コンプライアンス
基本方針と推進体制
基本的な考え方・方針
セコムでは、お客様の生命・財産を第三者の不法・不正行為から守るセキュリティ事業を行う上で、誠実に業務を遂行し、お客様や社会から信頼を得ることが何よりも重要だと考えています。当社はすべての役職員の公私にわたるあり方と具体的な日々の職務遂行における行動基準である「セコムグループ社員行動規範」を制定し、さまざまな機会を通じて、その徹底を図っています。
セキュリティ事業の大きな特色は、サービスを提供する社員が他を律する立場にある、ということです。すなわち、一人ひとりの社員が他を律する者として、自らも律し、法ならびに法の精神を遵守して、誠実に業務を遂行することにより、初めてお客様から信頼され、セキュリティ事業が成立します。そのため、会社の根本方針として、組織的に法令およびその精神の遵守を一人ひとりの社員に徹底させる努力を続けており、それが多くのお客様からの信頼につながり、今日の成長を支えてきました。
推進体制
セコムにとってのコンプライアンスは、法令・定款の遵守はもとより、その精神に基づいて、より厳格な組織運営を行う日常業務そのものです。一人ひとりが常に高いコンプライアンス意識を保持し、さらにその推進者となる体制を重視しています。役職員は、コンプライアンスを含む職務執行の行動基準である「セコムグループ社員行動規範」に基づいて行動し、「セコムの事業と運営の憲法」を基軸とする業務運営を行う体制としています。
各担当役員・部門責任者は、自己の担当する事業分野について適宜事業リスクおよび不正リスクを分析・評価し、結果について代表取締役社長および監査役へ報告するとともに、顕在化したリスクについては適切に対応しています。
コンプライアンスを重視した組織運営
歴史的背景と今日に至るまでの経過
当社は、1962年に日本で初めての警備保障会社として発足しました。第三者の不法・不正行為からお客様の生命・財産を守るセキュリティ事業を成立させるために不可欠な要件であったのが、日本国憲法および関係法規に従うだけではなく、法の精神をも遵守することです。そのためセコムは、会社の根本方針として、組織的に法令およびその精神の遵守を、一人ひとりの社員に徹底させるための努力を続けてきました。
具体的には、法令で一般に定めるものよりさらに厳しく、かつ全社員が誇りを持てるように、セコム社員としての心得および行動基準を示す各守則を社員手帳としてまとめ、全役員・全社員に身分証明書とともに常時携行させ、組織運用の根幹をなすものとして、会社のあらゆる活動に関連させてその徹底を図っています。
日本社会も国際化が進み、社会構造の変化に伴い、新しい法令が必要とされ、その法令を遵守すること、すなわち「コンプライアンス」の重要性が厳しく求められるようになりましたが、セコムは創業以来、前述のとおり、コンプライアンスを最重要視した組織運営を行っています。
セコムグループ社員行動規範
社員手帳にまとめられているセコム社員としての心得および行動基準を示す各守則は、セコム創業の基本理念に基づいて定められたもので、「セコムの事業と運営の憲法」「セコムの要諦」とともに、法令遵守(コンプライアンス)の面から見て、いつの時代にも通用する普遍性を持つものです。しかし、事業領域の拡大に伴い、セコムグループの全職種および全社員が明確に理解できるように、2006年12月1日、新しい法令への対応を含めて具体的に補足し、その名称も「セコムグループ社員行動規範」と改称し制定しました。
従来の社員手帳はセコム全社員の精神的支柱でしたが、この「セコムグループ社員行動規範」を通じ、ますますセコムグループ社員としてのあり方およびあらゆる業務の根底にあるコンプライアンスに関する考え方が徹底されています。
なお、「セコムグループ社員行動規範」には、社会との関係、お客様との関係、取引先との関係など各ステークホルダーとの関係において、役員および社員が具体的に遵守すべき行動基準や企業倫理が明記されています。また、これをサポートするため、反社会勢力との関係遮断や汚職・贈収賄の禁止、関係法令に関する行動規範が制定されています。
例えば、「お客様や取引先と個人的取引や金銭の貸借を行ってはならない」「お客様や取引先から、個人的な贈与を受けてはならない」「官公庁や政治団体などとは、常に健全かつ透明な関係を維持し、贈賄の誤解を生じる恐れのある行為等は一切行ってはならない」「お客様への進物等は節度と品位を保ち、不要な誤解を生じないように、適切な範囲で行なわなければならない」といった事項です。
内部監査部門の役割
内部監査部門(監査部およびグループ運営監理部)は、代表取締役社長の命により、セコム(株)の各組織・各部署および子会社を査察し、法令及び当社規程の遵守状況を確認し、コンプライアンス上の課題を把握し、その改善に努めています。査察結果は、代表取締役社長および監査役等に報告します。
また後述する内部通報システムの窓口として、セコムグループ社員から報告、相談などを受けた場合は、通報者が不利益を受けないよう配慮しながら、必要な調査を行います。
「セコムグループ監査役・内部監査部門合同連絡会」の定期開催
セコムグループの横のつながりを強化するとともに監査品質の向上を図ることを目的として、2015年度以降、「セコムグループ監査役・内部監査部門合同連絡会」を毎年1回、開催しています。
連絡会では、グループ主要各社の監査役と内部監査部門の責任者が一堂に会し、各社の内部監査や内部統制における取り組み、状況などについて情報を共有しています。2023年度は、セコム(株)の代表取締役社長をはじめ経営幹部、グループ主要各社の責任者が参加し、活発な意見交換が行われました。
2023年度「セコムグループ監査役・内部監査部門合同連絡会」
内部通報システム
「セコムグループ社員行動規範」により、セコムグループ社員は、この行動規範に対する違反行為を知ったときは、しかるべき上司に報告することが義務づけられています。
また、報告しても是正措置がとられない場合や、上司へ報告することが困難な状況にある場合の内部通報システムとして、セコムグループ社員が監査部へ通報できる「ほっとヘルプライン」、社外窓口(弁護士)へ通報できる「ほっとヘルプライン(社外通報窓口)」、人事部および監査部へ通報できる「ハラスメント相談窓口」、さらにグループ運営監理部へ通報できる「グループ本社ヘルプライン」を設置しています。
通報者の氏名およびその報告内容は秘密事項として扱われ、必要な調査を行ったうえで適正な処置を行います。通報者はこの通報により何らの不利益も受けないこととしており、通報者保護を徹底しています。
内部通報システムの利用回数などのデータは「ESGデータ ガバナンス編」をご覧ください。
組織風土委員会
会社組織は、常に改善し強化をする努力をしなければ、必然的に劣化するものであり、その重要な判断尺度となるのが会社の組織風土です。
「組織風土委員会」は、セコムグループをさらに発展させるため、代表取締役社長が直轄する委員会として、組織風土に関する重要な問題を審議し、あるいは重要な表彰・制裁を決定するために常設されています。
また、「組織風土委員会」は、コンプライアンスを含む「セコムグループ社員行動規範」の運用状況について、監査部および担当役員から代表取締役社長へ報告された内容について審議し、必要に応じ推進運用管理体制の見直し案および各担当役員の策定した「セコムグループ社員行動規範」の改定案の審議を行います。
「セコムグループ社員行動規範」や推進運用管理体制の変更は、「組織風土委員会」の審議を経て監査役の意見を得た上で、取締役会で決議する手順になっています。
社長表彰・社長特別表彰等
会社および社会に対して大きな功績があった社員に対しては、表彰規程に基づいて社長表彰・社長特別表彰を行い、受賞者の栄誉を讃えるため、社内公表しています。受賞した社員には表彰金が贈られるほか、表彰内容が人事データにも反映されます。
また、全国の本部や事業所では、人命救助、特殊詐欺(還付金詐欺・振り込め詐欺)被害防止、火災防止・初期消火、現行犯逮捕への貢献事例などが日々報告されており、本部・事業所ごとに表彰を行うほか、Web社内報等で積極的に紹介しています。
2023年度には、28件の社長表彰、347件の本部長表彰等があり、数多くの社員が周囲への良い模範として、地域社会への貢献を讃えられました。
腐敗防止への取り組み
当社では、腐敗防止の取り組みとして、強固な内部統制システムと経理手続きを設けて不適切な支払行為を予防し、帳簿やその他の記録の正確性の確保を徹底して行っています。さらに、腐敗防止に関する社員の意識を向上させ、不正行為を未然に防ぎ、腐敗防止に関する法令や社内規則の遵守状況を監督するために、内部監査部門による定期的な社内監査を実施しています。懸念が生じた場合には、ただちに調査して適切な処置を行い、懸念が解消されるまで監督を続けます。
また、買収先企業については、デューデリジェンス※による事前の確認を行っています。
- デューデリジェンス・・・企業の買収(M&A)を行う際、対象企業に対して行う詳細な調査
グローバルでのコンプライアンス社員教育
セコムグループの海外法人においても、コンプライアンスを最重要視した組織運営に努めており、社員の教育に力を入れています。海外赴任者に対しては、赴任前研修で法令遵守や贈収賄防止に関する教育を行い、赴任後においても、定期的な研修の機会を通じてフォローアップを実施しています。
現地社員に対しては、日々の業務を通じて、赴任者からコンプライアンスの重要性を伝えているほか、eラーニングなどを用いた現地社員向けのコンプライアンス研修の場を設けています。
2023年度海外責任者会議で開催した外部講師によるコンプライアンス・セミナー
税務への取り組み
セコムグループは、国および地域ごとの税務関連法令や国際ルールなどに従って、税務コンプライアンスの維持・向上に努め、適正な納税を行い、企業の社会的責任を果たすべく取り組んでいます。
セコムグループは日本およびさまざまな海外の税務当局に法人税の申告をしています。日本国内においては、最も納税額の大きいセコム(株)の2022年度以前の事業年度について税務当局による通常の税務調査が終了しています。また、海外の主要な連結子会社については、いくつかの例外を除き、2023年以前の事業年度について税務調査が終了しています。