ハローキティの『おやこで みにつく あんぜんえほん』がキッズデザイン賞を受賞!
~「キッズデザイン博2009」レポート~
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セコムの舟生です。
2007年から開催されている「キッズデザイン博」が、今年も8月6日(木)~9日(日) 東京・外苑前のTEPIA(機械産業記念館)で開催されました。一昨年、昨年に引き続き、「キッズデザイン博2009」をレポートします。今回も、個性的なアイデアの商品や事業があふれていましたよ!
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会場では、キッズデザインの3つの理念「子供たちの安全・安心に貢献するデザイン」「子供たちの創造性と未来を拓くデザイン」「子供たちを産み育てやすいデザイン」のもと選出された第3回キッズデザイン賞 受賞作品展示会が行われました。今回、セコムが監修した「ハローキティ」の安全絵本『おやこで みにつく あんぜんえほん』シリーズが商品デザイン部門でキッズデザイン賞を受賞しました!
会場では、「楽しく読みながら学ぶことができる」と評価していただいた絵本がパネルとともに展示されました。セコムでは、位置情報提供サービス「ココセコム」が、第1回キッズデザイン賞を受賞して以来、2回目の受賞となります。
セコム(株)、(株)ポプラ社、(株)サンリオの3社がコラボレーションして制作した『おやこで みにつく あんぜんえほん』シリーズは、交通安全や外出時の防犯対策など日常生活のなかで「あぶない!」と思われる場面について、日頃から気をつけることや対処の仕方などについてキティちゃんと一緒に楽しく学べる安全絵本です。
どんな時でも丸い瞳がチャームポイントのキティちゃんですが、この絵本の中では「コワ~イ!」と目をつぶっている表情も...。8月6日には、防災をテーマにした第3巻『おやこで みにつく あんぜんえほん(3) キティちゃんのじしんがきたらどうするの?』も発売されました。みなさんも、ぜひ親子でご覧ください。
■ 「第3回キッズデザイン賞」には過去最多の302件の作品が応募
子供の安全・安心と健やかな成長発達に役立つデザインを顕彰するキッズデザイン大賞を受賞したのは、「蒸気レスIHジャー炊飯器」(三菱電機株式会社)です。炊飯器から出る蒸気によって起こる子供のやけどに対して親が不安を感じていることに着目し、蒸気の出ない炊飯技術を確立。「炊飯器からは蒸気が出るものであるという常識を覆すアプローチ」が評価されました。
蒸気で家具を痛めることがなく、さらに棚にすっぽり収まるデザイン面(これには、引き出したスライド棚に子供が頭をぶつけたりすることを防ぐ効果もあります)、吹きこぼれがないため、大火力の連続加熱によりごはんがおいしく炊ける機能面なども受賞理由に挙げられています。熱い蒸気が外に漏れず安全で、しかも一見炊飯器には見えないスッキリしたデザイン。画期的な作品だなと思いました。
「第3回キッズデザイン賞」についてキッズデザイン協議会の上田俊彦事務局長にお話を伺ったところ、「キッズデザイン賞は今年で第3回となりますが、商品デザイン部門169件、建築空間デザイン部門40件、コミュニケーションデザイン部門83件、リサーチ部門10件、合わせて応募総数は302件と過去最高となりました。また、大企業だけでなく、地方の中小企業、マスコミ、国の研究機関、独立行政法人など新規の企業や団体からの応募も多数寄せられ、キッズデザインに対する問題意識が確実に広がりをみせています」とのことでした。
また、「社会の弱者である子供の目線を持ったデザインは全ての人にとっても優しいデザインであるといえることから、今回リニューアルをしたキッズデザイン協議会のWebサイトでは『1億2700万人のキッズデザイン』をテーマに掲げています」とおっしゃっていました。
■ 私が選んだ注目作品
それではここで、「第3回キッズデザイン賞」 受賞作品の中から、私が注目した作品をご紹介したいと思います b(⌒o⌒)*作品名:パノラマハイフラッシャー/自転車ライトシステム〔株式会社シマノ〕
テールライトとハンドルライトが昼間でも常時点灯し自転車に乗っている子供の存在を車の運転手に知らせます。
また、フロントライトは周囲が薄暗くなると自動的に点灯するので、「うっかり点灯し忘れ」を防げます。電源も前輪の回転で自動的に発電するハブダイナモを利用し、重くならないことも優れた点です。子供の自転車は小さいので車を運転していて見えづらく、ハッとすることがありますね。「うちの子供の自転車にぜひ取り付けたいな」と思い選びました。
*soete+Kizs'〔4B DESIGN WORKS/Style of Japan〕
子供に箸の持ち方を教えるのって、なかなか難しいと思いませんか?
これは子供が正しく箸を持てるように補助してくれる道具です。こういった補助具はごてごてしたデザインのものが多いのですが、この商品はシンプルで、ただ箸を通してセットするだけで簡単!見た目もかわいいですね。
こちらも「うちの子供にも使わせてみたい!」という親目線で選んだ作品です。
*ひょうご環境体験館〔兵庫県農政環境部環境創造局環境政策課/株式会社遠藤秀平建築研究所〕
「温暖化の仕組みや防止に向けた対策」「自然エネルギーを使った実体験」など地球温暖化を始めとする環境問題について、「感じ」「学び」「知る」ことができるように映像や体験・参加型の学習プログラムが用意されている体験館です。
施設はヒノキ小径材で作ったトラス構造で、壁・天井などの内装には兵庫県産のスギが使われているとのこと。中に入ると気持ちよさそうですね。
パネル展示のみでしたが、子供と一緒に楽しく環境問題について学べそうな施設で、理屈抜きに「ぜひ子供と一緒に行ってみたい!」と感じさせるデザインです。
■ ワークショップも大盛況でした!
キッズデザイン賞受賞作品の展示のほかにも、期間中にはさまざまなワークショップが開催され、たくさんのお子さんがイベントに楽しく参加していました。また、「キッズデザインパーク」では、第1回、第2回キッズデザイン賞受賞作品を実際に試せるコーナーも設置。実際に使い心地を確かめていた親子の姿も見られました。ワークショップ内には、「ノボレオン二世/遊びを科学するクライミングウォール」(産業技術総合研究所)があり、子供の運動能力について測定していました。子供たちが「ノボレオン二世」というクライミングウォールでゲームに挑戦すると、センサーによって自動的にデータが集まる仕組みになっていて、集められたデータは産業技術総合研究所が進めている製品安全の研究で活用されるそうです。「大人も参加できますよ!」とのことでしたので、調子に乗って私もノボレオン二世に挑戦してみました!頑張りましたよ。でも、思った以上にハードで、翌日筋肉痛が... (^-^;)
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今回のキッズデザイン博の展示を見て感じたのは、上田事務局長もおっしゃっていましたが、キッズデザインに問題意識を持つ業界や団体が確実に広がってきているということです。今回大賞を取った作品に代表されるように、子供向けの製品や事業だけに留まらず、あらゆるものに子供の目線を取り入れることで、生活に安心が生まれるのだなあという実感を持っています。また、今回の特徴として、素材に木を使用し、天然の木の温もりを大切にした、エコ・環境問題への取組みを意識させる作品が増えたような印象も受けました。
「子供の目線を持ったデザインは、みんなに優しい安全・安心のデザイン」・・・
少子高齢化の進む日本にとって、大切な考え方だと思いませんか?これからキッズデザイン協議会に関わるメンバーとしても、安全のプロとしても、ますます努力を続けていきたいと思います。
2009.08.19