歴代のセコムオリジナル長嶋茂雄さんの看板(ビッグボード)と、それにまつわる豆知識のご紹介や、1957年に通算8本塁打で東京六大学リーグ本塁打の新記録を達成してから現在にいたるまでの、長嶋茂雄さんの伝説「NAGASHIMA Living Legend」と、数々の名言を世の中に送りだしてきた長嶋茂雄さんの名言「伝説の長嶋茂雄“語録”」をご紹介します。
第24回
守りの名手が消えた
プロ野球も秋の"収穫の時"を迎えました。もっともプレーオフがありますから、首位チームは「追試験」、上位の負けチームには「敗者復活戦」です。
個人的には好きになれないシステムですが、試合制度の問題は別にしてプレーの面でずっと気になっていることがあります。内野守備技術の低下です。名人、上手、職人が消えてしまったと感じています。
内野守備の職人とはどんな選手か。
私の第一期監督時代の外国人選手にデービー・ジョンソンがいました。彼を評して投手の堀内恒夫は「バットなしでいい。グラブを持って二塁にいるだけで助かる」と言いました。
左翼から三塁に移った高田繁(横浜DeNAのGM)も「併殺場面の三塁ゴロは捕ったら二塁ベースあたりに投げれば悪送球でもOK、デービーが簡単に一塁に転送してゲッツー成立。"新人三塁手"の僕までうまく見せてくれる」と言いました。
ジョンソンは今季大リーグの最年長監督(69歳)として長年の弱小チームをプレーオフに導く活躍ですが、オリオールズ選手時代はゴールドグラブ3年連続受賞の名二塁手。巨人でも巧みなグラブさばきでうるさ型の多かったナインの信頼を得ていたのです。
こんなグラブだけで勝負ができるのが守りの職人で、私と現役が重なる世代では阪神のショート・吉田義男さん、中日のセカンド・高木守道さん(現監督)がすぐに浮かびます。
私の第一期監督時代の外国人選手にデービー・ジョンソンがいました。彼を評して投手の堀内恒夫は「バットなしでいい。グラブを持って二塁にいるだけで助かる」と言いました。
左翼から三塁に移った高田繁(横浜DeNAのGM)も「併殺場面の三塁ゴロは捕ったら二塁ベースあたりに投げれば悪送球でもOK、デービーが簡単に一塁に転送してゲッツー成立。"新人三塁手"の僕までうまく見せてくれる」と言いました。
ジョンソンは今季大リーグの最年長監督(69歳)として長年の弱小チームをプレーオフに導く活躍ですが、オリオールズ選手時代はゴールドグラブ3年連続受賞の名二塁手。巨人でも巧みなグラブさばきでうるさ型の多かったナインの信頼を得ていたのです。
こんなグラブだけで勝負ができるのが守りの職人で、私と現役が重なる世代では阪神のショート・吉田義男さん、中日のセカンド・高木守道さん(現監督)がすぐに浮かびます。
「技」と「遊び」の守りから「パワー」の守りへ
守りの名手が消えた理由は、はっきりしています。人工芝です。まっ平らな土台の上に敷かれた絨毯のような人工芝。その上を転がるゴロは単調です。土と天然芝上のゴロが持つ複雑なニュアンスはありません。不規則バウンドが少ないから、内野手はゴロの変化に備えなくなり、転がるスピードが速いので待って捕球するのが当たり前になりました。
選手は多彩なグラブさばきやフットワークをそれほど要求されません。妙な言い方になりますが、単調なゴロに備える単純な守備になってしまったのです。強いて言えば速い球足だけに適応した"パワーの守り"ということになるでしょう。
選手は多彩なグラブさばきやフットワークをそれほど要求されません。妙な言い方になりますが、単調なゴロに備える単純な守備になってしまったのです。強いて言えば速い球足だけに適応した"パワーの守り"ということになるでしょう。
意外に思われるかもしれませんが、私は野球のプレーの中では守りが一番好きでした。フライの処理は「ちょっとなあ」で、ゴロを捕球して送球する一連のプレーが楽しかった。守る位置を考え、投手の球種、打者の内外角どちらに投げるかで打球方向を予測する。
ボールに向かうステップの幅、グラブの運び、送球の腕の振りはどうしたらカッコいいか・・・見せびらかしのプレーとも言われた派手なランニング・スローがそうでしたが、ファンに喜んでもらえる自分の「技」と「遊び」とを思う存分注ぎ込めたからです。
ボールに向かうステップの幅、グラブの運び、送球の腕の振りはどうしたらカッコいいか・・・見せびらかしのプレーとも言われた派手なランニング・スローがそうでしたが、ファンに喜んでもらえる自分の「技」と「遊び」とを思う存分注ぎ込めたからです。
守り伝えられるべき内野守備の技
「捕球から送球のプレーには15、6種類のパターン(形)がある」と野球雑談で言ったところ「そんなに沢山?」と疑われました。それくらい技術の引き出しを持っていなければゴロが千変万化する天然芝上の内野手は一流とは言えなかったのです。
人工芝はそんな技術を過去のものにしてしまいました。多彩な守りの技がパワーの守りにとってかわられたのは、プレー環境変化への適応で自然の流れ、守りの名人を絶滅危惧種にしてしまいました。しかし、それは野球の大きな楽しみをひとつ失ったことでもあるのです。ファンが観戦で投球の次に多く見るプレーが内野守備ではありませんか。
人工芝はそんな技術を過去のものにしてしまいました。多彩な守りの技がパワーの守りにとってかわられたのは、プレー環境変化への適応で自然の流れ、守りの名人を絶滅危惧種にしてしまいました。しかし、それは野球の大きな楽しみをひとつ失ったことでもあるのです。ファンが観戦で投球の次に多く見るプレーが内野守備ではありませんか。
環境の変化で失われ滅びつつある技術はいくらでもあります。進歩の代償ですが、それでも守り伝えられるべき技も少なくない。内野守備もその一つと強調したいのです。
5月のこのページで巨人に加わった村田修一の三塁守備が横浜時代よりずっと良くなっている、と話し編集スタッフに意外な顔をされました。私には守りが常に気になるのです。人工芝上でも選手が意識さえすれば高度で多彩な守備技術の維持は可能なのだ、と思いたいですね。
いつも「昔はよかった」にならないよう気をつけていますけれど、今回はそんな傾向が出たかもしれません。オールド野球人の蘊蓄(うんちく)として受け取ってください。
5月のこのページで巨人に加わった村田修一の三塁守備が横浜時代よりずっと良くなっている、と話し編集スタッフに意外な顔をされました。私には守りが常に気になるのです。人工芝上でも選手が意識さえすれば高度で多彩な守備技術の維持は可能なのだ、と思いたいですね。
いつも「昔はよかった」にならないよう気をつけていますけれど、今回はそんな傾向が出たかもしれません。オールド野球人の蘊蓄(うんちく)として受け取ってください。
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