「全国地域安全マップコンテスト」に見る通学路の安全確保
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セコムの舟生です。
通学路での犯罪や事故の危険を、子どもにどう教えるか。
繰り返し伝えていても、言葉だけでは実感できないことがあるようです。
言葉による知識と、行動によって身につく感覚。
その双方を高める学習が安全マップづくりです。
通学路や地域を歩き、子ども自身で注意を要する「危険な場所」や、もしものときに助けてもらう「安全な場所」を探します。子ども自身の発見と考察から作られる安全マップは、体験型の安全・防犯教育といえるのです。
先日、スクールユニホームの総合メーカーであるオゴー産業株式会社が主催する「全国地域安全マップコンテスト」の選考会が行われ、子どもの危険回避研究所の横矢真理所長とともに私も審査員として参加してきました。
今回は、「全国地域安全マップコンテスト」の選考会を振り返りながら、お子さんの安全確保に役立てるためのポイントを具体的に紹介します。
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▼ 安全マップをつくるメリットとは?
今回で9回目を迎えた「全国地域安全マップコンテスト」。
実際に通学路や自分の行動範囲を歩いて、写真を撮ったりメモを書いたりして仕上げた作品は、それぞれのお子さんの一生懸命さが伝わってくるものばかり。
マップを通じて、お子さんたちの"発見の喜び"に触れることができるのも、審査員一同の楽しみのひとつです。
安全マップづくりのポイントは、自ら見つけ、考えるところにあります。
いつもの道を「防犯・安全」の視点で見るだけでも、今まで気づかなかったさまざまなことが見えてくるものです。それを紙に書き出すことで、「ここは危ない」「こういうときは気をつけなくては」という感覚がインプットされ、その後の行動にも反映されるのです。
▼ 本当に役立つ「安全マップ」をつくるポイント今回も個性豊かな作品ばかりで、審査する側もとても勉強になりました。
実際に役立てられるマップづくりのポイントをまとめました。
・地図の範囲を広げすぎない
広域な地図はどこに何があるかがわかりにくく、あまり役立ちません。
「家から学校まで」「よく遊びに行く公園」など、範囲を絞ったほうが見やすく、わかりやすい安全マップになります。
・色分けを工夫する
安全マップはひと目で「危険」「安全」がわかることが大事。
写真やメモ書きを同色で縁取るなどして見やすくしましょう。
・書き込む内容を絞る
大事なのは「どこが危ないのか」「なぜ危ないのか」ということ。
発見することは大事ですが、何でもかんでも書き込んでしまうと、安全マップを見返すときに散漫になります。よく考えてから、大事なポイントを選んで書くようにしましょう。
・いろいろな視点で見る
時間帯による車の通行量や昼と夜の人通りの違いを考察したり、地域の方の話を聞いたり、いろいろな視点でいつもの道を見ることが大事です。
・危険を回避する方法まで考える
注意だけではなく、危険回避のための対策まで書かれていると、今後に活かせます。
助けを求められる「安全な場所」を書き込むことも忘れないでくださいね。
「全国地域安全マップコンテスト」の参加作品のなかに、電話ボックスの写真を撮って「お金がなくても110番できる」と書いてくれたお子さんがいました。
大人には当たり前のことかもしれませんが、公衆電話から無料で110番などの緊急通報ができることをお子さんに教えておくことは、防犯の観点で非常に重要なことです。
▼ 舟生が選んだ優秀作品は?
私が選んだのは、通学路にある十字路を大きく取り上げた作品。
車が曲がってくる方向や、危険な理由、危険を回避するための方法などが細かく書かれており、誰が見てもよくわかるなと思いました。
また、交通指導員の方にインタビューもしていたところもポイント。
いろいろな視点から通学路をよく観察しているなと感心しました。
通学路の安全を見守ってくださる地域の方はたくさんいます。
あいさつを交わすだけでも顔見知りが増え、通学路の安全が高まりますから、安全マップづくりを通じてこうしたコミュニケーションを取ることも役に立ちますよ。
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安全マップの具体的なつくり方は、こちらの記事が参考になります。
夏休みの自由研究としてもおすすめ!「安全マップ」をつくろう
また、通学路の危険箇所や見るべきポイントについては、4月の[強化月間特集]が参考になると思いますので、安全マップづくりの前に読み返してみてくださいね。
<子どもの安全 強化月間「通学路の安全編」>
・子どもを狙う不審者の「声かけ」5つのパターン
・通学時間に起きやすい交通事故
・登下校中に「助けを求められる場所」は?
・通学路の重要性と子どもの行動範囲について2016.05.23