アンケート「東日本大震災後の子どもを取り巻く危険の変化に関する調査」をひもとく
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セコムの舟生です。
このブログでもご協力をお願いした「東日本大震災後の子どもを取り巻く危険の変化に関する調査」。セコムと子どもの危険回避研究所が合同で行ったアンケートで、東日本大震災直後の首都圏の親子(小学生・中学生)の状況をおうかがいする内容のものです。
6月25日~7月8日という短い募集期間でしたが、たくさんの方にご回答いただきました。この場を借りてあらためてお礼申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
今回は、アンケートの集計結果をひもといてみましょう。大震災の教訓を、ほかの家庭ではどのように生かしているのか。今後を考えるうえで非常に参考になると思いますので、ぜひご覧ください。
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▼ いざというときの話し合い、発生前からしていましたか?
皆さんは、東日本大震災のような大規模な災害が起きたとき、どのように行動すればよいかをご家族で話し合ったことがありましたか?今回のアンケートによると、「震災前、災害時などいざという時のことを家庭内で話し合っていましたか?」という質問に対して「話し合っていた」と回答した方は約39%。決して多い数字とは言えません。
それに対し、震災を経てから「非常時のことを家庭で話し合った」方は約87%。大災害の発生が、防災に関する意識や関心を、確実に向上させたことがうかがえます。
▼ 震災前の話し合いは、役に立ったのか?
震災前から「いざというときのことを話し合っていた」という、約39%の防災意識の高い方に目を向けてみましょう。防災前に話し合っていたことが「役に立った」と回答した方は約41%。話し合っておいてよかったこととしては、避難場所の確認や待ち合わせの方法 などが挙がりました。ここで、アンケートに寄せられた声の中からいくつかをご紹介します。
【話し合っていて、役に立ったこと】
・避難場所の確認をしておいたこと。
・地震が来たときは、近くの大人の人から離れないで、一緒にいること。これを約束していたので、すぐに子どもを見つけることができた。
・非常用持ち出し袋を家族の人数分用意してあるので、すぐ身に着けること。揺れている間は机などの下に隠れること。
・おかずを冷蔵庫に常備しているので、自分で用意して食べること。震災を振り返り、本当に役に立つ話し合いをしなくてはなりませんよね。地震があった日の混乱を思い出し、「決めておけばよかった」、「情報が足りなかった」と思うことは何か、あらためて考えてみてください。
▼ 震災後に決めた"わが家のルール"を拝見
東日本大震災の直後は、交通機関がストップしたり、電話がつながらなかったり...多くの方が大変な思いをなさったと思います。今回のアンケートでは、「震災後に子どもと"わが家のルール"を決めましたか?」という質問に対して約66%の方が「決めた」と答えています。その中からいくつかをご紹介します。
【震災後に決めた、"わが家のルール"】
・電話が通じないときは災害用伝言板を利用する。
・いざというときの帰宅方法や家族との連絡の取り方、親がいない時の待機場所を決めた。
・地震や火事の時の避難場所や、家族・親族の電話番号などを記載したものをカードにして家族全員が持つようにした。
・下校中に地震にあったら、家か学校かどちらか近い方に行くこと。"わが家のルール"として決めたこととして、連絡手段や安否確認に関するものが多かったのは、あの日の混乱や不安が念頭にあるからに違いありません。万が一のことを考え、家族の間で連絡が取れる方法を複数考えておくことが理想です。
また、子どもの行動をルール化した方もたくさんいらっしゃいました。親がそばにいなくても、子どもが迷わず判断できるようなルールを決めておくことはとても大切です。
▼ 震災から1週間、役に立ったものは?
震災からしばらくは、停電や物流の停滞など首都圏でも不自由なことがありました。そんな混乱の中で、「これはうまくいった、役に立った」と思うものがあった方は約39%。電話回線が不安定だったため、SNSが連絡手段として有効だったことを挙げている方が見られました。そのほか、子ども用のヘルメット、電池式のラジオ、ワンセグつきのパソコンなどが挙がっています。
停電時にも使えるラジオ、電話がつながらない中でのインターネットは、今回の震災で役に立ったことがわかっています。しかし、次に震災が起きたときも同様に使えるかどうかはわかりません。アンケート結果を参考に、なるべくいろいろな手立てを考えておけるといいですね。
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アンケート結果から見えてくるのは、「あの日、どうすればよかったのか」、「これからどうしたらいいのか」という、保護者の方の真摯な思い。このアンケートの詳しい結果はこちらで確認できますので、興味のある方はぜひご覧になってみてください。皆さんのご家庭でも、もう一度、いざというときのことを話し合ってみてはいかがでしょうか。
2011.09.29