働きやすい環境づくり
基本方針と推進体制
基本的な考え方・方針
セコムは、社員一人ひとりが徹底的に考え、元気に、明るく、正しく働くことにより目標を達成してこそ、清冽で活力溢れる組織風土が醸成されると考えています。そして、社員が自己実現を果たし成長することが、結果として組織の発展につながる、「組織の力は社員個々の力の総和」という考えのもと、働きやすい環境づくりを進めています。
24時間365日セキュリティサービスを提供するセコムにおいては、社員のワーク・ライフ・バランスの充実は重要な課題です。労働時間や有給休暇取得率、社員満足度の向上などを重要な指標と捉えており、社員のライフステージに応じた多様な働き方を支援する制度を整え、働きやすい職場環境を創り出せるよう各種施策に取り組んでいます。
働きやすい環境づくりに向けた施策
-
- 多様で柔軟な働き方の推進
- ワーク・ライフ・バランスの推進
- ダイバーシティ&インクルージョンの推進
- 福利厚生の充実
推進体制
「会社の発展と社員の向上は一体不可分」という人事運営の基本理念に基づき、人事部が中心となり、労使一体で働きやすい環境づくりを推進しています。また、以下の専門セクションを設置しています。
社員満足度向上プロジェクトチーム
2016年に「企画部」「業務本部」「営業本部」「管理本部」「テクノ事業本部」「人事部」を主メンバーとしたプロジェクトチームを発足し、必要に応じて他の部署とも連携しながら、社員満足度向上のための施策に取り組んでいます。
D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)推進担当
セコムの人事戦略を担う「人事部」のもと、女性の活躍推進をはじめ、社員一人ひとりがそれぞれ異なることを尊重し、その能力を引き出すための活動を担う「D&I推進担当」を設置しています。
ワーク・ライフ・バランスの推進
セコムでは、ライフステージにかかわらず、全社員が個々の能力を発揮し、活き活きと職務を遂行できるよう、ワーク・ライフ・バランス推進の方針を掲げ、仕事と家庭の両立を支援するためのさまざまな取り組みを行っています。
主な指標
働きやすい環境づくりに取り組む上で、月平均残業時間、平均勤続年数、離職率の動向を絶えず注視しています。ワーク・ライフ・バランス向上のため2021年度に現業職の所定労働時間(1ヶ月の労働時間)を週40時間から週39時間へ削減したことにより、月平均残業時間は2021年度に増加しました。また、業容の拡大に追いついていないところもあり、以降も微増となっていますが、業務効率化を進めることで今後改善を図っていきます。平均勤続年数は男女ともに増加傾向となっているほか、離職率も全国平均を大きく下回って推移しています。2023年度からは通常の入社時研修に加え、高校を卒業したばかりの新入社員に向けた社会人教育研修を新たに開始しました。特に入社3年未満の社員の一層の定着率向上を目指し、エンゲージメント向上、モチベーション向上につながる施策を充実させていきます。
月平均残業時間
| 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
|---|---|---|---|
| 20.3時間 | 20.6時間 | 21.1時間 | 21.6時間 |
離職率
| 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
|---|---|---|---|
| 5.5% | 6.5% | 6.2% | 5.9% |
*2023年厚生労働省統計 12.1%(全国平均:一般労働者離職率)
平均勤続年数
| 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | |
|---|---|---|---|---|
| 平均勤続年数 | 17.1年 | 17.6年 | 18.0年 | 18.2年 |
| 男性 | 17.9年 | 18.4年 | 18.7年 | 18.8年 |
| 女性 | 13.2年 | 13.9年 | 14.6年 | 15.4年 |
長時間労働防止のための取り組み
セコムでは、社員が健康で弾む心で仕事に臨み、高い集中力を発揮して最大の成果を出すための仕組みの構築と意識の啓発を進めています。
特に、社会的な課題である長時間労働を防止するため、人事部と関連部門に専任の担当者を置き、全国各地の責任者と連携して、継続的に時間管理と改善の指導を行っています。
また、社内イントラネットには、上司が社員の出退社時刻を日々把握・確認できる仕組みを構築し、各職場においてもきめ細かい時間管理と指導を行っています。
社員一人ひとりに対する取り組みとしては、健康管理と時間管理のために「定時に帰宅する習慣」の啓発活動を推進しています。
今後も長時間労働防止の取り組みに一層注力していきます。

啓発ポスター
休暇の取得推進
心身の休息、生活の充実があってこそ仕事への活力が生まれると考え、年間を通して自由な時期に取得できる柔軟な休暇制度「フレックス休暇(毎年連続最長10日間)」や「リフレッシュ休暇(10年ごとに2週間)」を設けています。2017年度からは2週間のリフレッシュ休暇を1週間単位で分割できるように制度を変更し、休み方の選択肢を増やしました。
また、入社直後の新入社員にも安心して働いてもらえるよう、入社時に付与している法定外の有給休暇を3日から9日に増やしまし た。併せて毎年の有給休暇付与日数も増やし、職種や勤続に応じて法定を2~5日上回る日数を付与しています。
2025年度から、社員の有給休暇取得を一層促進するため、新たに「アニバーサリー休暇制度」を導入しました。誕生日や結婚記念日など、社員やその家族にとって特別な日に休暇を取得することを推奨し、心身のリフレッシュと仕事への活力向上を目指します。社員一人ひとりが充実したプライベート時間を過ごせるよう、働きやすい職場づくりを今後も推進してまいります。
有給休暇取得率(KPI目標:2030年に80%)

不妊治療を支援する制度
近年、働きながら不妊治療に取り組む方が増加傾向である中、2024年度に仕事と不妊治療の両立を支援するため、以下の休暇と休職の制度を創設しました。制度利用の際には、上司へ「仕事と不妊治療の両立サポートマニュアル」を配布することで、制度の周知を図るとともに、不妊治療に対する理解の促進を目指しています。また、制度を利用する社員が、必要以上に気を遣うことなく安心して取得ができるよう、職場全体で支援していく体制づくりを推進していきます。
妊活特休
不妊治療を受ける社員が、その通院等のために年間10日の休暇を取得することができます。
(期間は4月~翌年3月、半日単位及び時間単位の取得も可)
妊活休職
不妊治療を受ける社員が治療に専念するため、1回の妊娠~出産について通算6ヵ月以内で休職することができます。
出産・育児・介護に関する制度
セコムの出産・育児・介護に関わる制度では、労働基準法などの法律を上回る手厚いサポートを行っています。
産前産後休暇
産前産後休暇として、産前は6週間、産後は8週間取得することができ、出産手当金がセコム健康保険組合から支給されます。
また、産前休暇の開始前に休暇に入ることを希望する社員は、さらに2週間の出産前休暇を取得することができます。これはセコム独自の休暇制度で、2024年度は15名が利用しました。
育児休業
育児休業は、子どもが3歳に達するまでの間、取得することができます。また、分割取得も「3回」まで可能としており、いずれも法定を上回る充実した内容となっています。
2024年度は245名(うち男性118名)が育児休業を取得しました。また、2023年度復職者の1年後定着率は93.3%でした。セコムは男性の育児休業取得率の目標値を、2025年までに50%と定めており、社内報での特集やeラーニング研修、対象者一人ひとりへの意向確認などの周知活動によって2024年度の取得率は45.9%まで増えました。シフト勤務であるセキュリティスタッフの取得率が上がっており、職場の理解も深まっていますが、目標達成に向けて、責任者への意識付けを行うなど、さらなる取得促進を図っていきます。
育児休業取得実績

介護休業
要介護状態の家族を介護している社員で、介護休業終了後にも引き続き勤務をする意志がある場合は、約6カ月(最大186日)まで介護休業を取得することができます。
2024年度は、介護休業を7名(男性3名、女性4名)が取得しました。
介護休業取得実績

育児・介護のための就業時間変更・免除(短時間勤務)
社員の仕事と育児の両立を支援するため、セコムでは2007年から法定を超える育児時短勤務制度(一定の時間制限のもとでの就業時間の変更・免除)を整えています。2024年度は、新たに本制度の対象となった女性社員の98.8%が利用しました。2025年度からはこの制度の適用条件をさらに拡大し、「妊娠中および小学校5年生までの子どもを養育する社員」が利用できるようになりました(法定では3歳まで)。
また、仕事と介護の両立を支援するためにも同様の制度を整えています。こうした制度の整備・拡充により、社員が家庭との両立を図りながら長く仕事を続けられるよう支援しています。
SECOMライフサポート制度
社員の個々の事情に応じて勤務地や就業形態を個別に検討し、長期的なキャリアアップを支援する「SECOMライフサポート制度」を設け、以下の方針に基づいて社員のサポートを行っています。
- ALL SECOM(セコムグループ)の総力を活用し、介護や配偶者の転勤などを理由とする勤務地の変更を支援する
- 配偶者の海外転勤同行に伴う一時的な休職を許可する(上限5年間)
- 育児や介護等、家庭の切迫した事情に配慮した柔軟な働き方を支援する
ジョブリターン制度
セコムでは2014年から「ジョブリターン制度」を設け、出産・育児・介護などのやむを得ない理由で退職した社員の復帰を支援してきました。
2024年度から、この制度の条件(退職理由や勤続年数など)を大きく緩和し、人財確保の観点も踏まえた制度に拡充したところ、応募が急増し、その多くが再入社に至っています。将来のライフイベントによる離職の不安を軽減し、社員が安心して働くための制度であるとともに、一度は退職した社員が、再びセコムで能力・経験を発揮できる機会となる有用な制度であると考えています。
「両立支援サイト」で情報発信
社員の仕事と育児や介護の両立を支援する「両立支援サイト」を運用しています。「育児支援」では子育てと仕事を両立させる社員に対して、「介護支援」では家族の介護や看護が必要な社員に対して、各種制度や給付金などの情報を提供し、さまざまな相談も受け付けています。

両立支援サイト
テレワーク・セレクティブタイムの導入
セコムでは、多様な職種の人財が総力を挙げて24時間365日、切れ目のない「安全・安心」を提供しています。感染症流行や災害などの緊急時に備えるほか、家庭と仕事の両立支援、多様な働き方への取り組みとして、テレワークやセレクティブタイム制度(勤務時間を選択できる制度)の導入を検討しています。トライアルなども実施しながら、対象職種や就業規則の整備を進めていきます。
次世代認定マーク取得
次世代の社会を担うすべての子どもが健やかに生まれ、育成される環境の整備を図るために制定されたのが、「次世代育成支援対策推進法」です。セコムは、厚生労働省から「子育てサポート企業」として認定され、「次世代認定マーク(愛称:くるみん)」を3回取得しています。
セコムは、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画を2025年4月1日に更新しました。24時間365日切れ目なくサービスを提供する警備業務の特質と、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)推進の重要性を勘案して、それぞれの社員が能力を最大限に発揮できる、多様な働き方の実現を目指します。

セコム株式会社 行動計画
策定日:2025年4月1日
社員が仕事と生活の調和を図り、安心して働ける環境を整えるため、次のように行動計画を策定します。
- 計画期間2025年4月1日~2030年3月31日
-
- 1.男女ともに仕事と育児を両立できる職場環境を整備します。
- (1)男性の育児休業・育児目的休暇の取得の更なる促進を図ります。
- 【目標値】育児休業・育児目的休暇(配偶者出産特休)合計取得率85.0%以上
- 【取組み】対象者に、より分かりやすく制度の周知を図り、責任者にも取得促進の意識づけを行います。
- (2)育児中の社員が安心して働き、かつモチベーション高く活躍できるよう体制を整備します。
- 【取組み】
- 育児時短勤務制度利用社員の評価やキャリア、及びその周囲社員の業務マネジメント等の指針を策定します。
- 業務を代行する社員の心身の健康への配慮について検討します。
- 2.社員全員の働きやすい就業環境を整備します。
- (1)生産性の向上を図り、長時間労働の削減につなげます。
- 【目標値】1人当たりの法定時間外労働および法定休日労働の合計時間10%減(2024年度比)。
- 【取組み】人員の充足改善、業務の効率化、デジタル化等の施策を促進していきます。
- (2)多様で柔軟な働き方に関する制度を拡充します。
- 【取組み】社内のニーズを把握し、その上で当社の業務体制の特質・公平性も考慮しながら、かつ生産性の向上に資する制度を検討する(テレワーク等)。
- (3)有給休暇の取得を促進します。
- 【目標値】有給休暇取得率80%以上
- 【取組み】休暇を取得しやすい制度を検討します(アニバーサリー休暇等)。
社員との対話の推進
セコムがお客様にご満足いただける高品質なサービスを提供できるのは、社員のクオリティとモラルによるものであり、「社員のエンゲージメント向上」は最も重要な課題だと考えています。社員が安心して生活し、安心して働ける環境を整備するとともに個人の意欲と能力を引き出し、組織の力を最大化していくため、セコムでは社員との対話を重視し、活気ある健全な組織風土の醸成と「社員のエンゲージメント向上」につながる施策を積極的に展開しています。
社員満足度向上プロジェクトチームの活動
年1回全社員向けの社員満足度調査を実施するほか、定期的な労使協議の場を通じて会社と社員の相互理解を深めています。
社員満足度調査の実施
2016年度から社員満足度調査を実施しており、処遇や就業環境に対する満足度だけでなく、働きがいや仕事量、仕事への意識などを多角的かつ継続的に把握し、改善施策へとつなげています。調査結果は、社内イントラネットを用いて社員に開示しています。調査によって会社施策の効果を確かめつつ組織の活性化に取り組んでいきます。
社員満足度調査の結果
| 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | |
|---|---|---|---|---|
| 社員回答率 | 82.1% | 78.5% | 74.2% | 61.8% |
社員満足度調査の調査カテゴリ
| 仕事にやりがいを感じられているか |
| 仕事の進めやすさに問題はないか |
| 前向きに仕事ができているか |
| 仕事の相手から評価されているか |
| 仕事量に問題はないか |
セコム社員連合組合
「セコム社員連合組合」は、会社の健全な発展を願う社員有志により、創業2年後の1964年に日本警備保障警務士会として設立されました。セコムとセコム社員連合組合が交わした「組合員資格協定」に基づき、社員は入社と同時に組合員となる「ユニオンショップ制度」を導入しているため、課長職以上の役職者などの対象外を除き、セコム株式会社における組合加入率は100%となっています。
セコムでは、労使間の対話を重視しており、「会社の発展と社員の向上は一体不可分」との労使共通の理念のもと、共通の目的達成に向けて強固な協力体制を築いています。社員の士気を高め、セコムらしい活気ある健全な組織風土を醸成し、組織の活力を最大化することを目的として設置している「セコム社員中央審議会」では、セコム社員連合組合の執行部役員と社長をはじめとする経営幹部が、毎月さまざまな意見交換を行っています。また、グループ各社や都道府県ごとに設置された60の支部においても、「セコム組織風土社員会議」を設置して、職場環境や日常業務の改善、労働安全衛生などについて労使が話し合い、より良い会社づくりに向けた協議を継続的に行っています。
セコム組織風土社員会議
全国の地域ごとに「セコム組織風土社員会議」を設置し、会社の幹部と社員の代表であるセコム社員連合組合の役員が、対等な立場で意見交換を行う場を設けています。
この会議は原則として月1回、年間12回開催されており、各地域における日頃の業務と職場環境の改善に向けて、忌憚のない意見を交わし、率直な議論を通じて健全な組織風土の醸成に寄与しています。

2024年度の「セコム組織風土社員会議」
セコム社員中央審議会
各地域の「セコム組織風土社員会議」では対応が難しい全国的な課題について意見交換を行う場として、「セコム社員中央審議会」を設置しています。この中央審議会は原則として月1回開催されており、春季労使交渉における給与等の改訂を議論する中央審議会(年3回)含め、年14回実施されています。会議には、社長をはじめ人事・業務担当役員などの経営幹部と、セコム社員連合組合の中央審議会委員が必ず出席し、建設的な意見交換を行っています。
また、「セコム社員中央審議会」の下部組織として、「セコム社員中央審議会小委員会」が設置されています。この小委員会では、人事・業務の担当役員・責任者と、セコム社員連合組合の中央三役が、会社の施策や継続的に検討すべき議題などについて、毎月定期的に協議を行っています。
これらに加え、人事・給与制度に関しては、多様な人財の確保に向けて魅力ある賃金体系の構築を目指し、ワーク・ライフ・バランスの充実と柔軟な働き方の実現に向けて、複数回にわたり協議を重ねてきました。2024年度の実績としては、給与のベースアップ(定年再雇用社員も含む)に加え、責任者の処遇を大幅に引き上げる賃金改善を行いました。これは、日々部下の意欲向上や育成、サービス品質の維持・向上に尽力する責任に報いるとともに、キャリアアップの魅力を高めることで、若年層も含めた組織全体の活性化につなげることを目的としています。また、育児時短制度の拡充や、休暇取得を促進するための「アニバーサリー休暇」の新設など、ワーク・ライフ・バランスの向上を支援する制度改善も実施しました。こうした取り組みは、労使の対話を通じて社員のニーズを的確に捉え、柔軟かつ迅速に対応しています。
「セコム社員中央審議会」で取り上げられた議題・テーマ
- 賃金等の改定
- 現場の生産性向上
- 社員の健康維持
- 社員のエンゲージメント向上に向けた取り組み
- ドレスコードの改定
- 有給休暇・長期休暇の取得促進
- 過重労働の防止
- 労働災害の防止
- 職務分掌
- 評価制度の適正運用
- 採用・人員配置
- ダイバーシティ&インクルージョンの推進
- ハラスメント防止
- ライフプランを考慮した賃金水準
- 柔軟な働き方の拡充

2024年度の「セコム社員中央審議会」




















