進級を機に見直しを!小学生のためのスマホの安全対策
-
セコムの舟生です。
入学、進級おめでとうございます。
子どもたちの安全・安心を願って、今年度も心を込めてこの「子どもの安全ブログ」を発信していきます。
さて、進級のタイミングでよくある質問として、子どものスマートフォン利用に関する問題があります。
「子どもがスマートフォンを欲しがっているのですが、持たせても大丈夫でしょうか?」
「子どものスマートフォンの使用に不安があるけれど、どうしたらいいか分からない...」
いまや小学生でもスマートフォンを持つことは珍しくありません。
ただし、子どものスマートフォン利用にはさまざまなリスクがあり、使い方によってはトラブルに巻き込まれる可能性が高いのも事実です。
そこで今回は、小学生の保護者にぜひ知っていただきたい、スマートフォン利用のリスクと安全対策をまとめます。子どもにスマートフォンを持たせるかどうか検討している方も、ぜひ参考にしてください。
* * * * * * * * *
▼ 子どもはなぜスマホを欲しがるの?スマホで何をしているの?
スマートフォンを持つ小学生は、年々増加傾向にあります。
毎年、内閣府が行っている「令和2年度青少年のインターネット利用環境実態調査(速報)」によると、小学生のスマートフォン専用率は41.0%。
親と共用している小学生は50.9%で、実に9割以上の小学生がスマートフォンをすぐに使える環境にあります。
スマートフォンは、インターネット利用のツールとして活用されることが多い機器です。
実際、小学生の約4割は、スマートフォンからインターネットを利用しています。
では、子どもたちはどんな目的でインターネットを利用しているのでしょうか。
小学生ではゲーム(82.5%)、動画視聴(78.3%)が上位を占めており、コミュニケーションは41.6%、勉強等は40.3%でした。
また、小学生の半数以上(55.1%)は1日2時間以上インターネットを利用しており、趣味や娯楽を目的とした利用時間がもっとも長くなっています。
スマートフォンは、親の目が届かない場所でも利用でき、時間を問わずインターネット利用や外部とのコミュニケーションが可能なツールです。
子どもがいつ、どんな目的で、スマートフォンを使うのか。
保護者が意識して把握につとめなくては、子どもはスマートフォンを通じて"保護者の知らない世界"とつながることになります。
▼ 小学生が気を付けたいスマホのリスクとは?
スマートフォンは何でもできる高機能なモバイル端末であることは、保護者の方々がよくご存じだと思います。「何でもできる」ということは、便利なだけではなく、リスクも伴うということ。
小学生の場合、知識や経験が不十分で、「これ以上はやめておこう」という自制心や危険センサーが働きにくいところに問題があります。
スマートフォンを通じて、子どもが巻き込まれやすいトラブルをまとめました。
・スマホ依存
ネットゲームや動画視聴がやめられない、SNSでのメッセージのやりとりから抜けられないなど、スマートフォンが手放せない状態です。
睡眠不足で健康や学業に支障をきたしたり、家族と過ごす大切な時間を失ったりと、スマホ依存が子どもたちの生活に深刻な問題を引き起こしていると言えます。
・「調べる」「考える」力の低下
手元にスマートフォンがあれば、検索ひとつで知りたいことにたどり着くことができます。
便利である一方で、考える前にスマートフォンに頼ってしまう、広く浅く知るだけで満足してしまうなど、思考力や記憶力など脳の成長の妨げになる危険性も指摘されています。
・高額請求
スマートフォンのオンラインゲームや不審なアプリのダウンロードなどが原因で、子どもが高額請求トラブルに巻き込まれるケースも多数報告されています。
保護者の方のクレジットカードや暗証番号の管理の甘さが、原因になっていることもあります。
・SNSでのコミュニケーションによる被害
SNSは、友達同士やクラブ活動などの連絡手段としても、子どもたちの間に浸透していますが、いじめや誹謗(ひぼう)中傷などの問題も起きています。
保護者や教師など大人の目が届かない閉鎖的なコミュニティなので、事態が深刻化してしまうケースもあります。
・個人情報流出
安易に知らないサイトに登録したり、SNSのプロフィールなどで個人的な情報を書き込んだりして流出するケースが見られます。
また、写真や動画を投稿したところ、知らない間にインターネット上に出回ったり、自宅の住所が他人に知られてしまったりするトラブルも起きています。
・悪意のある大人との接触
SNSなどを通じて知らない大人と交流し、だまされて自撮り写真を送らされる児童ポルノ被害が増えています。
SNSをきっかけとする小学生の誘拐事件や性犯罪被害もたびたび報じられています。
また、動画投稿型のSNSで子どもが狙われるケースが報告されており、使い方しだいで悪意ある大人との接触の場になる可能性があります。
▼ 子どものスマホトラブルを防ぐのは保護者の責任
スマートフォンのトラブルについては、注意喚起を行っている学校もあり、子どもに全く知識がないわけではありません。
それでも紹介したようなトラブルが後をたたないのは、「危険を感じ取る力」や「自分をコントロールする力」が未熟だからだと言えるでしょう。
スマートフォンは、成長の途中にある子どもに使用のすべてを任せられるほど、気軽なツールではありません。巻き込まれる可能性のあるトラブルは、子どもには対処しきれない深刻なものばかりです。
スマートフォンを利用する時のルールをきちんと決め、保護者の方が管理・監督することが欠かせません。
小学生のスマートフォン利用について、安全対策をまとめます。
■利用場所、利用時間のルールを決め、徹底させる
時間ができたら何となくダラダラと見るような使い方は、今後にも影響します。時間になったら切り上げるなど、自律的な使い方を身につけさせるためにも、スマートフォンを使っていい時間や場所はもちろん、使っていない時の置き場もきちんとルールとして決めておきましょう。
スマートフォンの利用時間管理機能なども活用しながら、「〇時を過ぎたら、リビングに置く」「自室には持ち込まない」など具体的にルール化してください。
■コミュニケーションを取る相手や利用アプリは保護者と相談
家族以外とSNSなどでコミュニケーションを取るのは、リスクを伴うことです。
小学生のうちは、送る相手やメッセージの内容まで、保護者に確認を取ってからにするよう、約束させましょう。
お子さんのプライバシーに立ち入ることを懸念する保護者の方もいると思いますが、未熟な子どもの自主性に任せるのは危険。いまは保護者の監視下で適切な使い方を学ぶ時期です。
■フィルタリングを利用する
Wi-Fiやアプリを利用してインターネットに接続する場合、スマートフォンに設定しているフィルタリングが無効になる場合があります。
子どもが利用するアプリについては、事前に閲覧制限や機能制限の方法を調べて設定するなど、保護者によるペアレンタルコントロールを徹底してください。
■ログイン情報や決済情報は保護者が管理する
ログインのパスワードや、登録しているクレジットカードの番号などは、保護者が管理して子どもに教えないようにしましょう。
決済の必要が生じた時は保護者が代わっておこなうようにし、入力情報を端末に残さないようにしましょう。
■サイトの登録やアプリのダウンロードを勝手にさせない
アプリやサイトは、安全なものばかりではありません。
ゲームアプリなどでも、個人情報を集める目的でつくられたもの、課金目的のものなど、悪意あるものもなかにはあります。安全を確認するためにも、「サイトの登録やアプリのダウンロードをおこなう前には必ず相談する」といったルールもつくり、必ず保護者が安全性をリサーチしてください。
* * * * * * * * *
子育てにおいては、手出し口出しをせず、子どもの自主性に任せることも大切ですが、スマートフォンをはじめとするインターネット端末については、その限りではありません。
子どもが自律的な使い方ができるようになるまで、保護者が厳しく管理して守ることが大切です。
定期的に子どもと話し合って、成長に合わせてルールをバージョンアップしていってくださいね。
* * * * * * * * *
<お知らせ>
「第15回 キッズデザイン賞」募集開始!
2021年5月14日(金)まで「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン」「子どもを産み育てやすいデザイン」を顕彰する「キッズデザイン賞」の募集が今年もスタートしました!
デザインといっても、「意匠」だけではありません。
子どもや子どもの生み育てに配慮したすべての製品、空間、サービス、活動、研究が評価の対象です。「制度」や「取り組み」など広義のデザインのほか、子ども向けのものはもちろん、子ども目線を取り入れて開発されたものであれば、一般・大人向けのものであってもご応募いただけます。
たくさんのご応募をお待ちしています!
第15回キッズデザイン賞の詳細はこちらをご覧ください。2021.04.08