ダイバーシティ&インクルージョン
基本方針と推進体制
基本的な考え方・方針
セコムでは、多様な人財や価値観を取り入れ、新たな価値創造に活かすことが重要であるとの考えのもと、女性の活躍推進をはじめ、ダイバーシティ&インクルージョンの推進に取り組んでいます。
2017年10月には、「ダイバーシティ&インクルージョン推進宣言」を行いました。性別・年齢・国籍・障がいの有無・性的指向や性自認などを問わず、多様な社員一人ひとりの違いを尊重し、それぞれが能力を最大限に発揮できる環境づくりに努めています。
ダイバーシティ&インクルージョン推進宣言
- セコムは、企業理念が浸透し規律を維持した組織のもとで、社員一人ひとりの違いを尊重し、人財の多様性を重視します。
- セコムは、あらゆる社員が自信と誇りを持ち、元気に明るくイキイキと活躍できる企業を目指します。
- セコムは、社員一人ひとりの更なる成長と、それぞれの強みの相乗効果を高めることで、革新的な価値創造に挑み続けます。
*2017年10月1日社長名により通達
推進体制
セコムの人事戦略を担う「人事部」のもと、女性の活躍推進をはじめ、社員一人ひとりがそれぞれ異なることを尊重し、その能力を引き出すための活動を担う「D&I推進担当」を設置しています。
女性の活躍推進
セコムでは、「D&I推進担当」のもと、女性の「採用」「登用」そしてこれらを支える基盤となる「女性の働きやすい職場環境の実現」について目標を設定し、達成に向けた取り組みを行っています。
2023年4月に4名の女性事業所責任者が誕生し、女性社員のマネジメントクラスへの登用が大きく前進しました。現在7名の女性が事業所運営に新たな視点を取り入れ、活躍しています。
女性活躍推進法に基づく取り組み
女性社員が安心して、元気に明るく活躍できる職場環境の整備を目指し、2021年4月1日に「女性活躍推進に関する行動計画」を策定しました。
女性活躍推進に関する行動計画(抜粋)
- 計画期間2021年4月1日~2026年3月31日
- 部課長級※1の女性社員を200人以上、主任級※2の女性社員を400人以上にする
- 部課長級:本社 主務以上/本部・事業所 課長以上
- 主任級:本部・事業所 主任
- 女性の職域を拡大し、女性社員数を2,396人(2016年/前回策定時)から500人以上増やす
- ハラスメント発生防止のため、全社員向けオンライン研修を年1回、新任事業所長向け研修を対象者につき1回以上行う
- 女性社員の平均勤続年数を現状の12.2年より1年間以上延ばす
- 有給休暇取得率を現状の53.2%より10%以上向上させる
女性社員の割合
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | ||
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従業員人数 | 16,153人 | 16,290人 | 16,279人 | 15,923人 | 15,672人 | |
うち男性 | 13,403人 | 13,503人 | 13,483人 | 13,164人 | 12,981人 | |
うち女性 | 2,750人 | 2,787人 | 2,796人 | 2,759人 | 2,691人 | |
女性比率 | 17.0% | 17.1% | 17.2% | 17.3% | 17.2% |
平均年齢
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
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男性 | 44.2歳 | 44.3歳 | 44.6歳 | 45.0歳 | 45.4歳 |
女性 | 37.5歳 | 37.8歳 | 38.4歳 | 39.0歳 | 39.7歳 |
平均勤続年数
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
---|---|---|---|---|---|
男性 | 17.4年 | 17.6年 | 17.9年 | 18.4年 | 18.7年 |
女性 | 12.2年 | 12.6年 | 13.2年 | 13.9年 | 14.6年 |
女性役職者の割合
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
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警備スタッフ※1以外の分野における女性役職者※2割合 | 12.3% | 13.2% | 14.1% | 15.0% | 15.9% |
- 警備スタッフ・・・「警備業法」で定められた研修を受けて警備業務に従事する社員
- 役職者・・・「役付手当(役職に対する手当)」支給・もしくは「資格級一定水準以上」の役職者全体
男女の賃金の差異(KPI目標:2030年に85%)
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
---|---|---|---|---|
70.2% | 71.0% | 70.5% | 72.9% | 74.5% |
*男性の賃金の平均に対する女性の賃金の平均の割合を示したもので、女性活躍推進法における算出方法を使用。対象者は全労働者(産休・育休を反映。当社から他社への出向者および派遣社員は除く)。同一労働において男女間の賃金の差異は無く、職種や資格級の人数構成等の違いにより差異が生じている。
女性リーダーの育成
管理部門におけるリーダーシップ向上講座
2024年度より、管理部門における女性リーダーの育成を強化すべく「リーダーシップ向上講座」を開始しました。研修は、女性のキャリアアップや働き方改革に関する講演や外部講師による指導のもと1年間を通して「気づき編」「フォローアップ編」「知識習得編」の3つのパートを行う計画です。研修の前後で進捗確認やフィードバックを実施することで研修効果の向上につなげていきます。
リーダーシップ向上講座の様子
女性社員の交流促進
「女性同士の接点が少ない」という声に応え、2022年度から原美里社外取締役とのキャリア座談会を開催しています。職種やライフステージが異なる社員が集い、育児との両立やキャリアアップ等に関して率直な思いや意見を交換することにより、ネットワークの構築を促しています。今後も部門を超えた女性社員間の交流の機会を増やしていきます。
キャリア座談会の様子
NPO法人 J-Winに参加
女性がリーダーとなっていくための要素として、「リーダーマインドの形成」も重要であると考えています。「女性の活躍」「ダイバーシティ」という言葉は耳にしていても、実際に自分自身はどのような場面で何をすればよいのか、そもそも社内だけでは、なかなか機会に恵まれない、という実態もあります。
このための取り組みとして、セコムは2018年から外部団体「特定非営利活動法人ジャパン・ウィメンズ・イノベイティブ・ネットワーク(NPO法人J-Win)」に参加しています(毎年2名参加、任期は1年)。
同団体は、女性のキャリア形成を後押しする活動をメインとしており、参加者はここでの活動を通じて、キャリアアップすることの意義や価値を学び、プロジェクトマネジメントを経験することで自分なりの「リーダーマインド」を形成していきます。
活動修了後の社内報告会では、どの参加者もハイレベルな成果報告を行い、その後も管理職候補として活躍しています。参加者には、他の女性社員の身近なロールモデルとなり、このマインドを広げてくれることが期待されています。
女性の職域拡大
女性がキャリアを形成し、リーダーとなっていくためには、幅広い職務経験が有用であり、その基盤を整えるため、「女性の職域拡大」を施策の柱の一つとしています。一人ひとりの適性を見極めながら、キャリア形成のための研修やジョブローテーションなど、女性社員育成の取り組みを進めています。
女性管制員の活躍
女性の職域拡大施策により、管制職への女性登用は増えており、現在、全国のコントロールセンターで約60名が勤務しています。近年、管制員を対象とした社内コンテストでは女性管制員が上位に入ることが多く、実際の管制業務でも、的確なオペレーションを実施し、人命救助に貢献するなど大きく活躍しています。2023年度は、これまで限定的であった職務や働き方が男性管制職と同様になり、さらなる活躍の場が広がりました。
今後も、女性社員の活躍の場を広げ、一人ひとりの成長に寄与できるよう研修体制を充実させていきます。
オペレーションを行う女性管制員
テクノ事業本部における女性社員の活躍
セキュリティシステムの設置工事と施行管理、そして建物設備のメンテナンスや更新を提供しているテクノ事業本部では、いつの時代にあっても「安全・安心」で「快適・便利」なサービスを提供するための土台となる業務を行っています。
近年それらを希望して入社する女性が増えていることから、女性社員の活躍の場を広げています。安全第一の基本方針のもと、ヘルメット・作業制服・安全靴に身を包み、工事やメンテナンス等の現場でのお客様対応、また、パートナー企業の方々と協働する姿は数多くの高い評価を得ています。
今後も全国15カ所の基幹事業所を中心に、現場勤務希望の女性社員が一層活躍できるようサポート体制含め環境を整えていきます。
建物設備のメンテナンスを行う女性社員
障がい者の雇用促進・活躍推進
セコムは、障がいのある人に自分らしく活き活きと働いてもらうことを目的として、特例子会社※のセコムビジネスプラス(株)を設立し、障がい者の雇用を進めています。セコムビジネスプラスでは、セコムグループ各社から事務作業等を請け負う委託業と、グループ各社に常駐して仕事を担う派遣業務を行っています。
また、セコムでは、障がいのある社員が活躍できる場が拡がっています。例えば、研修センターでは、セコムグループ社員の研修運営実務において、障がいのある社員が活躍しています。さらに、セコムの農園で障がいのある社員たちが育てた野菜を、研修の食事として提供しています。
障がいのある社員が、その個性を十分に活かして活躍できるように、必要に応じて手話通訳の手配や支援機器・ソフトの配置など、個別にきめ細かなサポートを行っています。
セコムの農園で作られた野菜を使った中華風ハンバーグ(研修センターで提供)
ユニバーサルマナー検定の取得
セコムでは、障がいのある人がそれぞれの特性を活かして就業できるよう、定期的な面談、電話でのヒアリングを通じて必要なサポートを行っており、2024年6月末時点での障がい者雇用率は2.56%となっています。
また、障がい者雇用のさらなる促進と定着を図るとともにすべてのお客様に安心していただける対応を目指し、2023年度からユニバーサルマナー検定※の受講を開始しました。2023年度はセコム社員142名がユニバーサルマナー検定3級を取得しており、今後も順次、検定取得者を増やしていく計画です。
ユニバーサルマナー検定でのグループワークの様子
「心のバリアフリー」サポート企業に登録
すべての人が平等に参加できる社会や環境について考え、そのために必要な行動を続ける「心のバリアフリー」が重要となっている中、セコム(株)は令和元年度東京都「心のバリアフリー」サポート企業に登録されました。
「心のバリアフリー」登録証
新たな障がい者雇用モデルの構築を目指して
セコムは、障がいというダイバーシティを活かした価値を創造し、企業の成長に資する新たな障がい者雇用モデルの確立などを目的とした一般社団法人企業アクセシビリティ・コンソーシアム(ACE)に参画しています。
障がい者が活躍できる職場環境の積極的な構築を目指し、企業連携やロールモデルの検討・紹介、産・官・学との連携などの活動を通じて、勤務意欲のある障がい者に対する就労支援の実現に取り組んでいます。
2023年度は、セコムのオンライン相談会に10名、インターンシップに2名の大学生が参加し、一人ひとりの学生とコミュニケーションを図り、企業で働くことについて話し合いました。
シニア社員の活躍推進
人生100年時代の到来に向けて、社員一人ひとりが生きがいをもって長く働くことができるよう、多様化する価値観に沿った選択肢を用意することが大切であると考え、その環境整備に取り組んでいます。
定年再雇用社員の処遇の引き上げと働き方の選択肢拡大
シニア社員がスキルと経験を活かしてさらに活躍することを期待して、2022年度と2023年度にわたり、定年再雇用社員の年間賞与額を計60,000円増額しました。さらに、定年以降も主にセキュリティの現場において活躍する定年再雇用社員の処遇を月額100,000円増額したほか、業務負担の軽減を目的として定年再雇用社員向けの職種を新設し、社員のスキルや所属事業所のニーズに応じて業務内容を柔軟に設定できるようにしました。定年後も社員自身が仕事にやりがいを感じられるような働き方を実現しています。
高年齢社員の短時間勤務制度
一部の職種に50歳以上の社員が利用できる短時間勤務制度を設けています。さらに、定年再雇用社員に対しては、全員が利用できる短時間勤務制度を設け、経験を積んだシニア社員が長く活躍するための制度を整えています。
65歳以降の再々雇用制度
セコムの定年は60歳、定年再雇用は65歳までですが、働く意欲のある65歳以上となった社員を、職種を限定した「特定業務専任社員」として再々雇用する制度を2017年9月に整備しました(上限70歳)。長年培った経験を活かし、主にセキュリティの現場において多くのシニア社員が活躍しています。
セカンドステージプロモーション制度
社員のさまざまな人生設計に応じた選択肢の一つとして、50歳から60歳の間で、本人の意志で自由に定年時期を選択できる「セカンドステージプロモーション制度」を導入しています。この制度により、退職金が優遇され、定年の60歳を待たずに新たな仕事にチャレンジすることができます。また、本人と会社のニーズが合致した場合は、セコムをはじめとするグループ各社への再就職を、積極的に支援しています。
「セカンドライフ情報サイト」で情報発信
社員の定年後の人生設計を行うきっかけとなることを目的に、退職金年金制度の説明、ライフプランに関する情報などを掲載する「セカンドライフ情報サイト」を社内イントラネットに開設しています。
また、健康で豊かなセカンドライフの生活設計に活用できるよう、年金や健康保険などの社外制度について読みやすく書かれた書籍を選定し、社内制度などについて記載した小冊子とともに、53歳、59歳を迎える社員に配布しています。
セカンドライフ情報サイト
LGBT(性的マイノリティ)への対応
セコムは、2016年8月に本社所在地の東京都渋谷区と、地域社会の課題解決を図るための「シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定」を締結し、多様性社会の実現に関する啓発活動の支援に取り組んでいます。
LGBT(性的マイノリティ)に関しては、社内設備(ロッカー等)や制服等の個別の配慮に加え、2020年6月に「職場におけるハラスメントの防止に関する規程」を改訂し、性的指向や性自認に関する不必要な言動・行動や本人の了承を得ずに他者へ暴露する行為を禁止しています。また、職場におけるハラスメント防止のeラーニングでLGBTに関する正しい理解と知識の周知を図っています。さらに、多様な性を認め合い、誰もが働きやすい環境にするためには具体的にどうすべきかについての外部研修を受ける機会を設けています。