[子どもとSNSの安全/強化月間]SNSで発生しやすい犯罪と手口
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セコムの舟生です。
街路樹も少しずつ色づき、秋が深まる11月。
今月の強化月間シリーズは[子どもとSNSの安全]をテーマにお届けします。
インターネットやスマートフォンの普及で、小学生もSNSや無料通話アプリなどのコミュニティサイトを利用することが珍しくなくなってきました。
多様な楽しみや便利さがある一方で、性犯罪をはじめとする子どもの被害が増加の一途をたどっています。
なぜコミュニティサイトでトラブルに巻き込まれてしまうのでしょうか。
どうしたら子どもを守ることができるのでしょうか。
今回は、統計からコミュニティサイトにおける犯罪の手口や予防対策を読み解きます。
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▼ 交流サイトでの子どもの被害は過去最多
警察庁から発表された「平成28年上半期におけるコミュニティサイト等に起因する事犯の現状と対策について」によると、今年1~6月にコミュニティサイトを利用して犯罪被害にあった18歳未満の子どもは889人。
半期の統計で最も多かった昨年下半期よりも33人増え、過去最多を更新しました。
年齢別で見ると、13歳以下は121人。
コミュニティサイトで知り合った相手に、だまされたり脅されたりして裸の写真を送ってしまうなどによる児童ポルノの被害は、全体の約3割を占めています。また中には略取誘拐や強姦など重要犯罪の被害も発生しています。
アクセス手段は9割近くがスマートフォン。
子どもたちにもスマートフォンの普及が進んでいることが、被害増加に深く関わっていると言えそうです。
また約9割でフィルタリングを利用しておらず、子どもに自由にスマートフォンを使わせることが、いかに危険かがよくわかります。
▼ 小学生の犯罪被害、その手口は?実際に起きた事件に学ぶ
コミュニティサイトにおける小学生の犯罪被害は、「子どもの安全NEWS」でも頻繁に取り上げています。
実際に起きた事件を振り返ってみましょう。
<児童ポルノ被害>
・スマホの無料通話アプリで知り合った小6の女児に、スマホで撮影した上半身裸の写真を送信させた20代男を逮捕。
・出会い系アプリで知り合った小学生の女児をだまし、携帯電話で裸の画像を送らせた30代男を逮捕。
・小6と中1の女児にスマホで自分の裸を撮影させ、写真や動画を送らせた20代男を逮捕。女児らは「しつこく言われて従った」「スタンプをもらったので言うとおりにした」と説明。
・11歳の女児に携帯電話で自身の裸の写真を撮らせ、無料通話アプリを通じて送信させた30代男を逮捕。
・無料通話アプリのチャットで小6女児に「顔写真をネット上にばらまく」と脅し、裸の画像を送らせた20代男を逮捕。男は女性を装って女児に近づき、顔写真を交換していた。
だまされたり、脅されたりして、知らない相手に写真を送ってしまったというパターンがほとんどです。同性を装って近づき「友情の証しに裸の写真を交換しよう」と持ちかける手口もあり、「相手から先に画像が送られてきたので、自分も送った」というケースも見られました。
知らない相手を安易に信頼してしまうのは、子ども自身の未熟さや経験不足に起因するものだと思います。コミュニティサイトを通じてどのような犯罪が起きているのか、を具体的に教えましょう。
<誘拐・強姦などの被害>
・無料通話アプリで知り合った小5の女児に淫行し、スマートフォンで撮影した30代男を逮捕。
・SNSで知り合った小学校高学年の女児を誘い出し、自宅に誘拐した20代男を逮捕。
・インターネットの掲示板を介して小学生の女児をホテルに連れ込み、みだらな行為をした40代男を逮捕。
・10歳女児を誘拐した容疑で10代と20代の男を逮捕。女児は2人の男とは面識がなく、SNSで呼び出され、連れ去られた。
・SNSで知り合った小学校高学年の女児を誘い出し、ホテルで暴行するなどした40代男を逮捕。
・SNSを通じて知り合った小学生女児にスマートフォンを買い与え、見返りにみだらな行為をした容疑で40代男を逮捕。
コミュニティサイトを通じて知り合った相手と、実際に会ってしまったことで被害が発生しています。コミュニティサイトの利用は保護者のコントロールが必須です。
▼ コミュニティサイトでトラブルに巻き込まれないための対策
コミュニティサイトでは、利用している人のプロフィールが公開されていますが、相手の名前や所属が本当かどうかはわかりません。偽りのプロフィールで登録することも可能だからです。
実際、子どもが多く利用しているコミュニティサイトでは、子どもと近づくことを目的に登録している悪意ある大人が大勢います。そのことを、子どもによく教えましょう。
<コミュニティサイトでトラブルを防ぐポイント>
・どんな甘言を投げかけられても、個人的な情報は明かさない
・親しくなった相手でも、画像は送らない、直接会わない
・安易に相手の求めに応じない
・返答に困るような要求をしてくる人物は、「悪意がある」と考え一線を引く
・困ったときは保護者に相談する
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被害児童が被疑者とあった理由のひとつに「優しかった、相談に乗ってくれた」というものがあります。その割合はおよそ20%です。
被害児童と親をはじめとした周囲の大人たちとのコミュニケーション不足がうかがえます。
お子さんとのコミュニケーションを密に取ることが被害防止に役立つように思えてなりません。
普段から子どもに「何かあったら、一番に相談してね」「どんなことがあってもあなたの味方だよ」というメッセージを伝え続けましょう。
保護者の愛情や心配は、子どもに必ず伝わります。
<子どもの安全 強化月間バックナンバー>
「通学路の安全編」
・子どもを狙う不審者の「声かけ」5つのパターン
・通学時間に起きやすい交通事故
・登下校中に「助けを求められる場所」は?
・通学路の重要性と子どもの行動範囲について
「交通事故防止編」
・小学生の交通事故を防ぐ
・自宅敷地内でも発生!幼児の駐車場事故
・交差点の巻き込み事故を避ける
・自転車事故の共通点とは
「留守番編」
・「はじめての留守番」
・「保護者の留守を狙った犯罪」
・「留守番中の火災を防ぐには」
・「鍵の持たせ方」
「性犯罪防止編」
・「わいせつ目的の犯罪の現状」
・「子どもに性犯罪の危険を教えるには?」
・「男の子を狙った性犯罪」
・「狙われないための安全対策」
「インターネット利用編」
・「子どもを狙うインターネットトラブルの現状」
・「トラブルから子どもを守るペアレンタルコントロールとは」
・「インターネットリテラシーの伸ばし方」
・「ゲーム機やスマホからつながるSNSの注意点」
「災害対策編」
・「親子で地震の備えを見なおそう!」
・「もしも地震が起きたらどうする?」
・「台風や大雨による水害、土砂災害から身を守る」
・「避難場所と緊急時の連絡方法を話し合おう」
「家庭内の不慮の事故防止編」
・「いつ起きるかわからない事故から子どもを守る」
・「ひもによる事故の危険性を知る」
・「身近にある危険!乳幼児の誤飲事故」
・「なぜ繰り返される?子どもの転落事故」
2016.11.04