[夏休み特集2] 車からの声かけ事案が多発!遊びに行くとき注意すること
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セコムの舟生です。
夏休み中の事故や犯罪から子どもを守る安全対策をお伝えしている「夏休み特集」。
1回目は、子どもと旅行に行く際の注意点をお伝えしました。
2回目の今回は、屋外で遊ぶときに特に注意したい犯罪、「車からの声かけ」がテーマです。
最近のニュースでも、車から子どもに声をかける事案が多く見受けられます。
6月には、千葉県で女子中学生が軽自動車に押し込まれ、手足をテープで縛られ連れ去られそうになった事件が起きました。車から「何年生?」と声をかけられ、立ち止まったところを車に押し込まれるという、強引な手口でした。この事件の場合は、たまたま通りかかった人に助けてもらうことができましたが、無理やり車に引っ張りこまれたり、車で連れ回されたりする事件は全国各地で起きています。
子どもが屋外で遊ぶ時間が増える夏休みを狙って、同様の犯罪が増える可能性もあります。
車から声をかけられた場合の対応策をおさらいしておきましょう。* * * * * * * * *
▼ 連れ去り目的の声かけに多用される「車」
子どもを狙った犯罪で車が用いられるのは珍しいことではありません。
犯行をもくろむ者は、一刻でも早くその場を立ち去りたいと思っています。車が走行している間は、簡単に逃げ出すこともできませんし、ひとたびドアを閉めてしまえば車は密室になります。人目につかない場所なら、外に声も聞こえず、危険を伝えるすべがありません。車は移動が容易で、犯行にも好都合な空間なのです。
車から子どもへの声かけは、どのように行われるのでしょうか。
過去のニュースや発生事案を分類すると、以下のようなパターンにわけられます。<車に乗るよう促す声かけの種類>
(1)「○○駅はどこ?」などと尋ね、道案内を請うパターン
困っている様子を見て、責任感の強いお子さんや優しいお子さんなどは、拒絶しきれないこともあるようです。(2)「○○を買ってあげる」「○○があるよ」などと、物でつるパターン
物でつるというパターンは、いろいろと応用が考えられます。子どもの間で流行していて手に入りにくい物などを「あげる」と言われれば、つい気持ちが傾いてしまうこともありそうです。(3)「お父さんが事故にあった」などと緊急を装うパターン
子どもの不安や驚きを利用した卑怯な手口。有無を言わせない勢いで車に乗るよう促されれば、従ってしまうお子さんもいると思います。
どのような内容の声かけであっても、車の中から子どもに話しかけるのはまず不自然。
「おかしい」「危ない」と瞬時に危険センサーを働かせることが大事です。
▼ 車からの声かけを撃退!犯行から逃れたパターンに学ぶ
車から声をかけられ、危険にさらされながらも、正しい防犯対策で難を逃れたお子さんもいます。○ 1人で登校中の女子児童が無理やり車に閉じ込められ、連れ去られそうになったが、泣き声や防犯ブザー音に気付いた通行人に助けられて無事(2014年6月 千葉県)
○ 下校中の男児が車に乗った男に「乗らない?」と声をかけられたが、「『いかのおすし』があるから行かない」と断り、交番に逃げこみ無事(2014年6月 鹿児島県)
実際に起きた上記の事件は、防犯対策として教えられたことを正しく実行しています。
女児は、「大声を出す」「防犯ブザーを鳴らす」で危険を周囲に知らせ、助かることができました。
男児は、「いかのおすし」を知っていたために、車からの声かけにいち早く危険を察知し、安全な場所に逃げこむことができました。「いかのおすし」は、警視庁が作成した安全のための標語で、多くの学校で1年生になってすぐ教わる防犯の基本ですが、大事なことがわかりやすくまとめられています。夏休み前に、お子さんがきちんと覚えているかどうかを確認してください。暗記するだけではなく、どういうときに行うのかをひとつひとつ具体的に尋ねて、理解を深めましょう。
▼ 強引に車に引き込まれる声かけはどんなとき・場所で起こる?
車からの声かけでもっと恐ろしいのは、強引に車に引っ張りこまれたり、押し込まれたりするパターン。足を止めさせる目的で何かしら声をかけますが、話の内容にあまり意味がなく、むしろ犯行の状況が整っているかどうかを見極めています。力を行使する前提での声かけは、行き当たりばったりではなく、前もって子どもが通る場所や時間帯を調べ、人目につきにくい場所を選んで行われることがほとんどです。
そのような犯罪が起こりやすい場所を子どもがひとりで通ることは、絶対に避けるべきです。
お子さんの行動範囲に、駐車場や人通りが少ない路地、人目を遮る草が生い茂った空き地や河川敷などはありませんか?
夏休み前に、お子さんと一緒に町を歩いて、確認してみてください。
▼ 「車からの声かけによる犯行」を回避するには?
声かけからの強引な手口を避けるためには、事前に危険を察知することも大事です。
停車中の車を見かけたときや、駐車場の横を通るときなどは、車に近づかず、大人が両手を広げたくらいの距離を置くようにしてください。道路状況によっては、安全な距離をとることが難しいこともあると思いますが、その場合は防犯ブザーを手に握って危険に備えるくらいの防犯意識を持っておくと良いと思います。
それだけで、「この子はやめておこう」となることも考えられます。防犯ブザーは、鳴らさなくても防犯抑止力になることがあるので、そういった活用の仕方をお子さんに教えておきましょう。
また、漠然と車とすれ違うのではなく、運転席に乗っている人の顔を見ることも大事。じっとこちらを見ていたり、急に窓を開けたりする様子が見られたら、違う道を通るようにしたほうがいいかもしれません。
もしも後ろをずっとついてくる車がいて不安に感じた時は、近くにある助けてくれそうな家やお店に入るか、道を変えることで、危険回避できる場合があります。逃げる場合には車と反対方向に向かうようにしましょう。「車はすぐに向きを変えられないからね」と、理由とあわせてぜひお子さんに教えてください。
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車からの声かけには「こういうパターンがある」「こういう場合に起こりやすい」という具体例に把握しておくと、いざというときに危険センサーが働きます。「子どもの安全ニュース」や声かけ事案の実態を確認して、防犯シミュレーションなどに役立ててください。
2014.07.17