「学校の防犯力」を確認しておきましょう
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セコムの舟生です。
学校は、子どもたちが元気にのびのび過ごせる場所。
その学校の防犯対策が、どのように運用されているかご存じでしょうか。2001年の大阪の小学校で起きた児童殺傷事件をきっかけに、全国の学校で防犯・安全対策の強化が進められてきましたが、校内や学校周辺での事件や事故がなくなることはありません。つい先日も、大阪の小学校前の路上で児童がナイフで襲われる...というショッキングな事件が起きたばかりです。
学校の防犯に限ったことではありませんが、既存の防犯設備や防犯グッズだけに頼るのではなく、さまざまな視点から起こりうる危険に予防線を張っておかなければならないと思います。そこで今回は、「学校の防犯力」を推し量るためのポイントをご紹介します。
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▼ 学校の弱点を補う対策が立てられているかを確認しましょう
学校には、多くの人がさまざまな用事で訪問します。子どもたちの学び舎である以外にも、選挙の投票所や避難所として利用されるなど、地域に開かれている側面もあります。学校をはじめ、敷地が広く人の出入りが多い施設は、どうしても防犯上の弱点があるものです。学校は、防犯上の弱点を補うために、さまざまな対策を講じているはずです。チェックポイントをまとめたので、学校でどのような対策を立てているか確認してみてください。
[チェックポイント:1] 校門の管理はどのようになっているか
校門に防犯設備を設置する学校が増えていますが、校門の施錠管理がきちんとなされているかどうかも非常に重要です。侵入防止には、出入口の集中管理が有効とされています。学校には、複数の門がありますが、必要性の低い門は常時閉鎖、施錠するなどして、来校者の出入口を絞り込む対策が重要です。
そのような対策が難しい学校では、教職員や警備員による見回りを頻繁に行うなど、代替策が用意されているかどうか確認しましょう。
[チェックポイント:2] 来校者チェックは十分か
インターホンによる来校者確認、受付での記名や名札の着用、教職員による受付対応など、重層的な来校者チェックが大切です。学校が来校者をどのような手続きで校内に入れているか確認してください。また、教職員が校内で見かけた来校者に「声かけ」をする習慣はあるでしょうか。あいさつしたり、訪問目的をたずねたりして、言動や様子をチェックすることも不審者発見につながります。そのようなことが習慣化されているかどうかも、学校側の防犯意識を確かめるポイントです。
[チェックポイント:3] 校内の視認性や領域性は確保されているか
防犯性を高めるためには、校庭や校舎からの見通しを確保し、死角となる場所をつくらないことが大切です。文部科学省による調査研究「学校施設の防犯対策について」でも、視認性や領域性を高め、犯罪を意図する者が心理的に接近、侵入しにくい状態にすることが重要であるとしています。たとえば、大通りに面していない門や、雑木林が隣接する一角などがあれば、人の目につかずに壁や柵を乗り越えて入ってくることも可能です。このような場所が学校内のどこにあるかを、教職員だけではなく、保護者や子どもたち自身もきちんと把握するようにしましょう。
見通しのいいフェンスや視界を遮らない植栽などで囲われ、またそれらがよく手入れされた状態の学校は、防犯意識が高いといえるかもしれません。
[チェックポイント:4] 校内の責任体制や非常時の通報システムは?
万が一、学校に不審者が侵入したときどうするか、どの先生にたずねても明確に答えられるでしょうか。教職員それぞれの役割分担や連絡体制が明確になっていることはもちろん、防犯意識の高い学校では、不審者に知られないように、他の教職員に知らせるサインやヘルプカードなどを準備しているところもあるようです。
非常時連絡用の通報システムが備えられていることも大切ですが、教職員の間で、共通の意識があるかどうかというのも、学校防犯という見地では重要なポイントです。
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今回お話したことは学校防犯の基本ですが、どの学校にも同じルールがあてはまるわけではありません。教職員と保護者がそれぞれの立場で協力し合い、学校の施設や環境にマッチした防犯対策をつくりあげていくことが理想です。
"学校まかせ"ではなく"当事者意識"を持つことで、よりよい対策が見つかるかもしれません。
2012.02.09