AEDの設置場所はどこ?設置基準から設置のポイントまで


AEDを備える
セコムのAEDサービス
更新日:2021年5月12日
AEDは突然人が倒れた時に使うため、どこへ行けばAEDがあるのかを事前に把握しておくことが重要です。また、施設管理者は、AEDの設置場所を把握し、日ごろから積極的に周知することが大切です。今回は、AEDの設置場所や探し方、設置するときのポイントについて詳しく解説していきます。
AEDとは?
AEDは、自動体外式除細動器(Automated External Defibrillator)の略です。心筋梗塞など、突然のきっかけで正常に拍動できなくなった心臓に電気ショックを加えることで、心臓の拍動を正常に戻す医療機器です。心臓突然死の主な原因の「心室細動」は、今まで心臓の病気を指摘されたことがない方でも突然発症する場合があります。AEDを早急に使用することで、生存率の上昇が期待できます。
AEDについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
AEDはどこにある?
AEDは医療機関や公共施設や駅、商業施設、マンションなど多くの場所に設置されています。緊急時に備えて日ごろから設置場所を確認しておくことが大切です。
医療機関
AEDは病院や診療所、歯科医院などの医療機関に設置されていることが多く、緊急対応体制の一環として導入されています。特に外来患者や高齢者が多く来院する施設では、急変リスクに備えた設置が進んでいます。ただし、夜間や休診日は建物が施錠され、外部から利用できない場合もあるため、利用可能時間や設置場所を事前に確認しておくと安心です。
公共施設(学校や市役所、スポーツセンター、公民館)
AEDは学校や市役所など多くの人が集まる公共施設を中心に設置が進められています。これは、総務省や文部科学省が推進しているAED普及政策の一環として、緊急時の備えを強化しているためです。特にスポーツ中の心停止リスクを踏まえ、体育館や運動施設に設置されていることが多く、公民館や地域センターについても同様です。ただし、夜間や休日は施設が閉鎖されている場合があるため、アクセスの可否を事前に確認しておくと安心です。
ターミナル駅
多くの人が利用する主要な駅には、ほぼ確実にAEDが設置されています。駅構内の改札付近や駅員室の近く、主要な連絡通路などにあることが一般的です。一方で、都市部から離れた小規模な駅や無人駅では、AEDが設置されていないこともあります。万一に備え、通勤・通学で利用する交通機関の施設のAED設置状況について、駅員や案内係などに事前に確認しておくとよいでしょう。
デパートや大型商業施設、コンビニエンスストア、ドラッグストア
大規模な商業施設では、来店客の安全確保のためAEDの設置が進んでいます。特にデパートやショッピングモールでは、インフォメーションカウンターや防災センター付近に設置されていることが多いです。また、最近では一部のコンビニやドラッグストアにもAEDが設置されており、地域の防災拠点としての役割を担いつつあります。ただし、すべての店舗に設置されているわけではないため、店頭や自治体のAEDマップなどで確認しておきましょう。
マンション
近年では、防災意識の高まりからマンションの共用部(エントランスホールや管理室など)にAEDを設置するケースが増えています。特に高層マンションや住民数の多い大規模物件で導入が進んでおり、管理組合や自治会が主導して設置されることが一般的です。自宅や親族の住まいにAEDがあるかどうか、またその場所について、入居時や訪問時に確認しておきましょう。
スタジアムや遊園地、ホテル、観光施設
AEDは「人が集まりやすい」「緊急時の対応が求められる」場所に重点的に設置されています。スタジアムや遊園地、ホテル、観光施設などもその一例です。これらの施設では、不特定多数の人が一定時間滞在するため、突然の心停止に対応できるよう、AEDの設置が推奨または義務づけられている場合があります。施設を利用する際、館内マップや案内表示を確認し、緊急時にすぐに使える位置を把握しておきましょう。
AEDの探し方
急にAEDが必要になった場合、走り回って探すと時間がかかり救命できなくなる可能性があります。
いざという時に慌てないように、事前にAEDがどこにあるか、把握しておきましょう。AEDの効率的な探し方を紹介します。
AEDマップを使う
一般財団法人日本救急医療財団が公開している「AEDマップ」を利用しましょう。AEDの設置場所を検索することで、現在地から最も近いAEDの設置場所がわかります。設置施設名や設置施設住所などの情報も記載されているため、AEDの場所をすぐに確認できます。
AEDの設置ステッカーを探す
AEDが設置されている場所には、目立つところに「AEDの設置ステッカー」が貼ってあります。「AED設置施設」と記載されたステッカーが貼ってあれば、その施設のどこかにAEDがあるので、施設の管理者や従業員に尋ねてみましょう。

AEDを設置した方がよい場所
AEDを適切に設置することで、心臓突然死を防ぐことができます。
AEDの設置は法律で義務化されてはいませんが、横浜市では平成20年に施行された「横浜市救急条例」により、ホテルや病院、劇場、飲食店などの不特定多数の人が出入りする防火対象物のうち、特定の条件を満たした施設にAEDの設置を義務づけています。
次のような場所には積極的に設置することが大切です。
- スポーツや温泉など心臓に負担がかかる可能性があり、心停止のリスクがある場所
- いざというときにAEDを見つけやすい場所
- 人通りが多くて救助を得やすい場所
- 救急隊が到着するのに時間がかかる場所
例えば、運動前後1時間は、運動をしていない1時間と比べて突然死のリスクが高いといわれているため、スポーツセンターや学校の運動場などには設置した方がよいでしょう。そのほか、近くに病院がない地域の駅、飲食店、公共施設、人通りが多い大通りに面している店、大規模な駅などにもAEDの設置が望ましいです。
また、会社のオフィスが高層にある場合は、AEDを取りに行くのに時間がかかるため、数階ごとに設置することも検討した方がよいかもしれません。日ごろから使う場所や、通り道でAEDがある場所を確認しておくことが大切です。
AEDを設置する場所の条件
AEDを設置すべきかどうか迷っている場合は、次の条件を満たすかどうか確認しましょう。
5分以内に電気ショックが可能な場所
心停止の場合は早急に電気ショックを行うことで、救命できる可能性が上がります。そのため、できれば5分以内に電気ショックが可能な場所にAEDを設置することが大切です。例えば、300m間隔でAEDが設置されている場合、150m/分の早足で取りに行けば、2分以内で現場に戻れます。その結果、心停止から5分以内に電気ショックを行うことが可能です。
高層ビルでは、エレベーターや階段の近くにAEDを設置することで、別の階で心停止が起きたときに速やかにAEDを現場に届けることが可能です。また広い工場では、AEDの設置場所に通報して、AEDの管理者が現場に急行する体制を整えることで、円滑に救命行為を行うことができます。
わかりやすい場所
AEDは、わかりやすい場所に設置してください。建物の出入り口付近、多くの人が通る場所、目立つ看板の下、普段から目に入る場所などに設置すると、AEDを探しに来た人が簡単に見つけることができます。
誰でも利用できる場所
鍵がかかった場所や、入室に許可が必要な場所にAEDを設置することは避けてください。また、AED収納ボックスに鍵をかけないようにしましょう。 AEDは、誰でも入手できる場所に設置しましょう。
AEDを設置するときのポイント
AEDは、ただ設置すればよいわけではありません。設置場所の利用者以外の人も利用できるように、次のポイントを押さえて設置しましょう。
定期的に点検する
AEDは医療機器のため、本体の耐用年数やバッテリー、電極パッドなど消耗品の使用期限が過ぎても交換されなかった場合、うまく作動しなかったり、十分な電気ショックができなかったりする可能性があります。そのため、AEDごとに定められた耐用年数を確認のうえ、消耗品の定期交換など定期的に点検することが大切です。
AEDの状態は、使用頻度や設置場所の環境などの影響を受けます。耐用年数が過ぎたときの対応については、販売業者に確認しましょう。
AEDマップに登録する
AEDを設置したら、AEDマップへの登録が推奨されています。AEDに同梱されている登録証に記載されているURLにアクセスして、手続きをする必要があります。メールアドレスを登録するとURLつきのメールが送られてくるので、URLにアクセスして「AED設置者情報登録」をしましょう。
AEDマップに登録することで、第三者がAEDの設置場所を確認できます。設置場所付近で発生した心停止に対し、第三者のAED貸し出しに応じることで、より多くの命を救うことになり、重要な社会貢献となります。
AEDマップへの登録方法については、一般財団法人日本救急医療財団のホームページを確認してください。
AEDを会社に設置する必要はある?
AEDを設置している会社は、まだそれほど多くありません。しかし、心臓突然死は性別、年齢問わず誰にでも起こりうることです。社員の健康を守るためにも、万が一のときに対応できるように、AEDを導入すること、社内で人が倒れた場合の予行訓練を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
AEDは人が突然倒れた際に心臓突然死を防ぐために必要不可欠な機械であり、いざというときに早急に使用することが重要です。
日ごろからAEDの設置場所を気にかけておき、倒れている人を見かけたら応急処置に加え、迅速にAEDを確保して、電気ショックを行いましょう。
また、AEDを導入したら、誰でもAEDの場所を確認できるように、AEDマップに登録し、生活圏のAED設置場所を確認しておきましょう。
この記事の監修者

宿理 紗彩
(しゅくり さあや)
専門は循環器内科、一般内科。秋田大学医学部卒業。女医+(じょいぷらす)所属。
心臓カテーテル治療から在宅医療、産業医、睡眠時無呼吸症候群外来など様々な医療に携わっている。
10代での不整脈による突然死、30代~90代の心筋梗塞患者を担当した経験から、心疾患の予防や早期発見の大切さを啓蒙している。
2021.1.13公開
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