増え続ける子どもの「盗撮」「自画撮り」被害。対策は?
-
セコムの舟生です。
インターネットやスマートフォンは私たちの日常生活に欠かせないものになっていますが、サイバー犯罪の検挙件数も増加の一途をたどっています。
なかでも子どもたちを狙った児童ポルノ事件の増加割合は著しく、新たな被害者が増え続けているのが現実です。
誰もが被害者になる可能性があり、保護者はリスクと対策を知っておく必要があると思います。
今回は、児童ポルノ事件の手口に多い「盗撮」や「自画撮り」について対策をまとめます。
どのようなときに被害に巻き込まれるのか、どうすれば防ぐことができるのか、考えてみましょう。
* * * * * * * * *
▼ 未就学児も被害者に!年々増え続ける児童ポルノ事件
10月に警察庁から発表された統計によると、今年上半期に摘発された児童ポルノ事件は、昨年同期より281件多い1423件で、過去最多を更新。
被害児童数も21人増え、615人にのぼりました。
被害の中心は中高生ですが、約1/4にあたる150人は小学生以下の低年齢児童です。
小学生以下の被害では「盗撮」が最多で約6割を占めています。
また携帯電話やスマートフォンを所有する小学生が増加するにしたがって、子どもが自らの裸などを撮影した画像を悪用される「自画撮り」の被害も増加傾向です。
本人の知らないところでインターネット上に流出してしまうこともあり、ひとたび出回れば回収はほぼ不可能。
10年以上前に製造されたものが、依然として流通し続けているケースもあるそうです。
将来にわたって被害者の苦しみが続く卑劣な犯罪を、決して許すことはできません。
▼ 無防備な子どもが狙われる?「盗撮」被害を防ぐには
子どもの盗撮被害はいたるところで起きています。
過去のニュースを振り返ると、商業施設やイベント会場、公園や駅など、不特定多数が出入りする場所、入浴施設の脱衣所やプールの更衣室などでも盗撮被害が起きています。
不審者情報などを流す警察の防犯メールを見ると、登下校中の子どもや公園で遊んでいる子どもにいきなりカメラを向け、勝手に写真を撮って立ち去る...という事犯もたびたび見られます。
どのような用途に使われるかわからない以上、見過ごすべきではありません。
必要以上に近づいてくる人物には特に注意するようお子さんに教えましょう。
<子どもが注意すべき「盗撮」対策>
・階段やエレベーターでは、後ろに注意する
・遊びに夢中になりすぎず、ときどき後ろを振り返る
・自分の近くに不審な動きをする人や、近寄ってくる人がいないか注意する
・「狙われるかもしれない」と意識する
・写真を撮らせてほしいと言われても断る
<保護者がすべき「盗撮」対策>
・過度にかわいらしい服装や露出の多い服装はさせない
・スカートのときはスパッツをはかせる
・公共の場では子どもの姿勢や座り方などにも注意を払う
・公園など不特定多数が出入りする場所で無防備に着替えをさせない
・入浴施設や商業施設などでは、不審な動きをする人が周囲にいないか常に注意する
・外出先では子どもの身辺をよく見る
男児の盗撮被害も数多くあります。
盗撮被害は、決して女児に限ったことではないと意識してください。
▼ 言葉巧みに子どもをだます「自画撮り」被害を防ぐには
子どもの「自画撮り」被害では、SNSに起因するものが多くなっています。
言葉巧みに近づいて信用させたあと、だましたり脅したりして画像を送らせるケースが目立ちます。
警察庁が公表している具体事例では、一人の被疑者が100人以上の児童から裸の画像を送信させた事犯も複数紹介されています。悪意を持つ者にとって、子どもは簡単にだませる存在だということのあらわれではないでしょうか。
子どもをだますためにSNSを利用している人がいることを、理解させなくてはいけません。
インターネットの怖さを理解していない子どもは「写真くらいなら...」と安易に考えてしまいがちですが、ひとたび相手の言いなりになれば、児童ポルノ事件の被害者になってしまいます。
自画撮りの被害に合わないためにも、まずはSNSのリスクを知り、どうすれば安全に使えるのかしっかり話し合うことが肝心です。
<子どもが注意する「SNS」対策>
・SNSでどのような犯罪が起きているかトラブル事例などから学ぶ
・無料通話アプリなどSNSに登録したいときは保護者に許可を得る
・利用時間や利用する場所を保護者と話し合う
・SNSでは会ったことがない知らない人とは「友だち」にならない
・SNS内で嫌なことや困ったことが起きたらすぐに保護者に相談する
<保護者がすべき「SNS」対策>
・お子さんにSNSのリスクを具体的に教える
・フィルタリングで必要なSNSだけ使えるように設定するなど利用を制限する
・SNSの初期設定は保護者が行い、「友達の自動追加」など不要な機能はオフにする
・保護者がSNS上で「友達」になり、お子さんの利用状況を見守る
・お子さんと話し合ってSNSを安全に利用するためのルールを決める
・ルールを守れなかったときや不適切な使い方をしたときは退会させる
* * * * * * * * *
児童ポルノ事件の怖いところは、どこにでもいる普通の子どもが被害者になる可能性があることです。
「被害にあわせない」ためには、このような犯罪がある事実と向き合うことが第一歩。
子どもにもきちんと話して聞かせ、自分で自分を守る意識を持たせましょう。2018.11.08