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バイスタンダーとは?救命の現場での役割・注意点・負担軽減の制度

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バイスタンダーとは

バイスタンダーとは、けが人や急病人が発生した場合、その場に居合わせた人のことを言います。道を歩いていると急に人が倒れた、家族が苦しみ始めた、職場で同僚が倒れたなど、あらゆるケースで自分がバイスタンダーになる可能性があります。一次救命処置においては、救急隊到着までの数分間にバイスタンダーが行う救急処置が、患者の予後や生存率を左右するとされており、非常に重要な役割を担っています。

バイスタンダーの役割

バイスタンダーの役割は、「心停止の早期認識と119番通報」、「一次救命処置」です。一次救命処置を適切に行うことで救命率が上がるだけではなく、苦痛の軽減や病状の悪化の防止が期待できます。反対に、適切な処置を行わなかった場合、すぐに命にかかわる事態でなくても、容体が悪化することで亡くなるリスクが高まります。

心停止の早期認識と119番通報

心停止の早期認識と119番通報は、次の流れで行います。

  • 交通状況や落下物、火災、感電などの危険性がないか確認します。もし、自分自身の安全を確保できない場合は、傷病者にむやみに近づいてはいけません。
  • 傷病者の肩を優しく叩きながら、大きな声で呼びかけます。明確な意思に基づく動作や応答がある場合は「反応あり」、応答や動作がない、あるいはけいれんしている場合は「反応なし」となります。
  • 「反応あり」の場合は、訴えを確認して、傷病者が求める応急処置を行います。
  • 「反応なし」の場合は、119番通報とAEDの確保を周りの人に指示します。周りに人がいない場合は、自分で119番通報をしてから心肺蘇生を始めます。反応がある場合でも、生命に危険が及ぶ事態と判断できたときは119番通報しましょう。
  • 消防指令センター員の指示に従って応急手当を行います。

一次救命処置

一次救命処置は、救命率を大きく左右する重要な行為です。一次救命処置の流れを詳しくみていきましょう。

  • 胸と胸部が動いていない、通常の呼吸ではない(しゃくりあげるような何度も途切れる呼吸)場合は心停止と判断します。ただし、医療従事者ではない方が心停止かどうか判断することは難しいため、まずはAEDを装着してみてください。AEDが「除細動が必要な不整脈が出ているか」を判断してくれます。
  • 心停止している場合は、AEDによる電気ショックを行います。心臓突然死の原因となる重症不整脈が起きている場合、AEDによる電気ショックが必要です。電気ショックが遅れるほどに救命率が低下します。AEDのふたを開けて電源を入れ(自動で電源が入るものもある)、電極パッドを装着し、音声ガイドに従って操作しましょう。除細動ボタンを押すときは、周囲の人に離れるように指示をしてください。AEDが手元にない場合は、手元に届くのを待ちながら胸部圧迫による心臓マッサージを行いましょう。
  • 胸部圧迫による心臓マッサージでは、片方の手のひらを胸骨の下半分にあて、もう片方の手を重ねて手を組み、真上から垂直に胸を圧迫します。胸が約5cm沈み込む力で圧迫しましょう。
  • 傷病者の額に片方の手をあて、もう片方の手の人差し指と中指で顎を持ち上げます。
  • 人工呼吸の訓練を受けており、十分な技術と行う意思がある場合に限り、人工呼吸を行います。人工呼吸と心臓マッサージを繰り返しましょう。

バイスタンダーの救命処置による救命率の変化

厚生労働省の「救急蘇生法の指針(2015)」によると、バイスタンダーによる心肺蘇生が行われた場合の1ヶ月後の社会復帰率は10.8%、行わなかった場合は4.3%と、2倍以上もの差が生じています。また、救急隊員がAEDによる電気ショックを行った場合の1ヶ月後の社会復帰率が18.9%と低値であるのに対し、救急隊が到着する前にバイスタンダーが電気ショックを行った場合の社会復帰率は43.3%と高値を示しています。

バイスタンダーの救命処置次第で救命率が大きく変わるため、心臓マッサージの方法やAEDの使い方などを確認しておくことが大切です。

バイスタンダーが救命処置をするときの注意点

ご自身がバイスタンダーになった際には、次の注意点を踏まえて救命処置を行いましょう

可能な限り人工呼吸用のマスクを使う

人工呼吸の訓練を受けており、十分な技術と行う意思がある場合には、人工呼吸を行います。このとき、可能な限り人工呼吸用のマスクを使用しましょう。バイスタンダーと傷病者のいずれかが感染症に罹患している場合、傷病者からの感染、あるいは自分から傷病者への感染が懸念されます。

また、新型コロナウイルス感染症が流行している時期においては、成人の心停止傷病者に対しては人工呼吸を行わない指針を厚生労働省が発表しています。反応の確認と呼吸の観察の際には、傷病者の顔に近づきすぎないようにしましょう。また、心臓マッサージの際には、ウイルスを含む微粒子の飛散を防ぐために、ハンカチやタオルを傷病者の口と鼻にかぶせてください。

救急隊に傷病者を引き継いだ後は、速やかに流水と石鹸で手と顔を洗い、傷病者に使用したハンカチやタオルは直接触れずに破棄しましょう。

手袋やガーゼなどを適切に使う

傷病者が出血している場合は、手袋を装着してガーゼで患部を圧迫します。患部に面するガーゼが不潔な場合、傷口に感染症が起きるリスクが高まるため、地面に置いたりむやみに触れたりしないことが重要です。使用後の手袋やガーゼは、感染症予防のために直接触れずに破棄しましょう。

救命処置では訴えられる心配がないことを認識する

救命処置の際に素肌を見たり胸骨を圧迫したりといった対応が必要なため、傷病者から訴えられることを懸念して処置が遅れるケースがあります。応急手当において、悪意または重大な過失がない限り、実施した人物が法的責任に問われることはありません。救命処置では訴えられる心配がないことを認識したうえで、速やかに救命処置を行うことが大切です。

バイスタンダーの活躍で救命できた事例

バイスタンダーの活躍で実際に救命できた事例が東京消防庁のホームページで公開されています。

事例1

公衆浴場で倒れた方を居合わせた人が応急手当を行い救命した事例です。

公衆浴場の浴槽で女性が突然意識を失いました。居合わせた入浴客と従業員が協力して洗い場に引き上げたところ、呼吸と脈がありませんでした。救急隊は現場に向かいながらPHSを使用し、入浴客と従業員に対して心肺蘇生(人工呼吸と胸骨圧迫)を実施するように伝えました。しばらくすると傷病者の体動があらわれたため、心肺蘇生を中止しました。救急隊が到着した時には傷病者の呼吸と脈は回復していました。

事例2

駅のホームで倒れた方を駅員が協力して応急手当を行い救命した事例です。

男性がホームで倒れたとの連絡が改札に入りました。そこで、駅員のうち1名が119番通報を、もう1名がホームへ向かいました。傷病者を観察したところ呼吸と脈がなかったので、駅員2名(うち1名は救命講習修了者)により心肺蘇生を実施しました。その後、救急隊が到着するまで、心肺蘇生が続けられました。救急隊の到着後、除細動(※)が実施され、救急車内で傷病者の呼吸と脈が回復しました。

事例3

レストランで倒れた方に客が応急手当を行い救命した事例です。

飲食店内で女性がパンをのどに詰まらせて倒れました。目撃した客(医師)がすぐに背部叩打法(背中を叩く方法)を行ったところ、口の中にパンのかけらが出てきました。女性を観察すると、脈はあるものの呼吸が感じられなかったため、人工呼吸を実施しました。その後、しばらくすると呼吸と意識が回復し、救急隊が到着した時には話せるようになりました。

引用:東京消防庁「バイスタンダー応急手当救命実例」

このように、バイスタンダーの活躍によって命が助かった例は非常に多いため、他人事と思わずに心臓マッサージやAEDの使い方について覚えておくことが大切です。

バイスタンダーは救命率の向上に欠かせない存在

バイスタンダーは、周りの人に119番通報やAEDの確保などの指示を与え、心臓マッサージやAEDによる電気ショックで傷病者の救命に取り組む人です。救命処置が遅れるほどに救命率が下がるとの報告があるため、速やかに行動する必要があります。新型コロナウイルスの流行下では、成人に対する人工呼吸は行わない指針が発表されています。傷病者と自分の安全を確保したうえで、適切に救命処置を行いましょう。

この記事の監修者

写真:小杉 理恵

小杉 理恵

医学博士。 日本内科学会総合内科専門医。 日本循環器学会認定循環器専門医。 日医認定産業医。 人間ドック健診専門医・指導医。 北里大学医学部入学。北里大学病院にて初期研修終了後、関連病院にて心不全や心筋梗塞といった循環器内科領域の研鑽を積み、北里大学医療系大学院にて博士号取得。 北里大学病院循環器内科助教、北里研究所病院循環器内科医長、北里大学東病院健康科学センターを経て、北里研究所病院予防医学センター人間ドック科部長として活躍中。

2021.3.17公開

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