歴代のセコムオリジナル長嶋茂雄さんの看板(ビッグボード)と、それにまつわる豆知識のご紹介や、1957年に通算8本塁打で東京六大学リーグ本塁打の新記録を達成してから現在にいたるまでの、長嶋茂雄さんの伝説「NAGASHIMA Living Legend」と、数々の名言を世の中に送りだしてきた長嶋茂雄さんの名言「伝説の長嶋茂雄“語録”」をご紹介します。
第23回
高校野球に詰まっている日本人の好きな
夏は甲子園、高校野球です。この8月はロンドン五輪と重なりましたが、日本とイギリスとでは昼夜が逆、いくら五輪でも連日徹夜でテレビにかじりつくわけにはいきません。
やはり高校野球になります。ひょいとテレビをつけると試合が映る。すると対戦している高校が分からなくても、そのまま観続けてしまいます。高校野球には私たち日本人が好きなあれこれがぎっしり詰まっている気がします。
私は甲子園には後一歩、ではなかった、後二歩で届きませんでした。最近、知人との雑談の折に1枚のコピーを見せられました。昭和28年(1953年)8月1日、南関東大会の準々決勝で我が佐倉一高が熊谷高に1対4で敗れた大宮球場での試合のスコアカードです。
チームメートのH君がベンチ内で記録したもので、私のホームランのところには「350Feet in Back Screen」と英語の注記をしてくれていました。備考欄にいかにも高校生が現場で書いた乱れた筆跡で「〜武運つたなく甲子園への夢は消えた。〜最後の試合として悔いなきであった」とあるのには、「うーん」でしたね。まことに感慨ぶかい。
ただし、雑談は妙な方向に流れました。「本塁打は1ストライク、1ボールからの3球目を打ったと記録されている。けれども新聞連載の『私の履歴書』や、その他の多くの本の思い出話では1ストライク後の2球目になっていますよ。スコアカードが正確だと思いますが」と笑うのです。
それは「真実」が「伝説」に変化し、さらに「事実」になっていった60年の野球史・・・まあ、ボールカウントなど、どうでもいいではないですか。
高校野球は日本人の気性にピッタリ
さてと、高校野球に詰まっている日本人が好きな"あれこれ"についてでした。
まず、舞台が炎天下の甲子園というのがいいですね。春の選抜大会もあるけれど、灼熱の太陽の元の方が劇的です。地方予選を勝ち抜く大変さを国民全体が承知しているから、この舞台に登場したチームを目にするだけでわくわくする。初出場チームにとりわけ拍手が大きいのも、晴れ舞台を楽しんで行け、との観客の思い入れからでしょう。その舞台で展開するプレーには、忍耐、頑張り、純情、絆、規律があふれていて、負ければ後がない一発勝負、そして汗と涙ときては、もうこたえられません。野球技術の巧拙はあまり問題になりませんね。
最近は、金属バットの使用でホームランが多くなりました。しかし、高校野球は野球の原型である、勝ち進むにはパワーより確実なプレーを、が主流です。チーム・スピリットによる自己犠牲のバントがいかに重要視されるかで、それは分かるでしょう。そんな考え方が、真面目に皆で助け合って忍耐強く働く日本人の気性にピッタリなのだ、と思うのです。
まず、舞台が炎天下の甲子園というのがいいですね。春の選抜大会もあるけれど、灼熱の太陽の元の方が劇的です。地方予選を勝ち抜く大変さを国民全体が承知しているから、この舞台に登場したチームを目にするだけでわくわくする。初出場チームにとりわけ拍手が大きいのも、晴れ舞台を楽しんで行け、との観客の思い入れからでしょう。その舞台で展開するプレーには、忍耐、頑張り、純情、絆、規律があふれていて、負ければ後がない一発勝負、そして汗と涙ときては、もうこたえられません。野球技術の巧拙はあまり問題になりませんね。
最近は、金属バットの使用でホームランが多くなりました。しかし、高校野球は野球の原型である、勝ち進むにはパワーより確実なプレーを、が主流です。チーム・スピリットによる自己犠牲のバントがいかに重要視されるかで、それは分かるでしょう。そんな考え方が、真面目に皆で助け合って忍耐強く働く日本人の気性にピッタリなのだ、と思うのです。
甲子園に隠されたグラウンドキーパーの名人芸
また、隠された名人芸も見逃せません。グラウンドキーパーの技術。調べてもらうと、私は巨人に入団してから甲子園で選手として公式戦を218試合プレーしたそうです。加えて二期の監督生活がありますけれど、選手時代だったか監督になってからか、老グラウンドキーパーから聞いた話が忘れられません。
「イレギュラー・バウンドのヒットが出るのはわしらの恥や」と言うのです。それほどグラウンド状態に気を使っている。それから、芝の手入れの見事さもさることながら、テレビ観戦でもお分かりのように普通の土より黒いグラウンドの土もそうです。選手が白球を観やすいようにと、甲子園浜だけでなく、岡山、三重、鹿児島など、いろいろなところから集めた土の特別ブレンドなのだと教えられました。
こういう気付かれないところに凝る完璧主義も日本的感性でしょう。
「イレギュラー・バウンドのヒットが出るのはわしらの恥や」と言うのです。それほどグラウンド状態に気を使っている。それから、芝の手入れの見事さもさることながら、テレビ観戦でもお分かりのように普通の土より黒いグラウンドの土もそうです。選手が白球を観やすいようにと、甲子園浜だけでなく、岡山、三重、鹿児島など、いろいろなところから集めた土の特別ブレンドなのだと教えられました。
こういう気付かれないところに凝る完璧主義も日本的感性でしょう。
もうひとつ、誰だったか忘れましたが、作家の甲子園観戦記に「甲子園には故郷の風の匂いがする」と言う一節がありました。なるほど、郷土愛を呼び覚ましてくれるんですね。私たちが甲子園の高校野球にひかれるのは、こうした心を刺激する沢山の"あれこれ"からなのだ、とするのが私の説なのです。
夏の甲子園は、しばし暑さを忘れさせてくれます。
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