統計資料でみる、子供の犯罪被害の現状
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セコムの舟生です。
先日、兵庫県で小学生の女児が自宅前で刺されるという痛ましい事件がありました。子供が被害者となる事件は、田舎や都会などに関係なく、全国で発生しているのが現状です。
子を持つ親であれば、このような事件を他人事として見ることはできません。私も2児の父親として、恐ろしさと憤りで身を引き裂かれる思いです。
こうした被害を広げないためにも、子供被害の現状をあらためて把握しなおし、社会全体で被害防止に取り組む必要があります。そこで、警察庁がまとめた統計資料をもとに、子供が被害者となる犯罪の現状について、おさらいしたいと思います。
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■ 子供が被害者になる犯罪は増えているの? 「子供が被害に遭う犯罪が増えている」そういうイメージを持っている保護者の方は多いかもしれません。しかし実際には、少年が被害者となった刑法犯の認知件数は2001年をピークに、どの年齢層でも減少傾向にあります。 しかし、凶悪犯罪の総数が減少するなかで、殺人によって命を落とす子供の数だけはほぼ横ばいの状態で推移しています。昨年も子供が犠牲になる事件がいくつもありました。「もし自分の子供だったら...」そう考えると、犯罪の総数は減ったとしても、まだまだ安心できる社会とはいえませんね。冒頭で触れた事件もそうですが、このような不幸な事件が起こるたび、「なんとかしなければ!」と思います。罪のない子供が命を落とすことのない社会を目指したいものです。
■ 子供が被害者になる割合の高い、略取・誘拐と性犯罪
子供はどういった犯罪に遭いやすいのでしょうか? 警察庁発表による『平成19年上半期の犯罪情勢』によると、2006年、子供の被害件数が最も多かったのは窃盗で、1年間に約26万件の窃盗事件が発生していました。ただし、以前ご紹介した、ハインリッヒの法則からすると、この数は氷山の一角なのかもしれません。今まで何度もブログでお話したことですが、〈我が家のルール〉を決めておくことは、子育てをしていくうえで大変重要なことです。例えば、不必要なお金は持ち歩かない、お財布やカギは見えないように持つ、繁華街などの危険な人と遭遇する可能性がある場所には近づかないなど、これを機会に < 我が家のルール > を再確認してください。
子供が被害者となる割合の高い犯罪の種類について見ると、略取・誘拐が最も多く年間で約150件発生していて、全略取・誘拐被害件数(約200件)の70%以上を占めています。また未就学児と小学生に限定してみると、男の子が略取・誘拐の被害になるケースも多いので、「男の子だから大丈夫」という油断は禁物です。
そのほかにも、強制わいせつ(54.5%)や強姦(41.5%)などが多く、全刑法犯被害件数に占める子供の割合(18.5%)と比べて高い割合を示しています。
■ 略取・誘拐事件の検挙率はどのくらいなのか
これは以前もお話ししたように、1997年までは、ほぼ100%という非常に高い検挙率を誇っていましたが、それ以降、徐々に検挙率が下がり、2004年には約72%まで検挙率が落ち込みました。これは以前もお話ししたように、誘拐の目的が身代金の要求から、子供への猥褻行為や社会への不満のはけ口としてなど、多様化・異質化してきたことが大きな理由の一つと考えられます。しかし、2006年にはまた90%を超えました。これは、一人ひとりの意識の向上や地域活動の活発化の効果が現れているものと考えられます。この傾向が続いていくように、我々一人ひとりが高い意識をもち、活動を継続していくことが大切です。
■ 軽くて連れ去りやすい小学生は、誘拐しやすい!?
年齢によっても犯罪被害の状況に違いが出てきます。2006年における罪種別の被害割合を見てみると、殺人の被害では少年全体の約半数を未就学児が占めており、誘拐・略取では小学生の割合が約40%と最も高く、性犯罪では高校生の被害が多く見られます。「誘拐されたら大変だから」といって、お子さんのことを四六時中見守ってあげるということは現実的に不可能です。やはり、子供自身の臨機応変な対応力を育てることが大切です。
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今回は子供の犯罪被害の現状について、統計資料をもとにお話しましたが、数字に置き換えてみると、現実に起こっていることを冷静に見つめ直すことができますね。正確な現状を知っていただき、子供の防犯対策にぜひ役立てていただきたいと思います。2007.10.26