人権尊重の取り組み
基本方針と推進体制
基本的な考え方・方針
セコムは、事業方針を定めた「セコムの事業と運営の憲法」、グループ全社員のあるべき姿や守るべき行動基準を定めた「セコムグループ社員行動規範」を指針として、これまで人権尊重の取り組みを推進してきました。「人権尊重と誠実な企業活動」を重要課題(マテリアリティ)の一つに据え、グローバルな人権課題にも真摯に対応すべく、2022年10月に新たに「セコムグループ人権方針」を策定しました。
セコムグループ人権方針
セコムグループ(以下、当社)は、「組織内にあってはもちろんであるが、組織外であっても、人間尊重が基本であり、いかなる場合においても、いささかも人間の尊厳を傷つけてはならない」と運営基本10カ条に定めており、あらゆる差別を禁止しています。
人権尊重の取り組みをより一層推進し、その責務を果たしていく指針として、「セコムグループ人権方針」(以下、本方針)をここに定めます。
1. 適用範囲
本方針は当社のすべての役員と社員(契約社員、派遣社員、パート/アルバイト含む)に適用されます。
また、お取引先とその関係者の皆様にも本方針を理解し、支持していただくことを期待するとともに、サプライチェーン全体で人権尊重の取り組みを推進すべく継続的に働きかけていきます。
2. 法令遵守と国際規範
当社は事業活動を行うそれぞれの国や地域で適用される人権尊重に関する法令を遵守します。
また、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、国際的に認められた人権を尊重します。法令と国際規範に矛盾がある場合には、国際的な人権の原則を尊重する方法を追求します。
3. 人権の尊重
当社は人種、民族、国籍、出身地、社会的地位、性別、言語、障がい、宗教、信念または信条、性的指向、性自認などに基づくあらゆる種類の差別および嫌がらせ、個人の尊厳を損なう行為を禁止します。また、いかなる形態の強制労働および児童労働も認めません。
4. 人権デューデリジェンス
当社は人権尊重の責務を果たすために、人権デューデリジェンスの仕組みを構築、これを継続的に実施し、人権への負の影響の特定、回避、軽減を図るよう努めます。
5. 救済・是正
当社が人権に対する負の影響を引き起こした、あるいはこれに関与したことが明らかになった場合、適切な手続きを通じてその救済と是正に取り組みます。
6. 教育・啓発
当社は本方針が事業活動全体に定着するよう、必要な手続きの中に反映するとともに、すべての役員と社員に理解され効果的に実施されるよう、適切な教育と研修を行います。
7. 情報開示とコミュニケーション
当社は人権尊重の取り組みについて、ウェブサイト等で報告していきます。広く社会に情報を開示し、ステークホルダーの皆様とのコミュニケーションを通じて社会からの期待に応えられるよう努めます。
制定 2022年10月1日
セコム株式会社 代表取締役社長
推進体制
人事担当役員のもと、「人事部」が主体となり、全国各本部の責任者と連携して、人権を尊重する職場づくりを推進しています。
また、多様な価値観を取り入れることが企業の活力と発展につながるとの考えのもと、「D&I推進担当」を中心に、多様な社員一人ひとりを尊重する組織風土を醸成するための施策に取り組んでいます。
人権デューデリジェンス
2022年10月に「セコムグループ人権方針」を策定後、人権デューデリジェンスの第一歩として、当社の事業分野、提供する製品・サービス等における主要な人権課題の特定を進めています。
人権とハラスメント防止の教育
社員教育と組織運営
セコムの運営の基本方針である「運営基本10カ条」において人権尊重の精神を示すとともに、「セコムグループ社員行動規範」では具体的に遵守すべき行動基準を定めています。また「セコムグループ人権方針」では、人権尊重の取り組みを一層推進するための指針を定めました。
さらに、2017年度に定めた「妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント及びセクシャルハラスメントの防止に関する規程」を2020年6月の改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)の施行に合わせて「職場におけるハラスメントの防止に関する規程」に改定し、ハラスメントの相談窓口を一本化・明確化しました。規程の改定や相談窓口の詳細は社員に通知したほか、社内イントラネットで共有し、研修などを通じて、人権尊重の社員教育と組織運営を行っています。
一方、ISO26000や世界人権宣言、ILO(国際労働機関)中核的労働基準などの国際規範を参考とした「セコムグループお取引先CSR推進ガイドライン」 を発行し、サプライチェーンにおける人権尊重、差別の禁止、労働条件の遵守、児童労働・強制労働の禁止などにお取引先とともに取り組んでいます。
ハラスメント防止教育
職場におけるハラスメントを防止するため、毎年、全社員を対象にしたeラーニングを実施しています。各種ハラスメント、「セコムグループ人権方針」を含む「人権とは何か」をテーマに、学習と確認テストを行うほか、動画コンテンツでの学習も実施しています。
また、全国の新任事業所責任者を対象にした研修でも、外部講師による「ハラスメント防止研修」を実施しています。さまざまなハラスメントの実例を用いたシミュレーション、実際にハラスメントが起きた際の当事者への面談方法、アンガーマネジメント(怒りのコントロール)など、実践的なハラスメント防止教育を行います。2023年度は、対象となる59名が受講しました。
全社員が実施するeラーニングのサイト
人権とハラスメント防止教育の実績
目標 | 2019年度 実績 |
2020年度 実績 |
2021年度 実績 |
2022年度 実績 |
2023年度 実績 |
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eラーニング 受講率 |
100% | 97.2% | 98.0% | 97.0% | 97.7% | 99.7% |
各種相談窓口の設置
セコムグループ社員の人権を守り、安心して職務を遂行できるように、日頃から各種の相談ができる窓口に加え、本人もしくは周辺に人権侵害と思われる事案が生じたときの専門の相談窓口を設けています。相談者の氏名や相談内容は秘密事項として保持され、相談したことによって不利益を被ることがないよう配慮されています。
社員相談サイト
社員が会社の方針やルールなどで疑問を抱いたり、小さなエラーやミスを起こしてしまった場合、一人で悩みを抱え込まないように、問題や悩みを匿名で相談できるサイトです。悩みなどが小さいうちに相談することで、大きな問題に発展しないようにする仕組みです。
ハラスメント相談窓口
パワハラ、セクハラなどの各種ハラスメントについて、防止規程を設けるとともに、グループ社員からの相談・連絡を受け付ける窓口を設置しています。相談窓口に投稿があった際は、内部通報規程に沿い、人事部および監査部が、必要に応じて関連部署と連携しながら、速やかに相談者へ連絡・早期解決に向けて対応するとともに、適正な就業環境を取り戻すため、相談者を支援します。
ほっとヘルプライン
法令違反、規程違反、セクハラなどの問題について、何らかの理由で上司に報告することができない場合の内部通報システムとして、セコムグループ社員が通報できる「ほっとヘルプライン」、「ほっとヘルプライン(社外通報窓口)」および「グループ本社ヘルプライン」を設置しています。
法律相談サービス
日々の生活における出来事について、法律的にどう対応すればいいかわからず困ったときのため、無料で法律相談ができる窓口を設けており、顧問弁護士が直接、社員の相談を受けています。
障がいのある方の相談窓口
障がいのある社員が利用する相談窓口として、より分かりやすく、よりアクセスしやすくするために設置しています。
内部通報システムの詳細コンプライアンス
海外での取り組み
セコムは、事業のグローバル展開にあたって、サプライチェーンを含めた各国での人権尊重の重要性を認識しており、グループ全体で各国法令の遵守、人権課題への対応に取り組んでいます。
2022年に策定された「セコムグループ人権方針」は、各国の言語に翻訳し、周知徹底を図っています。
セコムインドネシアでは「セコムグループ人権方針」を社内に掲示
英国現代奴隷法への対応
イギリスに拠点を置くセコムPLCでは、同国で2015年3月に制定された「英国現代奴隷法(Modern Slavery Act 2015)」に基づき、サプライチェーンを含め、自社の商品・サービスの提供に伴う直接的・間接的な強制労働、拘束労働や人身取引による労働への加担を認めないことを表明しています。
また、内部通報制度を整え、サプライチェーンにおいて現代奴隷に該当する事案に気づいた際は、速やかに当社へ通知するよう求めているほか、「ハラスメントといじめ防止に関する方針」「機会均等・多様性方針」、GDPR(一般データ保護規則)に基づく「個人情報保護方針」「データ保護方針」、「贈収賄防止方針」「安全衛生方針」「倫理的取引方針」を定め、適切な事業運営に努めています。
セコムPLC「現代奴隷に関する宣言」
豪州現代奴隷法への対応
オーストラリアでは、「豪州現代奴隷法(Modern Slavery Act 2018)」が2018年12月に制定、翌年1月に施行されました。シドニーなどの主要都市で事業を展開するセコムオーストラリアとその子会社は、同法に基づき、自社の事業とサプライチェーンにおいて、あらゆる現代奴隷を認めない方針を表明しています。
当事業においては、特に再委託先であるサプライヤーにおける人権リスクが高いと認識しており、新たな取引の際には、贈収賄・人権・労働安全衛生・環境等における人権デューデリジェンスを実施しています。
他方、セコムオーストラリアは、10年以上にわたって、先住民インディジネスの支援にも取り組んでいます。インディジネスはオーストラリアの先住民でありながら、長い間、社会的・経済的格差や不平等に直面してきました。取り組みの一例として、セキュリティ機器の設置工事の際、インディジネスが運営する企業を協力会社として選定し就業機会の創出に協力しています。このような各種の取り組みはオーストラリア政府からも高い評価を受けています。
インディジネスの文化への理解を深めるため、講師を招いて社員向けの講演会も開催