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第59回
最後までワクワクものだった「なでしこジャパン」の戦い
100周年の高校野球、あと5年となった東京オリンピックの新国立競技場騒動、そしてセ・リーグの大混戦。猛暑、酷暑をさらに暑くさせるスポーツの話題です。セ・リーグの混戦については、優勝チームは貯金6の77勝程度、勝率5割3分8厘でペナント獲得、という数字的予想にとどめておきます。どのチームも達成可能な数字ですから、どのチームが優勝するのか分からない、ということです。そこで、今回は今年前半のスポーツ界、最高の話題、楽しい話題となった女子ワールドカップ「なでしこジャパン」についてです。
私が「なでしこ」の国際試合を気にするようになったのは、大多数の「なでしこ」サポーターと同じではないか、と思っています。
4年前の東日本大震災の年、「男子代表と違って女子代表は強い。上位に行くはず」という新聞報道に、あおり立てとは別種の国の希望を託すという気配を感じました。そこで、テレビ観戦して始まった...という道筋です。日本を元気づけてくれたワールドカップ優勝から、ロンドン五輪の銀メダルをへて、今回は連覇を目指すディフェンディング・チャンピオンですから目を離すわけにはいきません。

「驚き」と「安心」を感じさせ、「ニチボウ」と「回転レシーブ」が重ね合った戦い
決勝でアメリカに敗れましたが、「なでしこ」の戦いはよかったですね。
チーム全員の精神的な結束力に最後まで緩みがなかった。自分たちが最も得意とする戦いのスタイル(あの爽快なパス回し)がしっかり継承され続けていた。レギュラーはもちろん、サブ選手も全員が自分の役割に徹し、交代出場でもすぐにレギュラーと溶けあって"繋ぎ目"を感じさせないのです。
スタートから3試合、ゴールキーパーを3人使ったのには驚きました。野球の世界レベルの戦いでキャッチャーを試合ごとに変えるなど、考えられません。それが安心して観ていられたのは、チーム編成に隙がなかったということでしょう。試合ごとにチームが強くなって行く感じで、キーパーを固定した決勝トーナメントに入ると、「アメリカと決勝戦は間違いなし」モードをテレビの前の私たちに発信してくれました。
「東京オリンピックのニチボウが重なった」と私はいいました。半世紀以上前の事ですから、若い人は「?」、年寄り連中は「なるほど、そうですね。"東洋の魔女"。日紡貝塚主力の女子バレーボール日本代表、分かりますね」と共感してくれました。「やまと・なでしこ」の、辛抱強く、困難に耐え、働き者で、助け合い、あきらめない...そういうよさが全開でした。動き続け、走り続け、声が出し続けられました。苦しい状況でも精神的な揺れ、弱さをまったく見せなかった。
「東洋の魔女」たちの世界が目を見張った"回転レシーブ"は、自己犠牲そのものでしたが、体格にまさるアメリカ選手を「なでしこ」が複数で囲み体をぶつけて守るプレーは、そのサッカー版でしょう。
魔女をひきいた鬼の大松(博文監督)は「オレについてこい」でしたが、「なでしこ」の佐々木(則夫)監督は選手たちから「ノリさん」と呼ばれているらしい。監督のありようの違いは時代の違いですけれど、チーム・スピリットは同じでした。

2対5のスコアを惨敗と感じさせなかった立派なチーム・スピリット
サッカーの2対5の敗戦は「惨敗」の部類かもしれません。しかし、あの決勝戦、「アメリカに惨敗した」と感じたサポーターはいなかったはず。
キックオフから16分で「なでしこ」は立て続けの4失点です。惨敗とは、点差だけではなく、試合中に選手が精神的に打ちのめされギブアップしたのが観客に分かってしまう状態をいうのだと私は思います。人間の精神的弱さを見せられると、たいていの人が眼をそむけたくなるものです。
「なでしこ」は大丈夫でした。大量失点の総崩れ状態の中で、宮間(あや)キャプテンを中心に皆がキーパーの海堀(あゆみ)に声を掛け、励まし合って、ちょっと時間がかかりましたが、乱れた陣形を整えました。後半ジョーカーで登場した岩淵(真奈)の突破など、点差関係なしのワクワクものでしたね(選手の名前も少しばかり覚えました)。
「なでしこ」はディフェンディング・チャンピオンにふさわしい立派な戦いでした。
ここで、唐突に巨人に一言いいたくなってきました。昨季は日本シリーズに出られなかったけれど、セ・リーグのペナント獲得チームです。「ディフェンディング・チャンピオンとして胸を張れる試合をしないと拙い」といいたいのです。
第59回 最後までワクワクものだった「なでしこジャパン」の戦い
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