頻発する幼児の転落事故!今すぐ保護者ができる安全対策
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セコムの舟生です。
5月も半ばになり、よく晴れた日には、夏を思わせる気候になってきました。
窓を開けておく時間が長くなってきたのではないでしょうか。
薫風さわやかな季節ですが、ベランダなどから幼児が転落する事故が頻発しています。
2階以上の部屋があるお宅や、小さなお子さんがいるご家庭は、特に注意が必要です。
今回は、ベランダや窓からの子どもの転落事故をテーマに取り上げます。
子どもの転落事故を防ぐために、ご家庭で徹底していただきたい事故防止の対策をまとめます。
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▼ 5月から増える子どもの転落死亡事故
昨年、「子どもを事故から守る!プロジェクト」を推進している消費者庁から、子どもの転落事故に関する統計分析が発表されました。
子どもが窓やベランダから転落する事故では、以下のようなケースが多いことを指摘しています。
<子どもの転落事故の特徴>
・建物から転落した死亡事故は、7月~8月が多く、次いで5月~6月に多く発生
・3~4歳児の転落事故が多い
・2階からの転落でも、入院を要する事例が多い
・窓が開いた部屋で子どもだけで遊んでいて発生する事例が多い
子どもの転落事故は、窓を開けたり、ベランダに出たりする機会が増える初夏から増加します。これからの時期は特に注意が必要です。
また、体が活発に動きはじめる幼児期に発生しやすい事故であることから、家のなかでも、窓を開けたまま子どものそばを離れるのは危険であることがわかります。
幼い子どもは、まだ高所の危険性を認識していません。
また、頭が重いため、下をのぞいただけでも転落事故につながるおそれがあります。
未就学の幼児がいるご家庭は、ご自宅でも転落事故のリスクを考えて安全対策を徹底しましょう。
▼ 「足場になるもの」が幼児の転落事故を招く
今年4月に、3歳の男の子が自宅3階の窓から転落し、死亡する事故がありました。
報道によれば、転落した窓のそばに畳んだ布団が置かれており、男の子は布団に上がって窓をのぞき込み、誤って転落したものと見られています。
国土技術政策総合研究所が公表している「建物事故予防ナレッジベース」でも、子どもの転落事故事例は、転落箇所に「足場になるもの」が置かれていたケースが多くなっています。
「足場になるもの」はさまざまです。
窓辺ではベッドやキャビネットなどの家具、畳んだ布団やクッション、宅配便の段ボールなど。
ベランダでは、エアコンの室外機やプランター、三輪車やおもちゃ、家庭ごみなど。
幼児期は、頭で考えるより体が先に動いてしまうものです。
大人が想像もしない行動を起こすことがあります。
一時的に置いたものでも、大人が目を離したすきに、よじ登ってしまう可能性は否定できません。
子どもの転落事故を防ぐためには、「足場になるもの」を排除することが欠かせません。
ご自宅を見回して、家具などの配置を再チェックしてみてください。
また、窓のそばにものを置きっ放しにしないよう、日ごろから注意しましょう。
▼ 今日から実行!幼い子どもを転落事故から守る安全対策
子どもの転落事故防止のポイントをまとめます。
(1) 子どもをひとりにしない
家のなかに保護者がいても、目を離したわずかなすきに転落事故が起きる可能性があります。
「この部屋で遊んでいるはず」「テレビを見ているはず」と思い込まず、居場所を定期的に確認してください。お子さんがおとなしい時ほど、要注意です。
眠っていても、保護者の気配がないことを敏感に感じて目を覚ますこともあります。
なるべく家のなかでも目が届くところで見守り、そばを離れる時は頻繁に声をかけるなどして様子を確かめましょう。
(2) 転落の危険がある窓は厳重に施錠する
家のなかの窓は常に施錠し、特にベランダに出る窓は補助錠を付けるなどして、子どもが開けられないようにしましょう。
換気のために開ける窓には、一定以上窓が開かないよう固定する補助錠などを活用するといいと思います。
子どもは日々成長していますので、いつの間にか自分で鍵を開けられるようになっていることもあるでしょう。お子さんの成長に合わせて安全グッズを選ぶことが必要です。
(3) 窓下やベランダに「足場になるもの」を置かない
転落事故の多くは、足場になるものが転落箇所のそばにある状況で起きています。
「これくらいのものは置いても大丈夫だろう」と楽観的に考えるのではなく、「もしかしたらここから落ちるかもしれない」と、前もって危険の芽を取り除いておくことが何より大切です。
おもちゃ箱や踏み台、段ボール箱など、簡単に移動できるものも要注意。
普段から登って遊んでいるものがあれば、使用していない時は子どもの手が届かない場所に置くようにしてください。
(4) 転落事故が起きそうな場所を遊び場にさせない
普段からベランダで遊んだり、出窓に上ることを許したりしていると、高所に抵抗がなくなり、自分の身を守るために欠かせない「怖い」「危ない」という感覚を鈍らせてしまいます。
小さいうちは、保護者同伴でもベランダに出さない、転落のおそれがある窓際には近づけさせないようにするなど、ご自宅の環境にあわせて対策を検討しましょう。
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お子さんが転落のおそれがある場所に近づいたり、興味をもったりしていたら、危険だということを厳しく伝えてください。
小さな子どもは転んでケガをしたり、ぶつけて痛い思いをしたりしながら成長していくものですが、命の危険に直結する事故は、絶対にあってはなりません。
幼児の転落事故は、保護者の意識と安全対策の徹底で防ぐことができます。
「まさか」を考えて、事前にできる限りの対策をしておくことが肝心です。
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<お知らせ>
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