製品・サービスの開発と実装
基本方針と推進体制
基本的な考え方・方針
セコムグループは、未来の安全で豊かな社会を支えていくため、セキュリティ事業にとどまらず、さまざまな新しい社会システムの提供を目指しています。その基幹となる機器やシステムの開発にあたって大切にしているのは、「この技術を生かして何かできないか」という発想ではなく、「今、あるいは今後、世の中に必要なサービスは何か」という発想です。
また、製品開発を進める上で最も重要なのは、技術者が目標を達成するために必要なより良い環境と、何よりも自由闊達にチャレンジできる精神的風土を整えることだと考えています。製品を開発することへの積極的で活き活きとした取り組みの中からこそ、真に社会の豊かさを支える社会システムが生まれてくると考えるからです。
「安全・安心」の追究にゴールはなく、研究・開発部門が果たすべきことは無限にあります。開発方針として「先進性」「独創性」「信頼性」を掲げ、常に社会のニーズを先取りしたシステム・機器の創造を目指しています。

推進体制
セコムの開発拠点である「技術開発本部」が、多様なサービスの基幹となる機器やシステムの開発を行う重要な役割を担います。約270名の開発スタッフが専門分野ごとにグループに分かれ、開発テーマによって柔軟にプロジェクトを構築しながら、機器やシステムの開発を進めています。同本部では、環境配慮設計により環境負荷の低減に取り組むほか、機器の信頼性試験、動作検証作業を繰り返し行うことで製品・サービスの安全性と信頼性の確保にも努めています。
製品開発に当たっては、研究部門である「IS研究所」との連携が欠かせません。2021年に、IS研究所と同じ建物に移転したことで一層連携が取りやすくなり、移転を機に新たな実験設備も整えました。
また、セキュリティ機器を製造するセコム工業(株)、防災事業を担う能美防災(株)とニッタン(株)、情報通信サービスを展開するセコムトラストシステムズ(株)などのグループ会社、さらには多くのパートナー企業とも協業し、多様な製品・サービスを生み出す体制を構築しています。
社会課題を起点とした製品開発の流れ
技術開発本部では、ご契約先での異常発生を検知するセンサーの開発、家庭用から大規模施設向けのセキュリティシステム、出入管理システム、消火システム、そして医療・健康関連システムに至るまで、セコムグループがお客様に「安全・安心」を提供するための製品を次々に開発してきました。
そのいずれも、多様化する犯罪、超高齢社会から派生する問題、見守りサービスへのお客様ニーズの高まりなどの社会課題が起点となっており、高精度の位置情報提供システム「ココセコム」をはじめ、これまで数多くの“国内初”のシステムやサービスを創出しています。
また、ご契約先で異常を監視するセンサーは、正確に異常を見つけ、迅速に信号を送る必要があり、当然ご契約先に合わせてさまざまな設置環境に耐えうる高品質なものでなければいけません。お客様に「安全・安心」を提供するには妥協のない技術力が必要です。そのため、厳格な信頼性試験と評価を繰り返し実施した上、初めて製造工程へと進みます。
製品を市場にリリースしたあとも、常に現場からの情報がフィードバックされる仕組みになっています。IS研究所の最新の研究成果と相まって、それら現場からの開発要望や改善要望は、さらなる商品企画・機能改善に活かします。
製品開発の流れ

製品の安全と品質保証の取り組みについては製品の安全と品質保証
セコムの強みを活かした多様なサービス
セコムの「オンライン・セキュリティシステム」は、全国に張り巡らされた日本最大級の情報通信ネットワークを活用し、先端技術と磨き抜かれたマンパワーの融合により、セキュリティ事業の中核を成すシステムです。
ますます多様化・高度化するお客様の安心ニーズに対応し、ご家庭向け「セコム・ホームセキュリティ」やオフィス・店舗向けセキュリティサービス、設備管理などの幅広いサービスを開発しています。
「セコム・ホームセキュリティ」
「セコム・ホームセキュリティ」は日本初の家庭用セキュリティシステムとして1981年に販売開始され、その後も、社会のニーズ、お客様の生活スタイルに合わせて随時機能追加を行っています。
2021年には「安否みまもりサービス」を提供開始。室内に設置したセンサーの検知情報を「セコムみまもりクラウド」に蓄積・分析し、一定時間お客様の動きなどが検知されない場合にセコムに異常を通報するとともに、離れて暮らすご家族がクラウド型スマートフォンアプリ(いつでもみまもりアプリ)で、親御さんの暮らしの様子をゆるやかに見守ることができます。
さらに、2022年2月にはApple Watchを通して、外出や帰宅の際に手元の操作だけでホームセキュリティをセット・解除することが可能な「SECOM カンタービレ」を、2023年4月には日本初となるApple Watchの転倒検出機能と連携したセコムへの緊急通報と、日常の健康管理ができる「YORiSOS」を提供開始しました。「YORiSOS」は日常ではApple Watchで計測するさまざまなデータによってきめ細かな健康づくりをサポートでき、いざという時には自宅内でも外出先でもセコムに通報できます。セコムはこれからもさまざまなニーズにお応えして、「いつでも、どこでも、誰にとっても切れ目のない安心」を提供していきます。

スマホアプリで離れて暮らす親の生活リズムなどを確認できる「安否みまもりサービス」

「YORiSOS」アプリのアイコン
システムセキュリティ「AZ」
セキュリティシステムは、夜間や無人時の警備警報装置としての役割が中心でしたが、現在の法人マーケットでは、入退管理や監視カメラ等を組み合わせた有人時のセキュリティ、従業員の労務管理、働き方改革の促進、事業運営の効率化など、企業価値の向上に有益なシステムが求められています。
セコムでは、カラー画像センサーの採用、入退管理機能の包含、スマートフォン連携機能の搭載等、新たな付加価値を加えた統合的なシステムセキュリティ「AZ」を開発し、2022年には中小規模の店舗・オフィス向けにコントローラーのコンパクト化と無線機器の接続に対応した「AZ-Air」を発売しました。さらに、2023年5月には最大1,000拠点、12万人までのユーザーを一元管理可能で、建物設備・ご契約先システムとの連携機能を有した、中~大規模施設向けの入退室管理システム「AZ-Access」をラインナップに追加し、同年7月にはAZ/AZ-Airに接続されたカメラ映像を活用したウェブサービス「dot-i」を提供開始するなど、日々進化を続けています。

システムセキュリティ「AZ-Air」

入退館管理システム「AZ-Access」
「セコムドローンXX」
2023年10月、セコムは日本初となる、AIを活用して巡回・侵入監視を行うセキュリティドローン「セコムドローンXX」の開発を発表しました。
日本社会は深刻な労働力不足に直面しており、ロボットを活用した省人化・効率化が進められています。政府においても小型無人機による「空の産業革命」に向けた法整備が進められており、ドローンは点検や測量、農業、物流など多様な分野で活用されています。
セコムは2015年に民間防犯用として世界初の「セコムドローン」を実用化しました。このドローンは敷地内への侵入があった際に不審者を自動で追跡し、その映像をセコムのコントロールセンターに送信して迅速・的確な対応につなげます。
新たな「セコムドローンXX」は、「セコムドローン」の機能をさらに進化させたもので、AIを搭載したドローンが、人や車両を検知し自動で追跡することが可能となり、最大で半径約6kmのエリアを警備することができます。また、耐風性能を高め、赤外線カメラも搭載しているため、悪天候や夜間の監視能力も向上しています。公共施設の点検業務や災害時の安全確認、河川の見回りなど、セキュリティにとどまらず、さまざまな用途においても活用いただくことが可能です。

AIを活用して警備サービスを提供する「セコムドローンXX」