[不慮の事故を防ぐ/強化月間]なぜ繰り返される?子どもの転落事故
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セコムの舟生です。
「家庭内の不慮の事故防止」をテーマにお届けしている10月の[強化月間シリーズ]。
今回取り上げるのは、ベランダや窓からの転落事故についてです。
「子どもの安全NEWS」でもたびたびお知らせしているように、マンションの高層階などから子どもが転落する事故が多く起きています。
不幸な転落事故が繰り返されるのは、いったいなぜなのでしょうか。
事故の発生状況はそれぞれ異なりますが、なかには共通していることもあります。
過去に起きた事故を分析しながら、どうしたら転落のリスクを減らせるのか考えてみましょう。
<子どもの安全 強化月間「家庭内の不慮の事故防止」バックナンバー>
・「いつ起きるかわからない事故から子どもを守る」
・「ひもによる事故の危険性を知る」
・「身近にある危険!乳幼児の誤飲事故」
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▼ 子どもの転落事故はどんなときに起きるのか?
半年ほどの間に起きた転落事故をふりかえってみましょう。
・4歳男児がマンション敷地内で見つかり意識不明の重体。男児は3階にある自宅で父親と昼寝をしていたが、自分で鍵を開けてベランダに出て、誤って転落した模様。高さ70cmほどの柵の途中に、足をかけたような跡があった(神奈川県 9月)
・3歳男児が9階の自宅ベランダから転落して死亡。母親は20分ほど外出しており、男児は留守番中にベランダの柵を乗り越えて転落した模様(神奈川県 9月)
・2歳男児がマンション7階にある自宅の窓から転落。男児は足などにけがを負ったが、命に別状はなかった。母親が目を離したすきに、ベッド脇の窓から誤って転落した模様(東京都 9月)
・6歳男児がマンション8階の窓から転落して死亡。男児は姉妹と祖父母宅に遊びに来ており、ベッドで飛び跳ねて遊んでいたが、誤って窓の網戸を突き破り、転落した模様(兵庫県 8月)
・駐車場で倒れている1歳男児が見つかり、死亡を確認。隣接するマンション6階の自宅から転落した模様。保護者は「添い寝をしていたらいなくなっていた」と話しており、ベッドから40cmほどの高さにある出窓から誤って落ちたと見られる(京都府 5月)
・高層マンション43階ベランダから転落した小1女児が死亡。直前まで家族とテレビを見ていたが、目を離したすきにベランダに出て、誤って転落したと模様(大阪府 4月)
▼ 転落事故の共通点を読み解く
実際に起きた事故を見てもわかるように、幼児の転落事故には、いくつか共通点があります。
【幼児の転落事故の共通点】
・保護者の目が届かないときに起きている
事故発生時に保護者が子どもを残して外出していたケース、在宅時でも別の部屋にいたケース、気づかなかったケースなどがあります。
・自分で窓を開けることができた
少し年齢が上がると、施錠した窓でも自分で開けてしまうこともあります。
また「まさか外に出ないだろう」「この窓には届かないだろう」という油断がきっかけになることもありました。
・踏み台や足がかかるものがあった
椅子やゴミ箱、ダンボールなど踏み台になるものによじ登って転落することが多いようです。
ベランダの柵によじ登ったケースや、ベッド脇の高窓から転落したケースもありました。
小さなお子さんがいるご家庭では、危ないことをしないよう日ごろから目を配っていると思います。
でも、忙しいときなどは、子どもから目が離れるときもありますよね。
家庭内で不慮の事故が起きるのは、まさにそういうタイミングです。
転落事故は命の危険に直結します。
「もしかしたらこういうことが起きるかもしれない」を先回りして想像し、保護者の目が離れたときでも絶対に事故が起きないようにするにはどうしたらいいかを考えましょう。
▼ 幼児の転落事故を防ぐ方法
幼児は頭が重いので、好奇心から下をのぞき込んだり、ちょっと身を乗り出したりしただけで、簡単にバランスを崩して落ちてしまうことがあります。
危険な行動をしないように言い聞かせるだけでなく、転落の可能性がある場所に近づけない工夫も必要です。
ベランダを「絶対に出てはいけない場所」として、足を踏み入れさせないようにすることも、ひとつの方法だと思います。
そのほか、幼児がいるご家庭で実践してほしい転落防止対策をまとめます。
<幼児の転落事故防止のために保護者がおこなうべきこと>
・なるべくひとりにしないようにし、別室にいるときは頻繁に声をかける
・目が届かないときは必ず窓に施錠する
・必要に応じて子どもが開けられない補助鍵をつける
・窓下やベランダに足場になるものを置かない
・ベランダに出入りすることを禁止する
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幼児は後追いして事故が起きることがあるため、たとえ短い時間でもひとりで留守番をさせるのは避けてください。過去には、マンションの1階まで兄に忘れ物を届けに行った母を探そうとしてベランダから転落した事故もありました。
ほんのちょっとの時間でも、事故が起きるときは起きます。
「もしかしたら、この瞬間に取り返しのつかない事故が起きるかもしれない」と想像すると、何をすべきかが見えてくるのではないでしょうか。
<子どもの安全 強化月間バックナンバー>
「通学路の安全編」
・子どもを狙う不審者の「声かけ」5つのパターン
・通学時間に起きやすい交通事故
・登下校中に「助けを求められる場所」は?
・通学路の重要性と子どもの行動範囲について
「交通事故防止編」
・小学生の交通事故を防ぐ
・自宅敷地内でも発生!幼児の駐車場事故
・交差点の巻き込み事故を避ける
・自転車事故の共通点とは
「留守番編」
・「はじめての留守番」
・「保護者の留守を狙った犯罪」
・「留守番中の火災を防ぐには」
・「鍵の持たせ方」
「性犯罪防止編」
・「わいせつ目的の犯罪の現状」
・「子どもに性犯罪の危険を教えるには?」
・「男の子を狙った性犯罪」
・「狙われないための安全対策」
「インターネット利用編」
・「子どもを狙うインターネットトラブルの現状」
・「トラブルから子どもを守るペアレンタルコントロールとは」
・「インターネットリテラシーの伸ばし方」
・「ゲーム機やスマホからつながるSNSの注意点」
「災害対策編」
・「親子で地震の備えを見なおそう!」
・「もしも地震が起きたらどうする?」
・「台風や大雨による水害、土砂災害から身を守る」
・「避難場所と緊急時の連絡方法を話し合おう」2016.10.27