[不審者対策/強化月間]「声かけ」の種類と対策
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セコムの舟生です。
[不審者対策]をテーマにお届けしている12月の強化月間シリーズ。
前回は、いち早く危険を察知できるよう、不審者に狙われやすい子どもの特徴」についてお話ししました。
子どもを狙った犯罪は「声かけ」がきっかけになることが多く、自治体や警察署が配信する防犯メールでは「声かけ事案」として扱われます。
ひと口に「声かけ事案」と言っても、その内容は多様です。
防犯知識があるお子さんでも、対応に戸惑ったり迷ったりしそうな声かけもあります。
いざというときに危険センサーが働きやすいように、さまざま声かけのパターンを把握しておきましょう。
今回は、不審者による声かけのパターンを分類しながら、お子さんが危険を回避する方法をまとめます。
<子どもの安全 強化月間「不審者対策編」バックナンバー>
・「不審者ってどんな人?」
・「不審者に狙われやすい子どもの特徴」
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▼不審者からの声かけのパターン
全国の警察署が発表している声かけ事案を分析すると、声かけの種類にはいくつかのパターンがあることがわかります。実際に使われた声かけの内容を見てみましょう。
◆ 子どもが欲しがるもの/興味を持つもので誘惑
・ 「お金をあげるから、ついてきて」
・ 「近くにおいしいケーキ屋さんがあるから一緒に行こう」
・ 「◯◯(有名人)に会わせてあげる」
◆ 助けを求める/脅かす
・ 「図書館はどこ?わからないからついてきて」
・ 「私服警官です。万引きをしたでしょう、体を調べさせて」
・ 「うるさいんだよ。住所と学校を教えろ」
◆ 親切を装う/親しげに近寄る
・ 「一緒に遊ぼうよ。いつなら遊べる?」
・ 「家を知っているから送ってあげる」
・ 「100円落とさなかった?」
◆ そのほか、不安や恐怖を覚える行為をともなう声かけ
・「なにもしないから、こっちにおいで」と声をかけられ、逃げると追いかけてきた
・「何年生?」「何小学校?」などと声をかけられ、ランドセルをつかまれた
・「かわいいね」「写真を撮ってあげる」などと声をかけられ、携帯電話を向けられた
このほかにも、いきなり抱きつく、体を触る、車窓からビデオカメラで撮影する、つきまとい行為など、全国各地で子どもが被害にあっています。
▼ 小学生が狙われる!「声かけ」にひそむ卑劣な思惑
埼玉県警が今年10月までに確認された声かけ事案を分析したデータによると、被害者の半数以上は小学生です。
昨年度の統計でもほぼ同様の割合で、中学・高校生への声かけと比べて突出して多いことから、小学生は声かけのターゲットになりやすいと言えます。
「小さい子ならだませる」「思い通りにできる」といった身勝手な考えがあるのでしょう。
一方で、悪意を持って声かけをする不審者は、誰かに犯行を知られるのを恐れています。
そのため、子ども側でアクションを起こすことがとても重要です。
実際にあった声かけ事案のなかで、難を逃れた子どもの防犯行動が参考になりますので、お子さんにぜひ教えてあげてください。
<不審者を撃退した防犯行動>
・きっぱり断る
・走って逃げる
・110番の家や店などに避難
・大声を出す
・助けを求める
・防犯ブザーやホイッスルを鳴らす
大事なのは勇気を出して行動を起こすこと。
「もし違ったら相手に悪い」と考えてしまうお子さんもいるのですが、少しでも恐怖や違和感を覚えたときは、その直感を信じるよう教えましょう。
間違ってもいいので、身を守ることを第一に防犯行動をとらせてください。
▼ いざというときの対応が身につく「防犯シミュレーション」
とっさの対応は、知識を詰め込むだけでは不十分です。
「防犯シミュレーション」で親御さんが不審者役になって、起こり得る危険を体験してみましょう。
体と頭を使って練習するのが重要です。
(1)声をかけられたときの対応を練習する
まずは、ご紹介した「声かけ」のパターンを参考に、お子さんに一緒に来るよう誘いかけてください。
最初は「いやです」「大人に聞いてください」などときっぱりと断る練習をしてみましょう。
お子さんがいま夢中になっているもので誘ったり、断った後も「遠慮しないで」と重ねたりして、お子さんの「断る力」を鍛えましょう。
(2)体を使って危険を逃れる練習をする
慣れてきたら、逃げ方や防犯ブザーを鳴らすタイミングなども練習してみましょう。
先ほどご紹介した<不審者を撃退した防犯行動>を参考に、大人が手を伸ばしたときに届く距離を体感したり、体をつかまれたときに逃げられるかどうかを試したりしてください。
お子さんが怖がらないよう、ゲーム感覚でチャレンジするのが大切です。
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実際に起きた「声かけ事案」を読み解くと、多くの場合は子どもがひとりでいるときに発生していました。また、発生時間は午後3時から6時ごろが多くなっています。
下校時、遊びや習い事の行き帰りのときに、お子さんがひとりになることはないでしょうか。
声かけへの対応はもちろんですが、声かけの対象にならないよう行動することが一番の安全対策です。
<子どもの安全 強化月間バックナンバー>
「通学路の安全編」
・子どもを狙う不審者の「声かけ」5つのパターン
・通学時間に起きやすい交通事故
・登下校中に「助けを求められる場所」は?
・通学路の重要性と子どもの行動範囲について
「交通事故防止編」
・小学生の交通事故を防ぐ
・自宅敷地内でも発生!幼児の駐車場事故
・交差点の巻き込み事故を避ける
・自転車事故の共通点とは
「留守番編」
・「はじめての留守番」
・「保護者の留守を狙った犯罪」
・「留守番中の火災を防ぐには」
・「鍵の持たせ方」
「性犯罪防止編」
・「わいせつ目的の犯罪の現状」
・「子どもに性犯罪の危険を教えるには?」
・「男の子を狙った性犯罪」
・「狙われないための安全対策」
「インターネット利用編」
・「子どもを狙うインターネットトラブルの現状」
・「トラブルから子どもを守るペアレンタルコントロールとは」
・「インターネットリテラシーの伸ばし方」
・「ゲーム機やスマホからつながるSNSの注意点」
「災害対策編」
・「親子で地震の備えを見なおそう!」
・「もしも地震が起きたらどうする?」
・「台風や大雨による水害、土砂災害から身を守る」
・「避難場所と緊急時の連絡方法を話し合おう」
「家庭内の不慮の事故防止編」
・「いつ起きるかわからない事故から子どもを守る」
・「ひもによる事故の危険性を知る」
・「身近にある危険!乳幼児の誤飲事故」
・「なぜ繰り返される?子どもの転落事故」
「子どもとSNSの安全編」
・「SNSで発生しやすい犯罪と手口」
・「SNSで犯罪に巻き込まれる理由」
・「SNSを使わせるときのルールづくり」
・「保護者も注意したいSNSの投稿内容」
2016.12.19