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第36回
残暑の月は・・・
イチローが日米通算4000本安打を達成しました。大リーグの殿堂入り確実、と辛口のニューヨークの記者たちが保証するイチローですから、「おめでとう」もないのですが、唸るのはその自己管理です。日本ではもちろん、大リーグでも故障なし、13年間の大リーグで故障者リスト(2週間)に入ったのが一度だけとは驚異です。人間離れの自己管理が生んだ大記録でした。
ところで残暑お見舞い・・・の9月ですが、それにしても8月の暑さは凄かったですね。涼しさを呼ぶ風景の代表としてテレビによく登場する清流の四万十川の町で気温40度超が4日連続とは驚きました。猛暑の延長戦はしばらく続くと覚悟して、暑さ対策の気は抜けません。
もっとも野球選手の9月は昔から厳しい1カ月と決まっています。ペナントレースの総決算の月、4月から半年間戦い続け、勝ち組と負け組とが峻別される月です。疲れた身体と心にむち打って、ラストスパートをかける厳しい日々の連続です。
雑談の席で「監督とそっくり同じことを言っているので驚きました」と、OB野球記者が言い出しました。雑談では私はいつも「監督」です。9月の選手の心構え伝える名言を昔の大リーガーの本で見つけたそうです。私と同世代の三冠王の言葉だと言います。
「朝起きると野球のことを考える。そして終日野球のことを考え続け、寝ている間は野球の夢を観る。野球のことを考えない時間は必死にプレーしている試合の間だけだ」
なるほど、野球人の心構えは日米ともに同じだ、とうなずきました。ただし、私の場合これは9月に限ったことではなく、ユニホームを着ている間は常にこの心構えでと思い、実践して来たつもりですけれど。

秋のラストスパートの鍵は「真夏の練習にあり」
それはともかく、ラストスパートの月を迎えた選手は身体も心も一段と研ぎ澄まされていなければなりません。
これは私の持論、と言うより、巨人の伝統になっていると思いますが、秋のスパートのカギは「真夏の練習にあり」です。「練習」と言っても、炎天下で身体をむやみに動かすわけではありません。ランニングです。下半身をしっかり鍛えておく、これがポイントです。下半身が弱ると投、打、守のプレーのすべてを狂わせてしまいます。走りこみの量は、各自の食事、睡眠、体調によって決まってきます。「真夏の練習」には、自分の心と身体をどう管理するか、選手としての生き方が問われているのです。
選手時代の夏場の習慣は今の私にも生きています。
まず食事です。今は和食、魚料理中心になっていますが、ときどき肉料理が入ります。暑さで消耗した体力にエネルギー補給です。若いころのビーフシチューがすき焼きになりました。間食は和菓子ですね。食生活は日本回帰。次に睡眠。寝る前に水をしっかり飲みます。選手時代は汗が冷やされて体調を崩すと拙い、とクーラーも扇風機も切って寝ていましたが、この夏はダメでした。暑さと湿度の具合が昔と違います。地球温暖化にはかないません。クーラーの運転時間を調節して使います。
最近は二度ほど目を覚ますようになりましたから、汗対策で着替えを二組、それと飲料水を置いておく。そして、選手時代の走りこみに当たるのがリハビリになるようです。
体調管理の具体的な目安は体重です。選手時代と同じ77キロ、この増減で食事やリハビリの量や睡眠時間に気を配るわけですけれど、多分これは一般の人たちの健康管理と同じでしょう。バランスのとれた食事、適度な運動、十分な睡眠・・・これが柱ですから。

プレーの環境も生活環境も時代の変化
昔の9月はリーグの半分程度のチームがペナント争いから脱落していて「消化試合」がありました。今はプレーオフが待っている。リーグ優勝したチームにはゴールのテープを切った途端に目の前にハードルが置かれ、負けたチームに「追試験」のドアが開かれる。優勝チームの選手が日本シリーズに向けて「負けて元々」の負けチームよりプレッシャーを感じるのですから、好きになれません。複数の敗者にチャンスを与えるこの制度で「消化試合」は激減し、消えつつある言葉になりました。
言葉と言えば「熱中症」、これが一般的になったのはこの10年くらいではないですか。昔は炎天下での「日射病」でしたが、今は室内でも用心する「熱中症」。プレーの環境も生活環境も、時代の変化と言うしかありませんね。
巨人は順調に勝ち進んできていますから、心配ないでしょうが、「プレーオフにも熱中症にも負けぬ残暑かな」などと思う日々なのです。
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