子どもの水難事故はこんなときに起こる!
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セコムの舟生です。
汗ばむような暑さに、水辺が恋しい季節になりました。
夏休みには海や川などでのレジャーを予定しているご家庭も多いのではないでしょうか。
水とのふれあいは気持ちがよく、楽しいものですが、毎年夏休みシーズンには、子どもが命を落とす事故がたびたび起きています。
子どもの水難事故はどのようなときに起こるのでしょうか。
過去に起きた子どもの水難事故を取り上げながら、事故が起きやすい状況や保護者の方に注意していただきたいポイントをまとめます。
行楽の準備だけではなく、水難事故の防止対策も万全にしましょう。
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▼ 浅瀬の川遊び、磯遊びでも水難事故は起きる
まずは実際に起きた子どもの水難事故を振り返ってみましょう。
<川での水難事故>
・自宅近くにある堤防の道路で遊んでいた3歳男児が誤って川に転落。
約1キロ離れた下流で見つかり死亡が確認された(2018年6月 新潟県)
・河川敷を訪れていた小2男児が行方不明になり、5メートル下流で発見されたが死亡を確認。
家族4人で川遊びをしていた際に事故が発生。誤って川に落ちたとみられる(2017年8月 岐阜県)
・川に夜釣りに来ていた父子が行方不明になり、水深1.5メートルの川底で発見される。
2人の釣り道具が残されていた場所は川沿いの遊歩道で、高さ50センチほどの柵があったが、転落したとみられる(2017年7月 東京都)
・キャンプ場そばの川で5歳男児と8歳女児が流されて救助されたが、助けにいった女性が溺れて死亡。
3家族でキャンプに訪れており、子ども5人だけで川で遊んでいたところ、女児が溺れ、助けようとした男児も溺れた(2017年7月 千葉県)
・小4男児が川に流され、川底で発見されたが死亡を確認。
男児は兄と友人の5人で、水深約30センチの場所で遊んでいたが、誤って深みにはまって溺れたとみられる(2016年7月 奈良県)
<海での水難事故>
・保護者が目を離したすきに海岸で遊んでいた兄弟が海に入って沖に流され、助けに向かった父親も流されて行方不明。親子3人を救助に向かった男性も死亡した。
事故現場は離岸流が発生する場所で過去にも事故が起きており、遊泳禁止区域になっていた(2017年8月 福岡県)
・海水浴に来ていた小6女児が行方不明になり、沖合の海底で発見されたが意識不明の重体。
事故当時は波が高く遊泳禁止になっていた(2017年8月 長崎県)
・海岸で遊んでいた3歳男児が海に転落して死亡。
男児は家族ら十数人と海水浴に来ていて、釣りをしたり、船着き場で遊んだりしていたが、海に転落したと見られる(2017年8月 宮城県)
いずれも、子どもだけで遊んでいるときや、保護者の目が離れたわずかな間に事故が発生しています。
また、遊泳中の事故よりも、浅瀬で水遊びをしているときや水の近くで遊んでいるときに事故が起きたケースが多いようです。
水に入らず、河原や海岸にいるときでも、水難事故のリスクは存在していることがわかります。
海や川など自然の水辺は、穏やかに見えても流れや波があり、水底も平坦ではありません。
浅瀬でも足を取られて流されたり、波にさらわれたりすることがあるため、子どもだけで水に入らないよう、厳しく言い聞かせましょう。
また、水辺では大人が一緒でも目を離せば、いつ事故が起きてもおかしくありません。
子どもは水に早く触りたくてウズウズしているので、大人の注意が耳に入っていないこともあります。
いつもと違う状況でお子さんが興奮しているようなときは要注意。
「こういうときが危ない」と意識して見守るようにしていただきたいと思います。
グループで遊びに来たときなどは「誰かが見ているだろう」という油断から、目が離れがちです。
事前に保護者同士で話し合って、子どもの見守りを交代で確実に行うことが必要です。
<海や川での安全対策>
・子どもが水遊びする場合は、必ず大人がそばに付き添う
・水辺を訪れるときは泳ぐ予定がなくても、必ずライフジャケットを身につけさせる
・掲示板や標識で危険が示された場所では水に入らない
・保護者が先に危険箇所を確認し、安全な場所で子どもを遊ばせる
・いざというときすぐに使える救難用具を用意しておく
▼ 監視員がいるプールでも要注意!
プールは天候や自然環境に左右されず、監視員もいるため、安心して遊ばせられる場所というイメージがあります。
しかし、プールの事故も毎年のように発生しています。
<プールでの水難事故>
・レジャー施設の屋内プールで4歳男児が溺れ、意識不明の重体。
男児は家族らと遊びに来ており、流れるプールに浮かんでいるのを利用客に発見された(2018年5月 奈良県)
・市営プールで泳いでいた小2女児が溺れ、監視員に救助されて無事。
水深は1.5mで女児の身長より高かったが、浮具などは使っていなかった(2017年7月 埼玉県)
水のなかでは、思っている以上に体力を消耗しますので、突然足がつるなど、思いがけない体調変化が起こることがあります。
浮き輪をしていても、泳げる子でも、安全や体調の変化に注意が必要です。
<プールでの安全対策>
・体調が悪いとき、睡眠不足のとき、疲れているときは、プールに入らない
・定期的に自らあがって休憩する。長く遊んでいるときは、休息も十分に取る
・子どもから目を離さない。浮き輪をしていても、浅い場所で遊んでいても、油断しない
・走ったり飛び込んだりしないようよく言い聞かせ、ルールを守って行動させる
▼ 生活圏にある水辺でも事故が起きている
暑い日は水辺で遊びたくなるもの。
公園の噴水や用水路、貯水池など、子どもが水遊びをしたくなるような場所がご家庭の近所にもあるのではないでしょうか。
水辺は滑りやすいので、ちょっと身を乗り出しただけで誤って水に落ちてしまうことがあります。
近づいて水のなかをのぞき込んだり、水に触れようと手を伸ばしたりして転落する事故が、過去には何度も起きています。
また、池に落ちたボールを取ろうとして子どもが転落した事故もありました。
思いがけず水に落ちると、浅瀬でもパニックになって立ち上がることもできないことがあるそうです。幼児の場合、水深十数センチでも命に関わる事故になります。
親水公園や"じゃぶじゃぶ池"など、安全に水遊びができるよう整備された公共の場所もありますね。
小学生になれば子どもだけで遊びに行く場合もあるかもしれませんが、ルールを守るよう教えましょう。
水辺では、はしゃぎすぎたり、無茶な遊び方をしたりしては絶対にしてはいけません。
「浅くても溺れることがある」「溺れると数分で命を落とすこともある」と、お子さんによく言い聞かせてください。
<身近な水辺での安全対策>
・遊びに行くときは必ず保護者の許可をとる
・子どもの行動範囲にある水辺を保護者が把握する
・「子どもだけで遊びに行ってはいけない場所」はルールをつくって明確にする
・水の中にものを落としたときは、自分で取るのではなく、大人を呼ぶ
・保護者がいるときでも、水に近づきすぎないよう近くで見守る
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暑い季節に水と触れ合うことは、お子さんにとって大きな喜びであり、かけがえのない思い出になります。
ただし、水と親しむには、安全のためのルールを守ることが欠かせません。
お子さんにも水の危険をよく理解させ、ライフジャケットの準備や現地の下調べなど、安全対策を万全にしてから遊びに行くようにしてくださいね。2018.07.05