マテリアリティ04人権尊重と誠実な企業活動

セコム株式会社 経営企画部⻑
迫田 将幸
高まる人権尊重への要求に応えるための体制整備
日本国内では、企業のコンプライアンス体制や内部通報の信頼性といったガバナンス面とリンクして、ハラスメントなどの人権課題が取り上げられるようになりました。そのような状況のなか、当社グループのセキュリティ事業においても人権デューデリジェンスが取引要件に加わるケースが出てきており、より厳格に人権への対応が求められるようになってきたと認識しています。こうした状況に対応するために、セコムでは本社各部署が部門間で連携してチーム活動を行い、専門家を招いての勉強会などを通じて知識を深めてきました。今後は人権デューデリジェンスの体制を整備し、ロードマップを策定して取り組みを進めるとともに、将来的には海外子会社への展開も視野に活動していく考えです。
ハラスメント防止に向けての社内啓発は、特に注力してきたテーマです。障害者差別解消法の改正を受け、障がいのある人への合理的配慮に関するeラーニングのコンテンツを拡充して啓蒙活動を進めたり、責任者向けの研修では、部下に対する指導のあり方やアンガーマネジメントをテーマにするなどの取り組みを継続しています。また、お客様対応の現場などで発生しているカスタマーハラスメントに対しては、会社として厳正に対処すべく、2025年2月に基本方針を公表するとともに、社内向けの対応ガイドラインも作成しました。カスタマーハラスメントへの対応方針を明確にすることで、社員が心身ともに健康で安心して働ける就労環境を維持する体制を整えるとともに、社員を守っていければと考えています。
社内のリスクを早期に発見し、適切に対応するために
この数年で内部通報制度の窓口整備を進め、社員の声を拾い上げる体制の強化を図ってきました。2024年度は、社内における相談窓口の認知度を高めるための活動に力を入れました。eラーニングで実際の相談に即した設問を加えるなどの取り組みを通じて、気構えなく相談できる環境づくりを進めた結果、以前と比較して軽度の相談内容が増え、相談件数ベースでは増加となりました。今後はさらに、相談者に安心を与えられるよう、内部通報に対応する従事者向けに教育の実施やマニュアル整備等を進めていく考えです。
セキュリティ事業所の内部監査の実施率は100%を継続しており、監査実施時の聞き取りなどで得られた情報は関連部門にフィードバックして改善を図っています。これまでの監査結果を踏まえて監査項目の見直しなども行い、組織風土の健全さを確認する手段としてより精度を高められればと考えています。
また、コーポレート・ガバナンス体制においては、取締役10名中4名が社外取締役、2名が女性であり、数年前に比べると多様性の確保がなされ、監督機能の強化も進んでいると認識しています。今後も各ステークホルダーに対するエンゲージメントに積極的に取り組み、企業価値の向上を目指していきます。
| KGI (目指す姿) |
KPI (KGIに向けた指標) |
目標値 | 目標年 | 2024年度 実績 |
|---|---|---|---|---|
| 「人権を守る」企業として社会に評価される | ||||
| 人権とハラスメント防止のeラーニング受講率 | 100% | 毎年 | 99.8% | |
| 正しさを追求し、豁達な組織風土を醸成する | ||||
| 人命救助・特殊詐欺被害防止等の貢献 (社長表彰・本部長表彰の件数) |
― | 毎年 | 305件 | |
| 内部監査実施率 (対象はセキュリティ事業所) |
100% | 毎年 | 100% | |




















