーとした"勝利の方程式"
「打者はマシンを使っていくらでも打ち込み練習ができるが、投手は毎日投げ込みをするわけにはいかない」。昔からよくいいます。向上する打撃術に投手たちの手首、ヒジ、肩の負担は増すばかりです。そもそも、人間のヒジや肩の構造は、投球動作向きになっていません。歩く時の手の振りが自然の動きです。投手の投球フォームで物を投げられる動物は人間だけだとか。言われて気がつく常識ですね。そこで、投手のヒジ、肩の保護が叫ばれました。
投球間隔をあける、球数を管理制限する、試合を先発⇒中継ぎ⇒抑えにと分業するワークシェアリングへの道筋です。
継投といえば私の第2期監督時代、1992年の"勝利の方程式"があります。先発陣が手薄でクローザーに直接つなぐのが難しい。そこで、ロングマン(複数回を投げる中継ぎ投手)を挟むのを公式化したのです。「苦しい家計のやりくりみたいだが、これをカッコ良く感じさせ、また、中継ぎ投手も気合を入れて投げられるようなフレーズはないか」とひねり出した造語が"勝利の方程式"でしたが、受けましたね。野球用語に新しい言葉が加わった。
お手本は第1期監督時代の日米野球で親しくなったレッズのスパーキー・アンダーソン監督(殿堂入り)が1980年代にやった継投です。中継ぎ評価の「ホールド」が一般的になる20年以上前です。「シーズン162試合で完投試合が20試合たらず、他のチームの半分以下だ。随分批判されたが、それでワールドシリーズを2度勝ったのだから」とスパーキーは笑っていました。
私もセオリー外が大好きですから、新ネーミングを付けてスパーキーの後を追ったのです。戦術的な判断でしたが、これが成功し、投手保護にも重なって日米球界のセオリーとなり、いまでは3人継投は常識です。大リーグでは、先発投手がノーヒットに抑えていても100球程度投げると中継ぎに交代シーンが時々ありますね。
投球間隔をあける、球数を管理制限する、試合を先発⇒中継ぎ⇒抑えにと分業するワークシェアリングへの道筋です。
継投といえば私の第2期監督時代、1992年の"勝利の方程式"があります。先発陣が手薄でクローザーに直接つなぐのが難しい。そこで、ロングマン(複数回を投げる中継ぎ投手)を挟むのを公式化したのです。「苦しい家計のやりくりみたいだが、これをカッコ良く感じさせ、また、中継ぎ投手も気合を入れて投げられるようなフレーズはないか」とひねり出した造語が"勝利の方程式"でしたが、受けましたね。野球用語に新しい言葉が加わった。
お手本は第1期監督時代の日米野球で親しくなったレッズのスパーキー・アンダーソン監督(殿堂入り)が1980年代にやった継投です。中継ぎ評価の「ホールド」が一般的になる20年以上前です。「シーズン162試合で完投試合が20試合たらず、他のチームの半分以下だ。随分批判されたが、それでワールドシリーズを2度勝ったのだから」とスパーキーは笑っていました。
私もセオリー外が大好きですから、新ネーミングを付けてスパーキーの後を追ったのです。戦術的な判断でしたが、これが成功し、投手保護にも重なって日米球界のセオリーとなり、いまでは3人継投は常識です。大リーグでは、先発投手がノーヒットに抑えていても100球程度投げると中継ぎに交代シーンが時々ありますね。
野球のロマンとドラマを感じさせる先発投手の気迫
セオリー外戦法がセオリー(教科書)になりました。ここでへそ曲りの私には、「ちょっとなあ」となります。自分でさんざんやったのに、継投のマニュアル化が私のロマンとドラマ好きの心情にひっかかる。先発投手が6回投げ終え100前後の球数になる。はい、次の2回を中継ぎに、勝っていていたら9回はクローザー、機械的すぎます。特に先発投手と巨額の長期契約を結んでいる大リーグでは、故障を用心してそうしているのを感じます。時には先発投手の気迫を読んで、完投させてほしいなあ。渡米前の日本での最後の年に10完投したダルビッシュがレンジャーズ2年間で一度も完投なしですからね。
日本球界でも完投は減少傾向です。私は「権藤(博)、権藤、雨、権藤」の中日、「神様、仏様、稲尾(和久)様」の西鉄と競い合ってプレーして来ました。完投した投手が翌日リリーフで投げてきても不思議に思わなかった時代ですから、完投投手の減少、特に指名打者(DH)のないセ・リーグの完投の少なさには寂しさを感じます。
衛星中継でダルビッシュやマー君(田中將大)の投球を観るにつけ、何とも言えない気分になります。そして、二人にかつてのエースたちの姿を重ねている自分に気が付きました。野球にはロマンとドラマがなくてはファンを熱く出来ません。ファン同士の野球談議にこの話をネタにワイワイ投手論をやってもらえると嬉しいですね。
日本球界でも完投は減少傾向です。私は「権藤(博)、権藤、雨、権藤」の中日、「神様、仏様、稲尾(和久)様」の西鉄と競い合ってプレーして来ました。完投した投手が翌日リリーフで投げてきても不思議に思わなかった時代ですから、完投投手の減少、特に指名打者(DH)のないセ・リーグの完投の少なさには寂しさを感じます。
衛星中継でダルビッシュやマー君(田中將大)の投球を観るにつけ、何とも言えない気分になります。そして、二人にかつてのエースたちの姿を重ねている自分に気が付きました。野球にはロマンとドラマがなくてはファンを熱く出来ません。ファン同士の野球談議にこの話をネタにワイワイ投手論をやってもらえると嬉しいですね。
第84回
第79回
第78回
第62回
第60回
第57回
第55回
第49回
第48回
第46回
第45回
第44回
第43回
第42回
第41回
第40回
第39回
第38回
第37回
第36回
第35回
第34回
第33回
第31回
第30回
第29回
第28回
第27回
第25回
第24回
第22回
第21回
第17回
第16回
第14回
第13回
第12回
第11回
第10回
第9回
第8回
第7回
第5回
第4回
第3回
第2回
第1回
第0回
子どもの安全ブログ | おとなの安心倶楽部 |
女性のためのあんしんライフnavi |