[不慮の事故を防ぐ/強化月間]「ひも」による子どもの事故の危険を知る
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セコムの舟生です。
今月の[強化月間シリーズ]は、「家庭内の不慮の事故防止」がテーマです。
初回となる前回は、家の中で起こる事故にはどんなものがあるのか、どうすれば危険を避けられるのかなど、家庭内で起きる不慮の事故を防ぐための基礎についてお話しましたが、今回以降は、実際に起きた家庭内での不慮の事故を事例として取り上げながら、具体的な事故予防対策をお伝えします。
最初の事例は、「ひも」。
あまり気づかないかもしれませんが、子どもの身近にはひもがたくさんあるものです。
どのようなひもが危険なのか、知っておくべきポイントをまとめます。
<子どもの安全 強化月間「家庭内の不慮の事故防止」バックナンバー>
「いつ起きるかわからない事故から子どもを守る」
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▼ どんなときに起きる?ブラインドやカーテンの「ひも」による窒息事故
窓辺にあるブラインドのひもや、カーテンの留めひも(タッセル)が子どもの首に絡まって窒息する事故は、以前から消費者庁が注意喚起を行っています。
海外での事故事例が多く報告されていますが、日本でも2010年からの5年間で3件の死亡事故が発生しました。
国内や海外の事故発生状況から、どのようなときに事故が起きているかを分析してみましょう。
【乳幼児の場合】
・寝返りを打ってベッドから転落した際に首にブラインドのひもが巻きついて窒息
・ひとり歩きできるようになったばかりの男児が床から50cmほどの高さにあったカーテンの留めひもに首を引っかけて窒息
⇒首の位置にひもがあったことが原因です。乳幼児はまだ自由に動くことができませんがひもの危険を知り、周囲から取り除いておきましょう。
【幼児の場合】
・出窓で遊んでいた女児が、ブラインドのひもが首にかかったままの状態で窓下のソファに飛んで窒息
・かくれんぼをしていたところ、誤ってブラインドのひもに首をかけて窒息
⇒活動的な年齢になると、遊び中にひもによる事故が発生していることがわかります。
遊びに夢中になっているときは、ひもが引っかかっていることに気づかない可能性があり、あらかじめ「ブラインドのひもは巻き上げて高い位置で留めておく」「タッセルははずしておく」といった対策が必要です。
また、ブラインドにはひものつなぎ目部分が外れる「セーフティジョイント」という安全器具をそなえた商品もありますので、子どもの安全に配慮した製品かどうか、商品購入時に確認するといいでしょう。
▼ 衣服の「ひも」や「フード」が子どもの窒息やけがの原因に
子ども服はかわいいデザインのものに目が行きがちですが、衣服のパーツが原因で事故が起きる場合があります。
昨年12月、経済産業省は、ひもやフードの引っかかり事故を防ぐために「子ども用衣料の安全基準(JIS)」を制定しました。
子ども服が原因で起きる事故とは、どのようなものがあるのでしょうか。
東京都が調査した「ヒヤリ・ハット」のアンケートなどから見てみましょう。
<パーツ別事故原因>
【首まわりのひも】
・すべり台のわくに引っかかった
・ブランコの鎖に引っかかり、降りるときに転倒した
【ズボンのひも】
・電車のドアにはさまれた
・エスカレーターにはさまり転倒した
【ウエストや腰まわりのひも】
・上着のひもが自転車のタイヤに巻き込まれた
・長いひもを自分で踏んだ
・スクールバスのドアにはさまれた
【フード】
・家のドアノブに引っかかり、首がしまった
・引っ張りあって転倒した
現在のJIS規格では、頭や首まわりから垂れ下がるひもは子ども服に付けられないことになっています。また背中から出るひもや、上着やズボンのすそに垂れ下がったひもを付けることも禁じられています。
しかし、JIS規格に則った服ばかりではありませんし、フードに関しては規格が定められていません。子どもを守るためには、保護者が子ども服の安全についての知識を持ち、自ら選ぶ必要があります。デザインや機能性も大切ですが、安全性についても、見る目を磨きたいですね。
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赤ちゃんの場合はひもだけではなく、スタイ(よだれかけ)やガーゼなど、首に巻くものや顔のまわりに置いたものが窒息の原因になる場合があります。
眠っているときや、親の目が届かないときはスタイをはずす、顔のまわりにものを置かないなど、安全な環境づくりに留意してください。
<子どもの安全 強化月間バックナンバー>
「通学路の安全編」
・子どもを狙う不審者の「声かけ」5つのパターン
・通学時間に起きやすい交通事故
・登下校中に「助けを求められる場所」は?
・通学路の重要性と子どもの行動範囲について
「交通事故防止編」
・小学生の交通事故を防ぐ
・自宅敷地内でも発生!幼児の駐車場事故
・交差点の巻き込み事故を避ける
・自転車事故の共通点とは
「留守番編」
・「はじめての留守番」
・「保護者の留守を狙った犯罪」
・「留守番中の火災を防ぐには」
・「鍵の持たせ方」
「性犯罪防止編」
・「わいせつ目的の犯罪の現状」
・「子どもに性犯罪の危険を教えるには?」
・「男の子を狙った性犯罪」
・「狙われないための安全対策」
「インターネット利用編」
・「子どもを狙うインターネットトラブルの現状」
・「トラブルから子どもを守るペアレンタルコントロールとは」
・「インターネットリテラシーの伸ばし方」
・「ゲーム機やスマホからつながるSNSの注意点」
「災害対策編」
・「親子で地震の備えを見なおそう!」
・「もしも地震が起きたらどうする?」
・「台風や大雨による水害、土砂災害から身を守る」
・「避難場所と緊急時の連絡方法を話し合おう」2016.10.13