パートナーとの革新的サービスの創造|先端技術の活用とパートナーシップ|サステナビリティ重要課題|セキュリティのセコム株式会社-信頼される安心を、社会へ。-

パートナーとの革新的サービスの創造

基本方針と推進体制

基本的な考え方・方針

セコムは、誰もが安心して暮らせる社会の実現に向けて、これまで数多くの新しいサービスを生み出してきました。

しかし昨今、社会環境がめまぐるしく変化し、「安全・安心」のニーズが多種多様化する中で、社会が必要とするサービスを“よりスピーディー、かつより多様に”創出することが求められています。その要請に応えていくには、社内外のアイデア、技術をより積極的に融合させていく必要があると考え、2015年よりオープンイノベーション活動を推し進め、さまざまなパートナーとも協働しながら、新たな価値の検証や商品化に取り組んできました。

こうした新たな顧客価値・社会的価値を創り出していくチームおよびその活動の総称、そしてそこから生まれた商品を示すブランドとして、2019年には「SECOM DESIGN FACTORY(セコムデザインファクトリー)」を始動させました。ここでは、従来のセコムブランドイメージを超える挑戦的・実験的な協働の取り組みを通じて、新たな価値創造を目指しています。

また、クラウドコンピューティング、AI等のデータサイエンスの活用など、デジタル化の流れが急加速している中、既存サービスの領域においても、新たなビジネスモデルの将来像を展望することが必要です。そこで、先端デジタル技術の活用および社内外との協働をより自由に、より柔軟な発想で行うことを目的とした新たな「場」として、2022年に「HARAJUKU 3rd Place(原宿サードプレイス)」を開設しました。

今後、パートナーとの戦略的な協働プロジェクトや社内外のコラボレーション活動を推進することで、社会に求められる“お困りごと”を解決する新しい価値の創出に挑戦していきます。

推進体制

SECOM DESIGN FACTORYのプロジェクトを専門組織「オープンイノベーション推進担当」が中心となって推進する一方、既存事業領域においても、所属する組織の垣根を超えて、自由闊達に議論、協働、挑戦していくことが重要であるとして、2020年に「ビジネスデザイン研究室」を本社内に設置し、部門横断的な活動を積極的に進めています。2022年には「HARAJUKU 3rd Place」に拠点を移し、お客様の課題解決に向けた協働活動や挑戦的な技術活用、社内外のコラボレーションを一層強力に推進しています。

また、国際事業においては、グループ国際本部が中心となって海外のパートナー企業と連携しながら新商品・新サービスの創造に努める一方、2022年4月にグループ国際本部内に発足した「新事業開発プロジェクト」が海外における成長力のある新たな事業ポートフォリオの構築を進めています。

セコムが考える「オープンイノベーション」

オープンイノベーションの発想は元来、研究開発の効率を上げるために組織の壁を越えて技術シーズ※1をやりとりするといった視点に依りますが、セコムでは、これに加えて、サービス視座に力点を置きながら活動を進めています。大切にしているのは、「社会はどうなっていくのか」「一人一人の価値観、あるいはコミュニティの“想い”はどうなっているのか」ということです。その兆しを得るために、オープンイノベーション活動の起点として、分野・業界を超えた多くの皆様と今後の社会について議論し、さまざまな視座から見た課題や期待を可視化する場、「セコムオープンラボ」を開催しています。

「セコムオープンラボ」では、課題を交換する中で出たさまざまな価値観や洞察を可視化し、ウェブサイトで公開しています。不確実性の増す今日において、得られた成果をオープンにすることで、社会全体で活用し、社会や日常の新たな課題に取り組んでいこう、というものです。セコムだけでなく、議論に参加した方々からも活用例が生まれています。イノベーションを進める中で大切なのは、“課題感”をもって自己と異なるマインドセットに触れることです。多様なマインドセットへの結び付きから新しいひらめき、セレンディピティ※2が生まれます。

  • 技術シーズ・・・開発や新規事業創出を推進する上で必要となる技術のこと
  • セレンディピティ・・・思いがけない発見

セコムオープンイノベーションサイト

図:未知の課題を惑星探査に置き換えたセコムオープンイノベーションのシンボル

未知の課題を惑星探査に置き換えたセコムオープンイノベーションのシンボル

写真:今後の社会について議論する「セコムオープンラボ」

今後の社会について議論する「セコムオープンラボ」

オープンイノベーション推進担当の活動

オープンイノベーション推進担当は、「セコムオープンラボ」をニーズ・兆しを捉えるきっかけとし、現場観察やデータなどから得られた仮説と結び付けて、検証を行い、価値を確認する、というサイクルを繰り返しながら、社会に求められる“お困りごと”を解決する新しいサービスの創出に取り組んでいます。

「セコムオープンラボ」では毎回異なるテーマにフォーカスをしながら、関連する分野の方々の参加により、新たな価値の創造に向けて多様化する価値観を探索し、可視化していくための議論を行っています。これまで「2030年 共感マッピング」「デジタル化した世界の『財』と『信用』」「フィルター化とタイパ社会の光と影」などのテーマで開催してきました。コロナ禍以降は生配信でのオンラインワークショップや、起業家やデザイナーなどの有識者座談、ロボット「cocobo」や「AIルフィ」の開発ケースなどオンライン開催も交えながら、2023年以降は再びリアル開催を中心に実施しています。

こうした社会やコミュニティとの協働で多様化する価値観を探索して仮説を見出し、小さなプロトタイプをつくった上、それを用いて価値検証を実施し、フィードバックを得てプロトタイプを修繕していきます。修繕したプロトタイプを再度価値検証するというサイクルを繰り返しながら、社会側との協働と開発側での協働を行き来してニーズや価値を確認するリーン型の開発プロセスに取り組んでいます。

このプロセスの一つの出口として、革新的・独創的なサービス創出を加速させるべく、挑戦的・実験的な協働により新たな価値創造を目指す戦略的な協働プロジェクトブランド「SECOM DESIGN FACTORY」を策定しました。従来のセコムブランドでの商品づくりに加えて、挑戦的・実験的なアプローチの「SECOM DESIGN FACTORY」という二つの出口を使い分けながら、新しい価値の創出を進めています。

さまざまな企業との新しいサービスの開発や実証実験など、具体的な取り組みについては、セコムオープンイノベーションの専用ウェブサイトにて、オープンイノベーション関連ニュースとして社会に発信しています。

協働プロジェクトブランド「SECOM DESIGN FACTORY」

新しい価値を具現化していく挑戦的・実験的な協働プロジェクトや、その商品を示すブランドとして「SECOM DESIGN FACTORY」を策定。ロゴマークは、今までなかった新しい価値を創出するという想いを込めて、“0→1”のイメージを、また「1」を矢印に見立てて、さまざまなパートナーと協働しながら、未来へ向かって進んでいく想いを表現しています。これまでに、AIで駆動する3Dキャラクターが警戒警備や受付などを提供する「バーチャル警備システム」やその技術を応用した「AIルフィ」、“威厳と親しみやすさ”“公共空間との調和”をコンセプトにデザインしたロボット「cocobo」、また「セコム・ホームセキュリティ」と「Apple Watch」や「iPhone」を連携させる心地よさだけでなく楽しさにフォーカスした「SECOM カンタービレ」アプリ、Apple Watchの転倒検出機能と連携する日本初のアプリ「YORiSOS」など、機能性だけでなく感性にも寄り添いながら、ご利用者の感情に響くエモーショナルな価値の創出を目指しています。

「SECOMカンタービレ」アプリ

2022年2月、セコムは、「Apple Watch」や「iPhone」を連携させることでより快適に、より楽しく「セコム・ホームセキュリティ」を使用できる「SECOM カンタービレ」アプリの提供を開始しました。

Apple Watchでは、外出・帰宅の際、アプリからの通知により、Apple Watchをタップするだけで、セコム・ホームセキュリティのセット・解除の操作ができるようになり、「セキュリティのUX(ユーザーエクスペリエンス)」が向上しました。

また、iPhoneでは、Apple Watchで取得した消費カロリー、歩数、睡眠時間、血液中の酸素レベルといったヘルスケアデータを可視化した「健康レポート」が作成され日々のヘルスケアに役立てることができます。

写真:「SECOMカンタービレ」アプリのApple Watchアイコン(左)とiPhoneホーム画面(右)

「SECOMカンタービレ」アプリのApple Watchアイコン(左)とiPhoneホーム画面(右)

「YORiSOS」アプリ

2023年4月、セコムは「SECOMカンタービレ」に続く2つ目の「Apple Watch」対応アプリ「YORiSOS」をリリースしました。「YORiSOS」は緊急通報とヘルスケアを一体化したサービスを提供します。日常では「Apple Watch」で計測するさまざまなデータによってきめ細やかな健康づくりをサポートでき、いざという時には自宅内でも外出先でもセコムに通報できます。日本で初めて「Apple Watch」の転倒検出機能と連携する機能を備えました。

また、「いつでもみまもり」アプリを連携することでご利用者のご家族様による見守りも可能となっています。

図:「Apple Watch」のホーム画面上の「YORiSOS」アプリ

「Apple Watch」のホーム画面上の「YORiSOS」アプリ

シニア向けコミュニケーションサービス「あのね」

2023年4月、セコムは(株)ディー・エヌ・エーとともに、高齢者の日々の生活に「明るさ」「楽しさ」を提供する新しいコミュニケーションサービス「あのね」を開発し、販売開始しました。高齢化の進展に伴い、一人暮らしの高齢者の数は年々増え続けています。独居高齢者の会話不足による認知機能や身体機能の低下リスクが課題となる中、「あのね」はロボットを通じた人との会話が可能です。昨今普及しつつあるAI自動応答ロボットとは異なり、人による温かみを持ち合わせています。

写真:「あのね」に用いるコミュニケーションロボット「BOCCO emo(ボッコ エモ)」

「あのね」に用いるコミュニケーションロボット「BOCCO emo(ボッコ エモ)」

より自由で柔軟な発想を生む場「HARAJUKU 3rd Place」

社内外との協働強化に向けて

セコムグループの新たな「対話」「協働」「発信」を実践する場となることを目指して、2022年7月、セコム本社ビル(東京都渋谷区)に「HARAJUKU 3rd Place」を開設しました。

「サードプレイス」という名称には、社内外の枠組みにとらわれず、お客様やセコムグループ社員が交わり、協働することができる“第三の場所”という思いが込められています。

変化の激しい時代の中で、先端デジタル技術の探索や獲得、社内外との協働がますます重要となっています。本施設には、先端技術活用による新たなサービス創出を研究するビジネスデザイン研究室が駐在して部門横断的活動の企画推進を担っています。

写真:セコム本社ビルの一角にある「HARAJUKU 3rd Place」

セコム本社ビルの一角にある「HARAJUKU 3rd Place」

海外での取り組み

セコムは、マーケット調査などで現地のニーズを的確に把握するとともに、世界各国のメーカーやIT企業とのオープンイノベーションを積極的に推進し、海外パートナー企業と連携して、現地のニーズに合った革新的なサービス創出に取り組んでいます。

世界的なクラウドセキュリティ企業への出資

2023年5月、セコムは、世界的なクラウドセキュリティ企業であるEagle Eye Networks、Brivoの2社への出資(第三者割当増資の引受け)を発表しました。

両社は、セキュリティ市場に関わる成長領域であるVSaaS※1およびACaaS※2における米国の代表的な企業で、出資を受け、今後はAI分析機能の開発をさらに強化し、グローバル事業の拡大を加速させます。また、セコムは今回の出資を通じて、海外市場における成長力のある新たな事業ポートフォリオの構築、中長期的なシナジーの実現、グローバル事業の拡大を進めるほか、両社の有する先端テクノロジーや独自ソリューションを活用し、サービスやシステムを一層進化させていきます。

  • VSaaS (Video Surveillance as a Service)・・・監視カメラ映像を、クラウド上からアクセス・管理・解析するサービス
  • ACaaS (Access Control as a Service)・・・物件のアクセスコントロール端末を、クラウド上から制御・管理するサービス
  • 写真:セコム(株)とEagle Eye Networks社・Brivo社が出資契約に合意

    セコム(株)とEagle Eye Networks社・Brivo社が出資契約に合意

    アジア地域でのニーズ発掘とプレゼンス拡大

    サービスや商品の開発スピードが極めて速いグローバル市場においては、その潮流を捉え、革新的なサービスをスピーディーに展開することが重要です。セコムは、成長市場である中国や東南アジアでテクノロジーを活かしたセキュリティシステムの普及を加速するため、現地企業とのオープンイノベーションを推進し、進出先の国や地域の市場ニーズを踏まえたサービス創出に取り組んでいます。

    中国では、上海に開設した「中国イノベーションセンター」でサービス基盤のデジタル化を推進するとともに、新たな価値創造を目的として、現地企業とのビジネスエコシステムの構築に取り組んでいます。2022年11月には、セコムとお客様とのつながりを強化するために、新しいスマートフォンアプリをリリースしました。セコムに触れる機会が増えた上に便利機能が充実したことから、お客様より高い評価を得ています。次の時代を担うサービスの仕組みの構築に向けて、システム開発と運営体制の強化を両輪で進めています。

    タイのバンコクでは、東南アジア地域の事業における企画推進体制を強化すべく、「ASEANイノベーションセンター」を開設しました。世界のスタートアップ企業とクラウド画像解析などを活用した新サービスの創出を検討するほか、タイ企業と、ロボティクス技術を活用した「人×機械」のハイブリッド警備を検証するなど、現地ニーズに即した商材やサービスの企画・導入を推進しています。

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    パートナーとの革新的サービスの創造。セコムのサステナビリティについて紹介しているページです。セコムは、経済面、環境面、社会面の活動を通じて、「企業と社会が共に持続的に発展することが重要である」という考え方を根底におき、創業以来、事業を通じて社会・環境課題の解決に努めています。