突然死とは?知っておくべき定義・原因・対策方法


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今まで元気だった人が急に亡くなってしまう「突然死」。そんな突然死ですが、対策次第でリスクを抑えることが可能とされています。ここでは、突然死の定義や原因から、職場でできる対策方法まで詳しくご紹介します。
突然死とは
突然死とは、これまで通常の生活をしており、周りの人からは健康に見える人が急速に死亡することです。WHO(世界保健機関)は、突然死の定義を「瞬間的な死亡、もしくは原因となる病気を発症してから24時間以内に死亡すること」としています。ただし、交通事故や落下事故などによる外因死は、突然死には含まれません。
突然死と似た言葉に「急死」がありますが、これは急変して死に至ることです。直前に健康だったかどうかは関係がありません。そのため、「急死」という大きなカテゴリの中に、小カテゴリとして「突然死」があると言えます。
突然死の原因
突然死の原因には、主に「循環器系の病気」と「脳血管系の病気」があります。突然死の原因について、詳しくみていきましょう。
循環器系の病気
突然死が生じるリスクのある循環器系の病気には、虚血性心疾患、不整脈、弁膜症、肥大型心筋症や拡張型心筋症などの心筋症などが挙げられます。中でも、虚血性心疾患の1つ「心筋梗塞」は突然死のリスクが高いといわれています。心筋梗塞で亡くなられる方の半数以上は、発症から1時間以内に死亡しているといわれています。これは、心筋梗塞により、致死性不整脈である心室細動を起こすためです。心室細動を生じると、心臓が細かく痙攣した状態になり、全身の臓器に血液を送り出すポンプとしての機能を果たせなくなり、死に至ります。
また、心筋梗塞は発症前に前兆となる胸痛などの症状がわかりにくいケースがあります。心臓が関連する突然死が起こる時間帯のピークと心筋梗塞が発症するピークが一致しているため、突然死の原因の多くを占めるとの考え方があります。
脳血管系の病気
突然死が生じるリスクのある脳血管系の病気には、「出血性脳血管疾患」と「虚血性脳血管疾患」があります。
「出血性脳血管疾患」とは、脳の血管が破れて漏れ出た血液が血腫と呼ばれる塊になり、その部分の脳細胞を破壊する病気です。また、出血した部位によって、「脳出血」と「くも膜下出血」に分類されます。
脳出血は、脳の奥深くの細い血管にできた小さなこぶが破裂し、出血したものです。くも膜下出血は、脳の表面を保護する「くも膜」の下に出血が起きた状態です。
「虚血性脳血管疾患」では、脳の血管がつまることで脳に十分な血液が行き渡らなくなり、脳細胞に必要な酸素と栄養が不足します。代表的なのは、「脳梗塞」と「一過性脳虚血発作」です。
脳梗塞には、脳の血管に生じた血液の塊によって血管がつまる「脳血栓」と、心臓など脳以外の部分で生じた血の塊が脳へと運ばれて脳の血管をつまらせる「脳塞栓」があります。
一過性脳虚血発作は、脳の血管が一時的につまるものの、後に解消されることが特徴です。しかし、その後に脳梗塞を発症する恐れがあります。
突然死のリスクを高める要因
突然死は、あるきっかけで生じるケースがあります。また、突然死のリスクを高める要因が日常に隠れているケースも少なくありません。突然死のきっかけやリスクを高める要因について、詳しくみていきましょう。
胸部に強い衝撃を受ける
胸部に強い衝撃を受けることで、心室細動が起こり、そのまま死に至るケースが少なくありません。心室細動とは、心室が1分間に300回以上不規則にけいれんする状態のことで、運動中の突然死の主な原因といわれています。
例えば、「野球で非常に速い球が胸部に当たった」、バスケットボールのディフェンスで「相手選手の肘が非常に強く胸に当たった」といった場合に、心室細動が起こる恐れがあります。職務中のケースでは、「工場の機械設備の点検中に、機械で胸を強打した」、営業の外回り中に「交通事故にあい、胸を強打した」場合なども考えられるでしょう。
ストレスが溜まっている
ストレスは、動脈硬化を促すことで、突然死の原因となる心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めるといわれています。ストレスの原因は、長時間労働、完璧主義、ネガティブ思考、睡眠不足、運動不足など、さまざまです。心筋梗塞や脳梗塞は、ある程度の年齢に至ることでリスクが上がるとされていますが、働き盛りの20代でも発症する可能性があります。
「若いから大丈夫」といった認識でストレスフルな日々を過ごすと、突然死のリスクが高まるでしょう。
生活習慣が乱れている
睡眠不足や栄養不足、カロリー過多、運動不足、喫煙などは、いずれも動脈硬化のリスク要因です。このように、生活習慣が乱れていると、突然死のリスクが高まる可能性があります。生活習慣が乱れている原因を突き止めて、早めに解消することが大切です。
労働時間が長すぎて睡眠時間が短くなっていたり、ストレスで暴飲暴食をしてしまったりと、労働環境やストレスが関係している場合があります。
突然死を減らすために個人ができる対策
突然死のリスクを抑えるためには、根本の原因に対処する必要があります。突然死を防ぐために今日から実践したい対策方法を詳しくみていきましょう。
生活習慣を整える
生活習慣を整えることで、動脈硬化のリスクを低減できる可能性があります。良質かつ十分な睡眠、栄養バランスのとれた食事、適度な運動などを心がけつつ、喫煙はできるだけ控えましょう。また、糖尿病や高血圧、高脂血症などの生活習慣病の診断を受けている方は、医師の指導に従って改善を目指すことが大切です。
ストレスをこまめに解消する
大きなストレスが溜まると、解消することが難しくなります。毎日、ストレスをこまめに解消することを心がけましょう。1日1時間は趣味を楽しんだり、適度に運動したりする方法があります。ライフスタイルに合った方法を取り入れることが大切です。
定期健診を受ける
心筋梗塞や脳梗塞の原因となる動脈硬化のリスクに早く対処すべく、定期健診を受けましょう。定期健診で生活習慣病のリスクが高い、あるいは診断を受けた場合は、医師の指導に従って改善や予防を目指すことが大切です。定期健診を受けることは、生活習慣病の早期発見に繋がります。
突然死を減らすために職場でできる対策
突然死は、個人だけではなく、職場でもできる対策があります。具体的な対策方法について詳しくみていきましょう。
健康経営を心がける
健康経営とは、従業員の健康管理を戦略的に実践し、従業員の生産性や活力の向上による業績アップを目指すことです。労基法を違反した形での長時間労働は、従業員の健康を害し、生産性の低下を招きます。
健康経営の具体例、メリットについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
AEDを設置する
AEDとは、心室細動が生じた心臓に対し電気ショックを施して、正常な心拍へと戻す医療機器です。突然死のリスクの一つである心室細動が起きたときは、できるだけ速やかに心肺蘇生やAEDによる救命処置を実施することが求められます。職場にAEDを設置することで、従業員に心室細動が起きたときに、速やかに電気ショックを施せるようになるでしょう。また、AEDの設置は、「安全配慮義務」の取り組みにもつながることでしょう。
安全配慮義務について、こちらの記事で詳しく解説しています。
また、セコムではAEDをレンタルで提供しております。詳しくは、こちらをご覧ください。
働きやすい職場環境を作る
ストレスが大きい職場環境では、突然死のリスクが高まる可能性があります。働きやすい職場環境を作ることを目指しましょう。風通しがよく、自分の意見が上層部へと伝わりやすい職場では、従業員が働きがいを感じやすく、モチベーションやパフォーマンスの向上が期待できます。そのほか、法令順守の徹底、さまざまな働き方に対する理解の促進、正当な評価制度の導入などの方法があります。
まとめ
突然死を絶対に防ぐ方法はありませんが、対策次第でリスクを抑えることは可能とされています。また、突然死が起きたときにAEDをすぐに使用できる環境づくりも大切です。職場でも突然死を防ぐために対策できることがあるので、検討してみるのはいかがでしょうか。
この記事の監修者

向後 寛子
医学博士、外科専門医、下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術実施医。都内大学病院に心臓血管外科として従事、現在は血管外科医として勤務。働くママドクターとして若手女性心臓血管外科医への啓蒙活動も行っている。
2020.11.26公開
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