子どもはスマートフォンとどう付き合うべき?
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セコムの舟生です。
今の時代、「スマートフォンがある生活」が大人はもちろんのこと、子どもにとっても当たり前のものになりつつあります。
家族や友達とコミュニケーションを取ったり、ゲームや動画を楽しんだり、わからないことを調べたり。スマートフォンさえあれば、何でもできると言っていいほど、スマートフォンは多機能で便利なツールです。
一方で、「子どもに使わせて大丈夫なのだろうか」という不安も否定できないというのが保護者の正直な気持ちではないでしょうか。
スマートフォンは、私たち大人が子どものときにはなかったものです。
どのような影響があるのか想像に体験がともなっていません。
子どもは、スマートフォンとどのように付き合うべきなのか。
子どもとスマートフォンに関する調査結果も参考にしながら、メリットやデメリット、安全で適切な距離感をつくるために家庭で何ができるのかなど、知っておくべき、考えておくべきポイントをまとめました。
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▼ 調査から見える小学生のスマートフォン事情
今年5月、東京都から「家庭における青少年の携帯電話・スマートフォン等の利用等に関する調査結果」が発表されました。
調査対象は、東京都内在住で小学生・中学生・高校生の子どもに、携帯電話やスマートフォン、携帯ゲーム機など、何らかの端末を持たせている保護者。小学校低学年の保護者を対象とした調査は初めてです。
調査の結果、小学校低学年(1~3年生)では37.2%、高学年(4~6年生)で38.6%がスマートフォンを利用していることがわかりました。
スマートフォンを持たせ始めた時期は、「小学生、小学校入学前」が4割以上を占め、前年度調査よりも約12ポイント上昇。スマートフォン所有の低年齢化がうかがえます。
携帯電話やスマートフォンを利用して「子どもに何らかの影響があった」と回答したのは、小学校低学年では30.2%、高学年では25.6%。
「親子の会話が増えた」「有効に利用して成績が上がった」と回答した人がいる一方で、「夜遅くまで使用して睡眠不足になった」「成績が下がった」「視力低下や肩こり・頭痛など不調を訴える」など、健康面や学習面などに及ぼす悪影響にも回答が集まりました。
トラブルの有無については、「SNS・コミュニケーションアプリが原因で友達等とトラブルになった」「メールが原因で友達等とトラブルになった」など、コミュニケーションに関することが多く、「メールで誹謗中傷、チェーンメールなどが届いた」「身に覚えのない料金請求のメールが届いた」が次いで多くなっています。
調査により、小学校高学年よりも低学年のほうがトラブルを経験した子どもが多いことがわかりました。
言葉の未熟さ、知識不足など、インターネット端末を使いこなすために必要なスキルが不十分であることのあらわれと言えるかもしれません。
▼ どうすればトラブルから子どもを守ることができるのか
調査では、トラブルが発覚したきっかけについても質問しています。
最も多いのは、「子供の様子がおかしいため質問した等、コミュニケーションをとる上で発見した」で、小学校低学年では53.1%、高学年では42.9%を占めています。
「子どもから相談があった」は、小学校低学年では42.0%、高学年では31.0%。
保護者が気づき、子どもから聞き出すことでトラブルが判明するケースが多いということ。
子どもが自発的に相談しにくい状況になっているのかもしれません。
何か困ったことが起きたら、まずは親に相談すること。
このことをよく言い聞かせ、日ごろから話しやすい雰囲気をつくることが肝心です。
▼ 小学生は利用状況を保護者が把握、管理する
近年は、小学校でもスマートフォンやSNSトラブルを授業で取りあげており、子どもの知識もついてきていると思います。
それでも、トラブルがあとを絶たないのはなぜでしょうか。
保護者が子どもの利用を把握できていないことが理由のひとつとして考えられます。
同調査の「利用時間、利用金額、利用サイト等を把握し、監督することができているか」という質問で「利用状況の把握および監督ができている」と回答したのは、小学校低学年では69.2%、高学年では59.4%と学年が上がるほど割合が低くなっています。
一方「利用状況は把握しているが、監督まではできていない」と回答したのは、小学校低学年では24.0%、高学年では30.8%で、年齢が上がるほど高くなります。
ルールをしっかりと決め、利用実態を親が把握することが大事です。
スマートフォンのトラブル回避対策を挙げてみましょう。
(1)コミュニケーションを取る相手や利用アプリは保護者と相談しながら
家族以外とメールやSNSでコミュニケーションを取るのは、リスクをともなうことだと理解させなくてはいけません。
小学生のうちは、送る相手やメッセージの内容まで、保護者に確認を取ってからにしたほうが安心です。
「親が子どものSNSを見ていいのだろうか」とお子さんのプライバシーを心配する方もいると思いますが、リテラシーが未熟な子どもの自主性に任せるのは危険。保護者の監視下で適切な使い方を学ぶ時期は必要だと思います。
(2)フィルタリングを利用する
有害サイトへのアクセスを制限するフィルタリングですが、Wi-Fiやアプリを利用してインターネットに接続する場合は、フィルタリングが無効になる場合があります。
携帯電話会社の提供する機能制限アプリを活用するなど、保護者によるペアレンタルコントロールが不可欠です。
(3)暗証番号は保護者が管理する
登録しているクレジットカードなどの暗証番号は、お子さんには教えないことが鉄則。
決済の必要が生じたときは、保護者が代わっておこなうようにしましょう。
(4)安易にサイト登録やアプリのダウンロードをさせない
アプリやサイトは、安全なものばかりではありません。
悪意を持って提供されるもの、個人情報を集める目的でつくられたもの、課金目的のものもあります。安全を確認するためにも、「サイトの登録やアプリのダウンロードを行う前には必ず相談する」といったルールもつくっておきましょう。
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子どもに安全にスマートフォンを使わせるためには、保護者の管理・協力が不可欠です。
「親に見せられない」「教えられない」ような使い方は、トラブルの元。
必要に応じて利用状況をオープンにすることを、約束させてください。
ルールを押し付けたり、厳しく制限したりする方法ではお子さんも反発するでしょう。
親子で一緒に考える、話し合って決めていくというスタンスで接することが大事だと思います。
お子さんが納得し「自分で決めた」と思えることが、ルールを守る意識につながるはずです。2019.06.20