ひとりにならない、させない ~通学・通塾の注意点~
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数カ月前、愛知県名古屋市、広島県広島市で、小学生が連れ去られるという事件が発生しました。
日がかげりはじめると日没はあっという間のこの時期、親としては「暗くなる前に帰ってきなさい」と言わざるを得ませんが、子どもたちは「遊び足りない!」と感じているかもしれませんね。塾や習い事に通っていると、明るいうちに帰ってこられないことも多いので、保護者の皆さんはさぞご心配なのではないでしょうか。日照時間が短くなるこれからの季節に備え、通学や通塾の注意点をお話ししたいと思います。
▼ 狙われやすい下校時間~通塾時間
平成19年の「警察白書」によると、小学生に対する声かけ事案は、午後2時~6時頃までの時間に多く発生しています。まさに下校以降の時間が狙われているのです。声かけ事案とは、子どもに対して「道案内してほしい」とか「ゲームをしよう」などと言葉巧みに接近してくるもので、略取・誘拐や性犯罪などの重大な犯罪の前兆となるものもあり、決して見逃すことはできません。
学校帰りに声をかけられたケースは約36%。遊んでいる最中や遊びの行き帰りは約37%、塾の行き帰りは約7%と、実に8割が下校後に狙われていることがわかります。
暗くなるのが早く、人目につきにくい時間帯が増えるこれからの季節。下校してから最終的に帰宅するまでの子どもの安全について、あらためて思いを巡らせたいものです。
▼ 子どもが被害に遭うときの特徴は?
子どもが被害者となることが多い、略取・誘拐や性犯罪、暴行や恐喝などの犯罪。被害に遭う状況には特徴があります。□ ひとりでいるとき
複数でいると不審者も声をかけにくいものです。一緒にいた子どもが周囲に危険を知らせることもできます。たとえ短い距離、時間でも、なるべくひとりにならない工夫が必要です。□ 巧みな誘い言葉を信じてしまう
声かけ事案が多く発生しているので警戒するお子さんも多いと思いますが、なかには信じてしまうような誘い言葉もあります。「知らない人」の誘いには決して耳を貸さないよう、徹底させましょう。
下校のときも遊んでいるときも、なるべく友達と行動をともにし、暗くなる前に一緒に帰ること。
もしひとりになってしまったら、人がいない場所や道には近づかないこと。家の人に連絡して迎えに来てもらうことなどを、「わが家のルール」として子どもに守らせるようにしてください。
▼ 夜道を歩くときに注意すること
塾や習い事で帰宅が遅くなるときは、保護者ができるだけ送り迎えするようにしたいのですが、ご家庭の事情によっては難しいこともあるかもしれません。お子さんの夜道の安全を考えてみましょう。(1) 明るい道や人通りの多い道を選ぶ
少し遠回りになったとしても、できるだけガードレールがあって歩道と車道がはっきりと区別されている、明るくて人通りの多い道を歩かせるようにします。また、「こども110番の家」やコンビニなど、いざというとき助けを求められる場所を再確認しておきましょう。(2) 防犯ブザーを持ち、すぐに使える状態にしておく
「防犯ブザー」を所持していても、いざというときに使えなかったら意味がありません。ひとりで歩くときはとりわけ注意を払い、手に持っていつでも使える状態にしておくといいでしょう。また、故障や電池切れがないように、日常的に点検してください。(3) 周囲の様子や物音に注意する
常に周囲に警戒するようにしましょう。後ろから近づく足音や自動車の接近を察知できないことがあるので、特に夜道では油断せず周りに注意を払いながらキビキビと早歩きすることが大切です。
駅やバス停まで迎えに行くときは、お子さんをなるべく待たせないようにしたいものです。万が一、お子さんに待つ時間ができてしまったときの「安全な待機場所」についても、きちんと決めておくと安心です。* * * * * * * * *
日が落ちると、街の様子は一変します。昼間は賑やかな通りだったのに、夜は街灯が少なく人通りもまばら、ということも珍しくありません。よく知っている日常の行動範囲でも、暗くなってからお子さんと一緒に歩いてみて、"夜の状態"をきちんと把握するようにしてください。危険箇所を理解するだけでも、お子さんの行動が変わるはずです。
もっとも危ないのは、「これくらい大丈夫」「まさか自分の周りでは起きないだろう」という認識の甘さ。これまで起きた事件を他人事にしてはいけません。子ども自身が、そして親御さんが、「怖いこと」に対して意識を持つことが防犯対策の第一歩です。
2012.11.12