歴代のセコムオリジナル長嶋茂雄さんの看板(ビッグボード)と、それにまつわる豆知識のご紹介や、1957年に通算8本塁打で東京六大学リーグ本塁打の新記録を達成してから現在にいたるまでの、長嶋茂雄さんの伝説「NAGASHIMA Living Legend」と、数々の名言を世の中に送りだしてきた長嶋茂雄さんの名言「伝説の長嶋茂雄“語録”」をご紹介します。
第8回
苦難のとき、野球が果たす役目とは
緑の風が吹きわたる日々になりました。
しかし、心はからりと五月晴れとはいきません。あの大震災が影を落としているのです。日本人のすべて、心がそうなっているのではないでしょうか。
東日本大震災は、70代も半ばを迎えた私の人生で経験した最大の災害です。子供の頃は戦争でしたが、故郷には佐倉3連隊があったものの空襲を受けることはありませんでした。3・11の大地震は、私が実感した初の大災害ということになります。
地震当初は緊張感と負けるものか、という意気込みで、適当な言葉かどうか分かりませんが、興奮状態でした。ところが、日が経つにつれて何ともいえない沈んだ気持ちが芽生えてきたのが正直なところです。
心をこめたプレーがすべて それが野球を人の元気の素にする
気力をふるい起さねばいけないな、と思い始めたところにプロ野球の開幕。震災後1カ月、何かとストレスを感じ、落ち込みがちな日常に、絶好のタイミングで"元気の素"がやってきた感じです。
人は何時間も緊張し続けることはできません。ましてや、何日も、何カ月もテンションをあげているなど、無理な話です。被災された方々はとり分けそうだと思います。人間には厳しく、苦しい時こそ、気持ちを奮い立たせる"何か"が必要なはず。その"何か"がスポーツや音楽や絵画、文学なのに違いありません。
生活や生産に直接関係のないことだからこそ、楽しみ、息抜きになり、疲れた心を元気づける薬になるのでしょう。野球はその役目を十分果たせると信じています。
生活や生産に直接関係のないことだからこそ、楽しみ、息抜きになり、疲れた心を元気づける薬になるのでしょう。野球はその役目を十分果たせると信じています。
そこで、プレーする選手の側ですが、ことさら肩肘張って特別なプレーをめざす必要はありません。これが一番難しいのですけれど、平常心で真剣な全力プレーに徹することです。「被災された人たちをプレーで少しでも元気づけたい」「一時でも慰めを与えられれば」。そう誓ってグラウンドに立てばその真剣な思いは自然、プレーに表れます。
数少ない地上波実況中継(これは大いに不満です)を観るだけでもそのことは分かります。試合の進行に無駄がない。テンポ、リズムが良い。どのチームの攻守交替もリトルリーグや高校野球の選手のように駆け足でやっている。試合に挑む選手の心の張りが、それぞれの選手を野球の原点に戻したのです。
数少ない地上波実況中継(これは大いに不満です)を観るだけでもそのことは分かります。試合の進行に無駄がない。テンポ、リズムが良い。どのチームの攻守交替もリトルリーグや高校野球の選手のように駆け足でやっている。試合に挑む選手の心の張りが、それぞれの選手を野球の原点に戻したのです。
それにしても、あらためて感じ入ったのは「野球は人生そのままだ」と言うことでした。これはユニホームを脱いだ時の実感ですが「野球は辛く厳しいことの連続だった」との思いです。決して「楽しまなかった」と言うのではありませんが「苦しいの」が野球生活でした。それで「人生そのまま」と感じたのですが、どうでしょう。
けれどもそんな苦しさに負けないのもまた人間です。野球は私にどんな状況でも「勝つこと」に徹するファイティング・スピリットを叩きこんでくれました。
けれどもそんな苦しさに負けないのもまた人間です。野球は私にどんな状況でも「勝つこと」に徹するファイティング・スピリットを叩きこんでくれました。
復興は絶対負けられない延長戦 不屈の魂で戦うだけ
不意打ちの大地震と巨大津波で、私たちは試合の1イニング、2イニングにつまずきました。原発事故も起こりましたから3回もリードされたのかもしれない。だが、試合には勝つチャンスはあります。いや、9回には最低でも同点にして日本復興のこの試合を延長戦に持ち込まねばなりません。
そうして長くなるだろうこの試合、復興への戦いを勝たねばならないのです。選手たちには7カ月続くレギュラーシーズンの間、初心を忘れることなく日本中に「不屈のファイティング・スピリット」を発信し続けてほしいと願わずにはいられません。
自分を励ます意味もあって、ちょっと大仰になりました。なあに、小さな一歩でいいんです。
そうして長くなるだろうこの試合、復興への戦いを勝たねばならないのです。選手たちには7カ月続くレギュラーシーズンの間、初心を忘れることなく日本中に「不屈のファイティング・スピリット」を発信し続けてほしいと願わずにはいられません。
自分を励ます意味もあって、ちょっと大仰になりました。なあに、小さな一歩でいいんです。
大津波後、3週間もたって海上に漂う屋根の上から犬が助けられましたね。元気なミックス(雑種)犬で、避難していた飼い主と再会して尻尾をちぎれるばかりに振っていた。ニュースを観た誰もが気持ちが安らいだのではないでしょうか。
明るい話が心に灯をともしたと言ったらいいでしょうか、野球がそんなささやかな役目でも果たしてくれれば嬉しいですね。
明るい話が心に灯をともしたと言ったらいいでしょうか、野球がそんなささやかな役目でも果たしてくれれば嬉しいですね。
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