増加し続ける児童ポルノ犯罪から子どもを守るには?
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セコムの舟生です。
子どもが被害者になる犯罪は、統計上では減少傾向にあります。
しかし、そのなかで近年増加し続けているのが「児童ポルノ犯罪」です。
わいせつ目的で撮影された子どもの画像が第三者の手に渡る経緯はさまざま。
スマートフォンやSNSの普及で、撮影や画像のやり取りが容易になり、知らないうちにインターネット上にわが子の画像が出回っていた...ということもあり得るのです。
卑劣な児童ポルノ犯罪からお子さんを守るには、どうしたらいいのでしょうか。
児童ポルノ犯罪の被害にあいやすい状況と防犯対策について考えてみたいと思います。
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▼ 児童ポルノ被害がまたも最多更新
警察庁が発表した統計によると、2016年の児童ポルノ事件の検挙数は2,097件。
被害にあった子どもは1,313人で、前年よりも約45%増加(408人増)しました。
女子の被害が9割を占めていますが、前年と比較すると男子の被害者の増加割合のほうが多くなっています。
児童ポルノ被害はここ数年増加し続けていますが、昨年は最多を更新しただけではなく、大幅に増加しているのが気がかりです。
なぜ被害にあってしまうのか、保護者の方はもちろん、お子さん自身も知る必要があると思います。
▼ 児童ポルノ被害の実態を知る
児童ポルノがつくられる経緯として多いのは「盗撮」。
子どもが気づかないうちに撮影された画像が悪用されるのです。
また、言葉巧みにだまして、子ども自身に撮影・送信させる「自撮り」も多くなっています。
子どもの安全NEWSで取り上げた児童ポルノ被害の実例から、児童ポルノ犯罪の手口を見てみましょう。
【「盗撮」の手口と対策】
・民家の敷地に侵入して、居室内で着替えをしていた7歳女児をビデオカメラで撮影。
・民家の敷地に侵入して、風呂場の窓の隙間から入浴中の女児をビデオカメラで撮影。
・宿泊施設にある共同浴場で、9~12歳の男児の全裸をスマートフォンで動画撮影。商業施設で小学生女児のスカート内を盗撮した容疑でも逮捕。
・公園のトイレに女装して忍び込み、小3女児をスマホの動画で撮影。容疑者のスマホから盗撮が疑われる動画が複数見つかった。
・大型商業施設の子ども服売り場の試着室で、着替えていた女児をカーテンの隙間からスマートフォンで盗撮。
・スーパーに母親と一緒に買い物に来ていた女児に近づき、スカートの下にスマートフォンを差し入れ撮影。別の女児の画像も見つかった。
・商業施設の試着室で小1女児2名を盗撮。容疑者の自宅のパソコンから、盗撮した女児480人の映像が保管されていた。「抵抗せず、周囲に保護者のいない女児を狙った」と供述。
自宅、入浴施設、商業施設、公園...さまざまな場所で子どもが盗撮被害にあっています。
逮捕時に複数の犯行が発覚するケースも多く、日ごろから子どもを盗撮する機会を狙って犯行を繰り返す者もいることがうかがえます。
盗撮を防ぐには、「自分が狙われるかもしれない」と意識を持つことが大事。
周囲に怪しい動きの人はいないか、ときどき周囲を見回すようにお子さんに教えましょう。
特に背後から狙われやすいので、後ろの気配にも注意を払うことが必要です。
幼いお子さんの場合は、保護者が周囲に目を配って、決してひとりにはしないでください。
保護者が離れた瞬間に狙われるかもしれません。
また服装や動作にも注意が必要です。
Tシャツの下に肌着を着る、スカートの下にスパッツをはくなどして自衛しましょう。
男児も被害にあいます。だらしない服装をさせないようにする必要があります。
また座る姿勢なども日ごろから親が言葉をかけて注意し、子ども自身に自覚を持たせるようにしてください。
また、自宅でも油断しないこと。
お風呂や洗面所の窓はしっかり閉める、着替えるときはカーテンを引くなどしてください。
自宅敷地の見通しを良くしたり、防犯砂利を敷いたりして、侵入を防ぐ防犯対策も検討しましょう。
【「自撮り」の手口と対策】
・スマホの無料通話アプリで知り合った小4の女児に「スタンプをあげる」と持ちかけ、裸の画像を送らせた。
・スマホの無料通話アプリで知り合った小6の女児に対し、スマホで撮影した上半身裸の写真を送信させた。
・出会い系アプリで知り合った小学生の女児に対し、女子中学生になりすまして体の悩みを相談するメールを送信。女児をだまして携帯電話で裸の画像を送らせた。
・無料通話アプリのチャットで小6女児に「顔写真をネット上にばらまく」と脅し、裸の画像を送らせた疑い。女を装って女児に近づき、顔写真を交換していた。
小学生も利用する無料通話アプリやSNSで知り合うケースが多いようです。
子どもが欲しがるものを利用する手段や、だまして画像を送らせ、脅すという卑劣な手段も見られます。
社会経験が少なく未熟な子どもが、スマホなどで自由にインターネットを利用すると、このような被害にあう可能性は否定できません。
インターネットで知り合った相手が、本当に信頼できるのかどうかを子どもが見抜くのは困難です。
はじめは親切で優しく子どもに接触してくる場合が多く、子どもからすれば魅力を感じることもあるのかもしれません。
子どもの携帯電話・スマホ利用にはペアレンタルコントロールが必須。
保護者が適切に利用設定を行い、場合によっては、利用履歴を把握することも必要です。
また、自撮りの被害では相手のペースに巻き込まれて、どんどん被害を大きくしてしまうケースが多く見られます。
困ったときはひとりで解決しようとせず、大人に相談することを約束させてください。
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盗撮の画像も、自画撮りの画像も、いつインターネット上に流出してもおかしくはありません。
インターネット上に一度流出した画像は削除が困難です。
児童ポルノ被害は決して他人事ではなく、身近な犯罪であることを子どもにも理解させ、防犯意識を持たせましょう。
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