「地域安全マップコンテスト」受賞作に学ぶ!子どもの安全力アップのコツ
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セコムの舟生です。
子どもの行動範囲は、成長とともに広がります。
入学、進級直後のこの時期は、特に子どもの交友関係や出かける先などの変化に注意が必要です。
子ども自身にも、防犯や事故防止などの安全意識を持つ大切さを自覚させましょう。
今回は、子どもの行動範囲における防犯・安全に役立つ「地域安全マップ」のつくり方を紹介します。
先日、審査会がおこなわれた「第14回 全国地域安全マップコンテスト」の受賞作品を参考に、子どもの安全力アップに活かすポイントをまとめます。
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▼「地域安全マップ」とは?子どもの危険回避力を育む体験型学習
「地域安全マップ」とは、子どもの通学路や行動範囲を実際に歩き、危険なポイントや注意が必要な場所などをチェックしながらつくるオリジナル地図のことです。
危険と安全を見極める視点を持って街を歩くことで、普段は見えなかったものが見えてきます。
それを地図に書き込み、「ここではどんなことに気を付ければいいか」「どうしたら安全性を高められるか」といった対策にまで落とし込みましょう。
「地域安全マップ」づくりは、小学校や中学校の授業で取り入れられることも増えており、実際につくったことがあるお子さんもいるかもしれません。
しかし、「地域安全マップ」は一度つくればそれで終わりではありません。
街の環境は常に変化しており、時間帯や季節によっても、危険なポイントは変わります。
進級したこの機会にマップを更新したり、行動範囲の広がりにあわせて地図のエリアを加えたりして、見直していくことをおすすめします。
はじめてのお子さんも、ぜひこれから説明する「地域安全マップ」のつくり方を参考に、チャレンジしてみてください!
▼「地域安全マップ」を親子でつくってみよう
「地域安全マップ」のつくり方をご紹介します。
(1)事前準備 「危険な場所」と「安全な場所」を理解する
まずは「地域安全マップ」の対象とするエリアを決めます。
通学路、自宅から駅までの道のり、よく遊びに行く公園など、範囲を自由に決めてください。
範囲を決めたら実際に歩いてみましょう。
事前に「危険」「安全」の基準を決めておくとマップに書き込む時に整理しやすくなりますよ。
【「危険」「安全」を見分けるポイント】
● ココが危険!
・ 人通りが少ない道、見通しが悪い道路や交差点
・ 人の目が届きにくい駐車場や駐輪場
・ 昼と夜で雰囲気が一変する場所(繁華街など)
・ ゴミや落書きが放置されている、放置自転車があるなど、管理が行き届いていない場所
・ 高い塀や建物に囲まれた場所
・ 樹木が多く、外から見渡せない公園
など
● ココは安全!
・ 交番や「こども110番の家」
・ 大人が常にいる公共の施設
・ 夜でも明るく、助けてくれる大人がいるお店(コンビニ、ファミレスなど)
など
(2)フィールドワーク 実際に歩いてみる
「危険」「安全」な場所がイメージできたら、歩く範囲の地図を持ってフィールドワークに出かけましょう。
実際に歩いて発見した危険ポイント、安全ポイントを地図に書き込んでいきます。
写真を撮ったり、気が付いたことをメモしたりしておくと、マップづくりの時に役立ちますよ。
ご近所の方や周辺のお店の方に話を聞いてみるのもいいと思います。
フィールドワーク中、保護者の方はあまり口出しをせず、子ども自身に発見させることが大切。
お子さんが写真を撮ったり、人に話を聞いたりする際は、トラブルにならないようサポートしてあげてください。
(3)「地域安全マップ」をつくる
家に帰ったら、いよいよ「地域安全マップ」づくりに取りかかります。
大判の画用紙に手書きで地図を描き、フィールドワークで集めた情報を書き込んでいきます。
地図は厳密に描かなくても大丈夫。
あまり地図に凝りすぎると、そちらに力を使い果たしてしまうので、適宜簡略化しましょう。
手作りの地図に、自らが発見した危険・安全のポイントや、気が付いたこと・考えたことをコメントとして書き込んでいきます。
付せんを活用したり、カラフルなペンで囲んだりして、見やすさにも工夫を。
撮影した写真を地図に貼ると、より分かりやすくなります。
▼「全国地域安全マップコンテスト」受賞作品に学ぶ安全力アップのコツ
14回目となる今回は、コロナ禍の影響で例年より応募作品が少なめでしたが、それでも力作がたくさん寄せられ、私を含む審査員一同は例年と変わらず悩みに悩みました。
第14回全国地域安全マップコンテスト(オゴー産業株式会社)
「セコム賞」として私が選んだ作品は、6年生がグループで取り組んでくれた大作。
レイアウトが見やすく、地図もイラストもコメントの字も丁寧で、子どもたちの真剣さが伝わってくるようでした。危険・安全のポイント、インタビューもしっかりまとめてあり、きれいに色分けされていたので、誰が見てもわかりやすいところが素晴らしかったです。
審査会では、「セコム賞」のほか、子どもの危険回避研究所の横矢真理所長が選んだ「危険回避賞」、コンテストを主宰するオゴー産業さんが選んだ「オゴー賞」、「努力賞」などが選考されました。
それぞれの受賞作品から、子どもの安全力を高めるポイントをまとめます。
【安全力を高めるためのポイント】
●興味を持って「地域安全マップ」に取り組む
興味を持って、楽しみながらつくられた作品は、ひと目でそれが伝わってきます。
「地域安全マップ」づくりは、自分の住んでいる街をあらためて知り、考えるきっかけになるはずです。
子どもの「学び」がより深まるよう、保護者の方が興味を喚起するような声かけをしてあげるといいと思います。
●いろいろな視点で見る
昼と夜の違いをまとめたものや、道を通った人の数をチェックしたもの、地域の方にインタビューしたものなど、「いろいろな視点」で観察された作品が高い評価を得ました。
いつも通っている道を、いつもと違う視点で見ることで、新たな発見につながります。
「こういうことにも注意しなくては!」と気が付くことができたら、安全力もアップしたということです。
●書き込む情報を絞る
「地域安全マップ」には、何でもかんでも書き込めばいいわけではありません。
情報をきちんと整理して、簡潔で伝わりやすい言葉でまとめる工夫が必要です。
よく考えて大事なポイントを選んで書き込むと、すっきりして見やすいマップになるのはもちろん、子どもの理解度や安全力アップにも役立つはずです。
●「見せ方」を工夫する
「危険」と「安全」を色分けしたり、特に大事なポイントを目立つように工夫したりすることも大事です。
どうしたら見やすくなるか、どんなふうにまとめるかを考える作業は、頭の整理や子どもの安全力アップに役立っています。「地域安全マップ」のクオリティも高まります。
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「地域安全マップ」は、つくり手である子ども自身のためのものですが、あとで人に見せる・説明するという意識をもって取り組むと、さらに理解が深まります。
インプットした情報をアウトプットする作業は、記憶の定着にも役立つのは、よく知られた話です。
「地域安全マップ」をつくったら、ぜひそれを見ながらお子さんに説明してもらってください。
子どもの安全力アップに、親子のコミュニケーションに、「地域安全マップ」を活用してみてくださいね!
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<お知らせ>
「第15回 キッズデザイン賞」募集開始!
2021年5月14日(金)まで「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン」「子どもを産み育てやすいデザイン」を顕彰する「キッズデザイン賞」の募集が今年もスタートしました!
デザインといっても、「意匠」だけではありません。
子どもや子どもの生み育てに配慮したすべての製品、空間、サービス、活動、研究が評価の対象です。「制度」や「取り組み」など広義のデザインのほか、子ども向けのものはもちろん、子ども目線を取り入れて開発されたものであれば、一般・大人向けのものであってもご応募いただけます。
たくさんのご応募をお待ちしています!
第15回キッズデザイン賞の詳細はこちらをご覧ください。2021.04.15