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[特別連載/前編]スマホは子どもの目に悪い?~眼科医に聞く、子どもと「ブルーライト」「VDT症候群」~

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千葉中央メディカルセンター眼科部長、池尻充哉先生にデジタル機器と子どもの目への影響をテーマに話を伺いました。セコムの舟生です。

現代の子どもたちのまわりには、たくさんのデジタル機器があふれています。

とりわけ、携帯ゲーム機やスマートフォンなどは、ごく小さいときから当たり前のように触っている子も少なくありません。また、学校でもパソコン教育やタブレットを使った授業が取り入れられるようになってきました。

一方で心配されているのが、デジタル機器の画面から発せられるという「ブルーライト」の悪影響。また長時間、明るい画面を見て作業することでおきる変調「VDT症候群」も心配ですね。

「目に良くない」「体にも負担がかかる」などと言われていますが、子どもたちは日常的に、無防備にデジタル機器と触れ合っているように見えます。

「子どもたちの目は、大丈夫なのでしょうか?」
今回は、千葉中央メディカルセンターの眼科部長、池尻充哉先生を訪ね、「デジタル機器と子どもの目」というテーマでお話を伺ってきました。

 

* * * * * * * * *


▼ 意外に平気!?疲れを自覚しない子どもの目
自覚しないままに目に負担を蓄積している子どもは多いとのこと舟生:子どもたちのまわりには、スマホやタブレット、携帯ゲーム機がありますね。宿題の合間に休憩と言ってスマホや、携帯ゲーム機で遊ぶ子どもも多いようです。目が休まらない状態が続いていると思うのですが、子どもの目のトラブルは増えているのでしょうか?

池尻先生:子どもの目は非常に柔軟性が強いので、大人のように簡単に目が疲れたりしないんです。スマホや、携帯ゲーム機で目が疲れたという理由で、病院に来るお子さんはあまりいません。

だからといって、大丈夫というわけではありません。
ドライアイで目に傷が付いても、子どもは自覚がないので、親に訴えることをしません。気が付かないうちに、目の負担を蓄積している可能性はあると思いますね。

デジタル機器を長時間使用することで、目や体に悪影響があらわれる「VDT症候群」は、大人にはよく知られていますが、近年は、子どもにもVDT症候群が起こりうるということが言われています。

舟生:「VDT症候群」には、ドライアイや近視などの目の疾患だけでなく、肩こりや頭痛などの全身症状、イライラや不安感などの精神的な症状も含まれていますよね。

池尻先生:過度に使ったり、デジタル機器に頼りすぎたりすることによる影響は、目に限らず、いろいろなことが考えられると思います。

光を発するものを、近い距離で長時間ずっと見続けることは、非常に負担がかかります。近くのものを見るとき、人間の目は、ピントあわせをしています。長時間続ければ、ピントあわせの筋肉がどんどん緊張して、首や肩にも知らずと力が入るわけです。大人は「目が疲れた」と感じますが、子どもは目の柔軟性が高いため、疲れの自覚がありません。携帯ゲーム機や、スマホを含め、明るい画面を見ている時間が長いお子さんは、疲れもたまっているはずですよ。

一方で、パソコンやタブレットを使った学習で、成績がよくなったり、学習効率があがったりする一面もあるので、パソコンやタブレット学習自体が悪いとは思いません。使用の程度を守ることが重要ですね。


▼ パソコンVSスマホ、目に悪いのはどっち?
舟生:画面を至近距離でじっと見ているとき、目や首、肩に力が入っていますね。
画面の大きさによっても疲れ方は違いますか?

池尻先生:スマホとパソコン、負担が大きいのは、スマホです。

まず、姿勢の問題があります。スマホを見るとき、たいていうつむいて首が曲がった状態ですよね。さらに画面が小さいので、ものすごく近い距離で見ています。これは非常に体への負担が大きくて、いろいろな筋肉が緊張を強いられています。ゲーム機も同じですよね。

パソコンの場合は、たいてい首をあげて正面から画面を見ています。日本眼科医学会では、50cm離れた場所でラクに見えるようなディスプレイを推奨していますが、パソコンなら、それくらいの距離を置いて見ているはずです。

画面までの距離は50cm離して、連続使用は50分までというのが理想。定期的に、目を休めるよう子どもに声をかけるといいと思います。

舟生:大人はVDT作業で疲れると休憩したり、体をほぐしたりしますが、子どもは集中力がすごいですよね。ゲームをやっているときなんかは特にスゴイ集中力です。

池尻先生:子どもの場合は、それが問題ですね。自覚がないから、ずっとやり続けてしまう。目線を外して遠くを見て、ピントあわせの筋肉をほぐしてあげるといいでしょう。定期的にそれをすれば、子どもは目の柔軟性があるので回復しますよ。

遠くを見るときは、5mくらい先に目標物を決めて、それを3分くらいじっと見続けるといいと思います。ぼんやり遠くを見るのではなく、目標物をよく見る。緊張していた目がリラックスします。これは、仮性近視の治療法でもあるんです。


▼ ブルーライトはなぜ悪い?
ブルーライトの影響を聞く舟生:明るい画面がよくないことの理由のひとつに、ブルーライトのことが言われていますね。実際のところ、何が悪いのでしょうか?

池尻先生:ブルーライトはもともと太陽の光に含まれているもの、可視光線のなかで一番波長が短い青い光のことです。何が悪いかといえば、この光には少しチラつきがあるんです。チラつく光をすぐ近くでじっと見ようとしているので、目は頻繁にピントあわせをしなくてはなりません。これが目の負担になります。

また太陽光のブルーライトは、人間の覚醒と睡眠のリズムをつかさどっていると言われています。朝、太陽の光を浴びると体が活動を開始し、日が沈むと眠くなる。これが自然なリズムですよね。夜間、ブルーライトを浴びていると、体のリズムが「起きていなくては」と覚醒して、睡眠障害につながる可能性も指摘されています。

画面から発せられるブルーライトは微量なので、影響はないという人もいます。ただ、それが蓄積した場合、どういう悪影響が出るのか、まだ誰も立証できていないというのが現状です。

舟生:夜、布団のなかでスマホを見ている子どもの姿は、決して健全ではないですよね。影響がないとは思えません。

池尻先生:大人の場合、老化にともなって水晶体が濁ってくるので、実はブルーライトをカットしていて、影響が少ないんです。子どもの場合は水晶体も透き通っていますから、ブルーライトも素通しで目のなかに吸収されています。子どものほうがブルーライトの影響が大きいということは、確実に言えると思いますよ。

ただし、ブルーライトカット機能のついたメガネをかけさせればいいということではなく、長時間画面を見続けることをやめ、適度に目を休ませるほうがよっぽど効果的だと思いますね。


▼ 子どもの目の疲れのサインはどう見極める?
舟生:子どもは目の柔軟性が高くて疲れている自覚がないとのことですが、深刻な目のトラブルに発展する前に、親が見極められるサインはありますか?

池尻先生:子どもは目の疲れを訴えることが、ほとんどありませんから、目のあたりが何か重たい、物がぼやけて見える、目が痛いなどといったことを言うようであれば、相当進行していることが考えられます。大人とは違う表現かもしれませんが、目のことを何か言うようなことがあれば、要注意だと思ってください。

子どもがゲームやパソコンに集中しているところを脇で見てみてください。集中していると、子どもはまばたきをしないんです。大人はまばたきを我慢できませんが、子どもは1分以上、まばたきをせずに目を開いていることができます。

人間はまばたきをして、目の潤いを保っているので、子どもがまばたきをしていないようなら、目が乾いていると考えてください。いったんやめさせて、目線を外して遠くを見させるようにするといいでしょう。


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デジタル機器が今より少なかった時代とは、全く違う環境で今の子どもたちは成長しています。
正しい使い方を覚えさせ、少しでも悪い影響を取り除いてあげたいですね。

次回は、「デジタル機器と子どもの目」をテーマに池尻先生から伺った話を参考に子どもとデジタル機器の付きあい方などをまとめます。

ぜひ後編もお楽しみに。

2014.06.16

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