マテリアリティ05脱炭素・循環型社会

セコム株式会社 執行役員
管理本部長
喜連 新治
気候変動のリスクに対処し、機会を捉えて行動する
気候変動は、台風や洪水などの気象災害を引き起こすことで人々の暮らしを脅かすだけでなく、経済面でも大きな課題となっています。セコムはTCFD提言に賛同し、気候関連リスクの特定を行っていますが、炭素税等による規制強化や再生可能エネルギー導入の義務化などを移行リスクと捉えています。これを踏まえ、2023年5月に研修施設のセコムHDセンター御殿場で「Nearly ZEB※1」認証を取得したり、バーチャルPPA※2スキームを導入するなどの取り組みを進めてきました。
一方、近年の気候変動対策への機運の高まりによるグリーンデータセンターの需要増加はセコムにとっての機会だと認識しています。グループ会社のアット東京のデータセンターでは、2024年4月から実質再生可能エネルギーを標準仕様とし、すべてのサービスを実質再エネ100%※3で提供しています。また、セコムトラストシステムズでも、新たなデータセンターを再エネ100%で運用しています。
日々の業務の中では、業務車両への電動車の導入や、個人のお客様へ配送する商品梱包の脱プラスチック化、文書のペーパーレス化やクリアファイルの使用削減などに取り組んでいます。こうした地道な活動の積み重ねも継続し、2045年までのカーボンゼロ、再エネ100%導入や、容器包装における化石資源由来プラスチック不使用という目標を達成できればと考えています。
サプライチェーン全体でさらなる環境負荷低減に取り組む
脱炭素・循環型社会を実現するための取り組みは、セコムだけでなし得るものではありません。例えば、商品や梱包の脱プラスチック化を進めるためには、素材メーカー等の技術革新が不可欠です。物流の効率化には、物流センターや配送事業者の協力が必要となります。特にセコムの商品は「安全・安心」に関わるものであるため、素材変更に慎重を要します。セキュリティ機器に再生可能プラスチックを導入して長期間の安定的な使用に耐えられるのかといった検証が必要ですし、梱包を紙に変更したほうが環境負荷を低減できる場合でも、中身が見えるビニール素材のほうが安全が担保できるといった場合もあるためです。加えて昨今は、資材や燃料、物流にかかるコストが高騰しており、コスト削減と環境配慮を両立させることは簡単ではないと認識しています。セコムが求める機能や安全性を確保しながらさらなる環境負荷低減を実現するためにも、お取引先との連携を強化し、サプライチェーン全体での取り組みを推進していく考えです。
- ZEB(Net Zero Energy Building)・・・快適な室内環境を維持しながら、建物で消費する年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの建築物のこと。Nearly ZEBはZEBに限りなく近い建物を指し、省エネ(50%以上)+創エネで、75%以上の一次エネルギー消費量の削減を目指す指標
- バーチャルPPA・・・再生可能エネルギーの環境価値を取引するスキーム。このスキームでは、電力と環境価値を切り離して別々に取引するため、物理的な制約を受けず、発電所から離れた場所でも環境価値の調達が可能となる
- 実質再エネ100%・・・太陽光・風力・水力など再生可能エネルギー由来の環境価値を組み合わせ、使用する電力を実質的に再生可能エネルギー100%にし、二酸化炭素排出量ゼロとすること
| KGI (目指す姿) |
KPI (KGIに向けた指標) |
目標値 | 目標年 | 2024年度 実績 |
|---|---|---|---|---|
| 「カーボンゼロ2045」を達成する | ||||
| 温室効果ガス排出量の2018年度比削減率 | 45% | 2030 | 48.2% | |
| 再生可能エネルギー導入率 | 100% | 2045 | 65.0% | |
電動車※導入率(特殊車両を除く)
|
100% | 2030 | 47.7% | |
| 電気自動車・燃料電池自動車導入率 (二輪含む) | 100% | 2045 | 91台 | |
| サーキュラーエコノミーを実現する | ||||
| 容器包装における化石資源由来バージンプラスチック使用率
*市販品採用機器を除く |
0% | 2030 | 70.0% | |
| 容器包装における化石資源由来プラスチック使用率
*市販品採用機器を除く |
0% | 2045 | 76.1% | |




















