安全のプロのママと話そう!【1】
「子供の送り迎え」どうしてる?(後編)
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セコムの舟生です。
前回に引き続き、NPO法人 子どもの危険回避研究所所長の横矢さんら、ママ達との座談会をレポートします。前回は「子供の送り迎え」の話題を中心に盛り上がりましたが、今回はさらに、「子供の安全を確保しつつ、冒険心なども育てたい」といったテーマにも、話題が広がりました。
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◆男の子は、防犯面で安全なのか? 横矢さん:廣田さんは、自己紹介の時に「男の子だから、あんまり心配ない」と、言っていたけど、過去の事案や事件で、男の子が連れ去られることもありましたよね。舟生:そうです。昨年のデータでいえば、0歳~5歳の誘拐については、男の子の被害のほうが多いんですよ。
横矢さん:過去には、営利目的で男の子が誘拐されることがありましたが、今の傾向はいかがですか?
舟生:最近は、男の子の場合であっても、その子を連れ去ること自体が目的のケースが多いようです。男の子の保護者のなかには、「男の子だから安心」と思っている方がまだ多いようですが、特に小さなうちは、男の子の性犯罪目的の誘拐にも気をつける必要があります。
※参考 ⇒ 男の子でも性犯罪への注意が必要です
◆「子供をのびのび育てたい」VS「子供の防犯」について
横矢さん:子供たちの冒険心を育みたいとの思いから、あまり防犯のことを言いたくない、という保護者の気持ちも一方にありますよね。舟生:そうですね。「安全が大切だから冒険心のほうは我慢しなさい」とか「子供はのびのび育てることが大切だから、防犯対策はしない」という意見を聞くことがありますが、どちらかに決めなければならない問題ではないと思います。「子供の安全を確保しながら冒険心や親切な心などを育む」そういった方法は絶対にあるはずですし、その方法を追求していくことが大切です。
横矢さん:でも、「のびのび育てるために、防犯は考えない」という保護者もいるんです。「子供はケガをさせて育つべきだ」という考え方の人たちには「防犯活動」について偏見をもたれてしまうことがあります。私は、防犯というのは子供のうちだけに限らず、安心に生活するという点では一生涯の話だと思うんです。
舟生:そうですね。ケガの話を例に挙げるなら、スリ傷や切り傷なら、それも大切な経験だと思うのですが、"命に関わるようなケガを子供が負うことは何としても避けなければならない"ということが大事です。軽いケガと重いケガの線引きが大切であって、そこをあまり考えないで「ケガしてもいいから、放って置くんだ」と言っては危険だと思います。
横矢さん:防犯の場合は、被害にあっても心の傷の部分が見えづらいのが難しいところです。ある程度不安に思っていないと、防犯対策をとる気にならない。だからといって、過剰に不安に思われると、親にも子供にも負担になると思うんです。どのくらい不安に思うのが"ちょうどよい"のか。それを模索することが私たちの課題です。
舟生:我々みたいな、防犯の専門家といっている者が「こうしなさい!」といったからって、完璧にできるものではありません。防犯については「こうすれば、絶対大丈夫!」といったものはありません。家庭環境も、性格も、それぞれの子供によって違うので、個々に見極めていくことが大切です。ものすごく難しいことですが、それができるのは、子供のことをよく知っている保護者しかいないんです。
横矢さん:子どもの危険回避研究所の9年前の「研究所設立のあいさつ」のところに、自転車のことを書いていたのですが、それが皆さんから共感をいただいているようです。私の息子も、小学6年生の時に友達同士で一日がかりのツーリングに出かけるという話が持ち上がったんです。私は心配で、思いとどまらせたかったのですが、一緒に行くというお友達のお父さんが、子どもたちに計画書を書かせたり、「もし、急におなかが痛くなったら?」「ケガをした時は、どうする?」と、いろいろなパターンでシミュレーションをしてくださり、それについての対応策を皆で事前によく話し合わせてくれたんです。その時、「ああ、これが適切な危険回避なんだな」と、そのお父さんに心から感謝しました。
舟生:まさに、危険回避ですね。
横矢さん:昔は子供が寄り道したり、秘密基地を作ったりしながら冒険できた時代なのでしょうけれど、今は難しいですよね。かわいそうだと、よく言われます。でも寄り道以外にも冒険心を育むこともできるよって気付いてもらうようにしています。子供の安全と冒険心を、どこで折り合いをつけるか...と考えることが大きな課題だと思っています。私たちの使命は"危険回避を考えながら行動できる力をつける場"を設けていくことなのかな、と思いますね。
舟生:先ほども述べましたが、安全を確保しながら冒険心や親切な心などを育む方法を模索していくのが、我々、"防犯のプロ"の仕事かもしれません。
◆お稽古や塾などの行き帰りについて
横矢さん:お稽古ごとの行き帰りって、意外と親の意識も行き届かなかったりしますよね。登下校時には保護者もパトロールをするなど、子供の防犯に注意を払いますが、学校から帰宅してから、子供が事件に遭うケースも多いんです。舟生:そうですね。当然、時間も遅くなることが多いですし、人数も絞られてしまいますから注意は必要です。やはり安全を考えると、保護者が送り迎えをするのが一番ですが、なかなか難しいご家庭も多いでしょう。ご近所で通っているお子さんがいれば一緒に通わせる、それぞれの子供が別れる地点までは保護者が迎えに行く、など工夫をして"子供をひとりにさせない"ことが大切です。防犯ブザーやココセコムなどの防犯グッズも上手に利用するのも手段のひとつです。
◆子供の防犯は"くりかえし"がポイント
舟生:「知らない人に、名前や住所を教えてはいけません」「たとえ知っている人の車でも、家族の人に確認をしてからでなければ乗ってはダメ」と、子供にきちんと指導していても、その時の状況によっては、約束を守れないことだってあります。その都度、親が気づいたときに、くりかえし指導することが大切です。廣田さん:やはり、いろんなケーススタディをもって、子供に指導することが大切なんですね。
舟生:私も仕事柄、娘によく防犯の話をしています。『おばけのスー』なども一緒に読みながら、「こういった場合は、こうしたらいいね」とか、なるべく具体的に話をするようにしていますが、もし実際に「お母さんが事故に遭っちゃった」「お母さんが病気になっちゃった」とか言われたら、子供もビックリしてパニックになるかもしれないし、約束どおりできるという保証はありません。それでも、何回も子供と話をしていくことで、いざという時に、子供も自分で対処できる力がつくと思っています。
横矢さん:「お母さんが事故に遭った」とか「お母さんが呼んでいるから一緒に行こう」とか、昔から行われている手口なのでもう使わないだろうと思ったりするものですが、今でもよく使われますね。でも、あまり「あれはダメ」「これは注意しなさい」とか言うと、過敏な子供は怖がってしまうのが心配です。それぞれの子供の性格を見極め、指導をしてあげることが重要なポイント。でも、なかなか難しいですね。
舟生:そうですね。そういった細やかな部分は、やはり親でなければできません。ご自分のお子さんの性格やタイプを考えて指導してあげる。ここが大切です。我々ができることは、防犯のバリエーションをできる限り挙げて、その中から自分のお子さんにあったものを選択してもらう、それが今のところ一番の方法かなと思っています。
横矢さん:私たちも同じことを考えていました。選択した後、子どもの性格や環境に合わせて、「我が家流」を作っていくサポートをするのが、私たちの役目かなと思っています。これから一緒にこのあたりを模索していく機会があるといいですね。
舟生:これからも、ぜひ、よろしくお願いいたします。
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子供の防犯だけでなく子供の安全・安心についてエネルギーを注ぐ横矢さんや、現役で子育てをされている子どもの危険回避研究所のみなさんとの座談会は、話題が途絶えることなく、とても有意義な時間となりました。今後も、皆さんとの情報交換を続けていきたいと思います。
お楽しみにb(⌒o⌒)<今回、登場した「セコムの食」のスイーツ>
ピーカンナッツのヒット!なお菓子
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2008.07.25