[ヒヤリハットを見過ごすな]危ない!ボタン電池の誤飲事故が多発するのはなぜ?

セコムの舟生です。

ボタン電池を使った製品がどこにあるか把握することからはじめてみましょう。実際に起きた「不慮の事故」に注目し、子どもたちの身近にある、見過ごされがちな「危険の芽」を早期に発見し、子どもの安全に役立てるためのシリーズ[ヒヤリハットを見過ごすな]。

今回取り上げるのは、乳幼児に多いボタン電池の誤飲事故です。

ボタン電池には、誤飲するとわずか1時間で食道や胃に穴を開けてしまうという、命にも関わる恐ろしい特性があります。

乳幼児は何でも口に入れたがるので、親御さんも注意していると思います。
それでもボタン電池の誤飲事故が多発しているのは、なぜでしょうか。

今回は、消費者庁に寄せられたボタン電池の事故事例や、ヒヤリハットを振り返りながら、事故原因や事故防止の対策を探ってみたいと思います。

 

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▼ ボタン電池で胃が溶ける...!?誤飲が疑われたら一刻も早く対処を
ボタン電池には、直径2センチ前後のコイン型と、大きさが指先ほどでやや厚みがあるボタン型の2つの形状があります。コイン型のものに多く使われているのは、リチウム電池。ボタン型はアルカリ電池が多いです。

ボタン電池を誤飲し、消化管に接触した部分から電流が流れると電気分解によりアルカリ性の液体がつくられます。このアルカリ性の液体にはタンパク質を溶かす性質があるので、接触した体の中を溶かしてしまうのです。

独立行政法人国民生活センターが発表した、鶏肉を使ったボタン電池の化学やけどの実験では、コイン型リチウム電池でもボタン型のアルカリ電池でも、わずか20分で電池の形のくぼみができるほど損傷していました。

コイン型のボタン電池の場合、放電電力が1.5ボルトのボタン型と比べて3ボルトと高く、電池を使いきるまで一定の電圧を保持し続けるそうです。平たく大きめの形状なので、食道に停滞することもあります。

ボタン型の場合、幼児が鼻の中に入れてしまうことがあり、飲み込んだときと同じように重篤な症状を引き起こした事例も報告されているそうです。

「もしかしたらボタン電池を飲み込んだかもしれない」というときは、自宅で様子見することなく、一刻も早く医療機関で確認することが何よりも重要です。


▼重篤症状につながるボタン電池の誤飲事故
消費者庁と国民生活センターが共同で事故の詳細情報を収集する「医療機関ネットワーク」には、2010年12月から2014年3月末までに、ボタン電池の誤飲の報告が51件、誤飲疑いも含めると93件の報告が寄せられました。年齢別では3歳以下が51件中50件と大半を占め、そのうち38件(76%)が0~1歳児の誤飲でした。

実際に起きたボタン電池の誤飲事故を、「医療機関ネットワーク」等に寄せられた情報からご紹介しましょう。

事例1:リモコンで遊んでいて、リモコンの電池がないのに気づく。食道内にボタン電池を確認(1歳、男児)

事例2:兄と遊んでいて、基礎体温計に使用していたボタン電池を飲み込んだ(1歳、男児)

事例3:タイマーのふたを取って遊んでいるのを母親が発見。中にあるはずのボタン電池が見当たらず、胃にボタン電池を確認(1歳、男児)

事例4:引き出しの中にあるはずのLEDライト付き耳かきが放り出されており、子どもがコイン型のリチウム電池を誤飲していた(1歳、男児)

事例5:母が補聴器の電池を入れ替えているのを子が見ており、まねして触っていたところ、電池挿入部分のふたが開いてしまい誤飲(2歳、女児)

中には体内のボタン電池を摘出するのに9時間もかかり、2カ月も入院した重篤事故も含まれています。

▼ウチにもある!?乳幼児が手にしてしまうボタン電池
事故事例を見ると、いずれも家電品のボタン電池を誤飲していることがわかりますね。

キッズデザイン協議会が産業技術総合研究所と協力して作成した「子どもの事故に関するデータベース」でも、タイマー、目覚まし時計、家電リモコンなどに使われているボタン電池が、誤飲事故や誤飲疑いの要因に多くあがっていました。

つまり、「子どもが日常的に触るおもちゃより、家電品や日用品に使われているボタン電池が危ない」ということ。ボタン電池の危険性を理解していなければ、保護者も子どもが触っていることを見過ごしてしまうこともあるかもしれません。このことへの「気づき」が、ボタン電池の誤飲事故を防ぐヒントになるのではないでしょうか。

子どものおもちゃにもボタン電池を使用したものは多いですが、あらかじめ誤飲の危険性を配慮して工具などを使用しなくては開けられない仕様になっているものがほとんど。
一方、乳幼児が触る前提でつくられていない製品の中には、工具なしで開けられるものや、落とした衝撃で開いてしまうものがあります。

<乳幼児のボタン電池の誤飲事故を防ぐポイント>
・家の中にあるボタン電池を使用した製品をすべて把握する
・工具がなくても取り出せるものは、子どもの手が届く場所に置かない
・簡単に取り出せない構造のものでも、子どものおもちゃ以外は遊び道具にさせない
・使用済みのボタン電池、使用前のボタン電池の置き場所に注意する


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まずはご家庭内を見回して、ボタン電池を使っているものをチェックしてみてください。
家電のリモコンやタイマーの他にも、電子体温計、置き時計、照明付き耳かき、電卓、ライトなどなど、ボタン電池を使っているものの多いことに驚くかもしれませんね。

以前ご紹介した誤飲による窒息事故と合わせて、「誤飲事故が起きやすい状況」を理解いただくと、事故防止につながるはずです。





2014年12月22日(月)

カテゴリー: 事故防止

プロフィール

舟生 岳夫

セコム株式会社
IS研究所 所属

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