日常に潜む「あやしい」「あぶない」を見落とさない子どもを育てるために
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セコムの舟生です。
先月、文部科学省、国土交通省、警察庁が主体となって行われた、全国の公立小学校の通学路約7万カ所の点検確認。子どもが事故に遭う恐れがあり、安全対策が必要とされる地点が約6万カ所にのぼりました。
道幅が狭い、見通しが悪いなどの理由で、横断歩道や信号の設置といった安全対策が求められているそうで、これほど多くの"潜在的危険"があったことに驚きが隠せません。
今回の点検は通学路に限定していますが、登下校に限らず、子どもたちの日常の行動範囲にはこうした危険がたくさん潜んでいることを、あらためて認識したいものです。
以前、「日没が早まると事故が増える」というお話をしましたが、犯罪についても同じことが言えます。
暗いということは、周りから見えにくくなるということ。子どもを狙う者が物陰に隠れることも容易になりますし、人目にもつきにくくなります。つまり、子どもに近づきやすくなるのです。
9月初旬に起きた広島県広島市での連れ去り事件は記憶に新しいところですが、習い事や塾通いをするお子さんの中には、暗くなってから帰宅するケースもあることでしょう。
この機会に、日常に潜む「あやしい」「あぶない」サインについておさらいしておきましょう。
親子でできる防犯シミュレーションもご紹介しますので、秋の夜長、お子さんとのコミュニケーション感覚でぜひトライしてみてくださいね!
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▼ 「不審者ってどんな人?」をまずは親御さんが正しく理解を「あやしい人」とは具体的にどんな人でしょう。
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最近はいろいろなタイプの犯罪者がいて、見た目だけでは大人でも判断が付かないのではないでしょうか。とくに都市部の場合は、不特定多数の人が行き交っているので、その中から違和感を察知するのは容易ではありません。「不審者」が常にサングラスやマスクをしているわけではありません。キレイなスーツ姿でも、宅配業者や郵便配達員の服装をしていても、本当は何者であるかはだれにもわからないのです。お子さんには、見た目で判断せず、「知らない人」はどんな人でも警戒が必要だと、繰り返し教えましょう。
「知らない人」については、こちらの記事でおさらいしてみてくださいね。
▼ 危険センサーを研ぎ澄ます。こんなときには要注意
見た目では判断できなくても、危険を読み取ることは可能です。
「おかしいな」と感じるべきポイントをいくつか挙げてみましょう。□ なれなれしく話しかけてくる
□ じっとこちらを見ている
□ だんだん近づいてくる
□ ずっとついてくる
□ ちらちらこちらを気にしながら待っている子どもに近づく隙を狙っている場合、「あやしさのサイン」が挙動にあらわれるものです。お子さんが状況から危険性を読み取り、注意深く行動することが大切です。
▼ 「おかしいな」「こわいな」を察知できる子どもを育てる
子どもを狙った連れ去りや性犯罪などの卑劣な犯罪は、「だれでも入れるが、視線が届きにくい場所」で起きています。お子さんの通学路・通塾路など日常の行動範囲にそのような場所はありませんか?公園や集合住宅などの死角、駐車場や駐輪場のほか、人の気配や明かりのとぼしい通り、路地裏、田園地帯や河川敷などなど。このような場所では、明るい時間でも犯罪が起こる可能性があります。
お子さん自身に「ここはあぶないな」「この道は避けたほうがいい」と察知する能力、つまり景色を読み解く能力を、不審者を見分けるのと同様に身に付けさせたいものです。
そのためにチャレンジしていただきたいのが「防犯シミュレーション」です。防犯シミュレーションにはいろいろな方法がありますが、これから日が短くなることを踏まえ、今回は、夜道を親子で散歩しながら危険を読み取る能力を育てる方法をご紹介しましょう。
○ 夜にお子さんの行動範囲を一緒に見まわる
○ 明るい時間との違い、危険な箇所を子どもに指摘させる
○ 明るい道、人通りが多い道や逃げ込める場所を探しながら歩く
○ 物陰に潜んだ場合の見え方、少し離れて歩いた場合の足音の聞こえ方などを親御さんが実践して見せるいろいろなことを肌で感じ取って、危険を察知する能力を高めることができるでしょう。
不審者から話しかけられた場合の防犯シミュレーションについては、こちらで詳しく紹介していますから、あわせてチャレンジしてみてください。
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今回はお子さんが危険を察知する方法をご紹介しましたが、何よりも「子どもをひとりにしない」ことが第一です。ご家庭の都合もあると思いますが、暗くなってから帰宅する場合には、なるべく送り迎えをしてあげたいものです。子どもを狙った犯罪が絶えない不安な時代。親御さんの負担が大きくなってしまうのは、本当に大変なことだと思います。しかしお子さんの安全は何よりも優先すべき事柄です。
お子さんをひとりにしない方法は、決して親の送り迎えひとつではありません。仕事などで難しい場合には、どのようにフォローすればいいか、改めて考えてみてください。
それぞれのご家庭にあった方法がきっとあると思います。2012.10.01