[ヒヤリハットを見過ごすな]チャイルドシートを着用しても命の危険が!?
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セコムの舟生です。
実際に起きた「不慮の事故」に注目し、子どもたちの身近にある、見過ごされがちな「危険の芽」を早期に発見し、子どもの安全に役立てるための新シリーズ・[ヒヤリハットを見過ごすな]。
ちょっと目を離したすきに。
短時間だからと油断したら。
いつもはこんなことしないのに。このような言葉で語られることが多い、不慮の事故。
事故が起きた状況を詳しく知り、危険認識と予防意識を持つことができれば、「思いがけない事故」ではなく「回避できる事故」になるはずです。
ぜひ多くの保護者の方に情報を共有していただき、不慮の事故からお子さんを守っていただきたいと思います。
今回は、シリーズ・[ヒヤリハットを見過ごすな]の初回として、車の「チャイルドシート」に潜むヒヤリハットを取り上げます。
「チャイルドシートを着用していても、命に危険が及ぶ可能性がある」ということを認識するところから、お話をはじめましょう。
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▼チャイルドシートの約6割が正しく使われていない現実
警察庁などが今年4月に実施した調査によると、6歳未満のチャイルドシートの使用状況は、約6割。残りの4割は、車両シートにそのまま着座、保護者の抱っこなど、チャイルドシートが使われていませんでした。危険意識の高まりとともにチャイルドシートの使用率は少しずつ上昇しているものの、約4割が未使用という現状は、決して喜べる状況ではありませんね。
また同じ調査で、チャイルドシートを使用していても、安全だとは言い切れない結果も出ました。
実際に使われているチャイルドシートのうち、実に6割以上が正しく取り付けられておらず、4割近くがベルトの締め付け不足など、不適切な使用状態だったということです。
▼ チャイルドシートの使い方が不適正だと死亡重傷率が急上昇!
国土交通省がおこなった実験によれば、チャイルドシート未使用者の死亡重傷率は使用者の約2.2倍。
チャイルドシートの不適正な使用者の死亡重傷率は、適正な使用者の約4.5倍でした。チャイルドシートは正しく着用しないと、子どもを守る効果がありません。
事故の衝撃が加わると、着用していない場合と同様、子どもが外に投げ出される事態も起きうるのです。
消費者庁に寄せられた、チャイルドシートのヒヤリハットをご紹介しましょう。
> 1歳の子どもを後部座席のチャイルドシートに乗せて車を運転していた時、シートベルトが緩かったようで、子どもがチャイルドシートから出てきた。車を停めてきちんと座らせようとしたところ、交差点で横から車が出てきたので、急ブレーキを踏んだら、子どもがダッシュボードまで飛んで、頭を強打した締め付けが緩かった、ベルトがきちんとはまっていなかったなど、子どもを座らせた際に見落としていたことが、大きな危険につながることがあるということがよくわかりますね。
チャイルドシートを使っていても油断せず、毎回しっかり安全点検をおこなうことが大事です。
▼ 年齢にあったチャイルドシートを選び、着座時は毎回チェック!
チャイルドシートは、乳幼児用、幼児用、学童用の3種類が販売されています。
子どもの体を安定させ、保護する役割ですから、体に合っていることがとても重要です。「すぐに大きくなるから」「あと少しの間は...」と大きすぎたり、小さすぎたりするチャイルドシートを利用することが子どもの命に関わる可能性があるのです。
思いがけない事故のかげには、いつも「油断」があることを思い出してください。□ チャイルドシートは座席にしっかり固定されているか
□ 肩ベルトは子どもの肩の高さにあっているか
□ ベルトはしっかりと留め金に固定されているかこれらのチェックは、子どもを座らせるたびに必ず行っておきたいものです。
使用している製品の取扱説明書に従い、安全点検を怠らないことが非常に大事。もしベルトの緩みなどを発見したら、それがヒヤリハット。
いつか大きな事故につながるかもしれない「危険の芽」です。不安がある場合は、自動車専門店で定期的にチェックしてもらうと良いと思います。
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乳幼児の場合、チャイルドシートの締め付けを嫌がり、泣いてしまうお子さんも多いですね。
けれども、「運転中はチャイルドシートに座るもの」ということを、子ども自身にも覚えてもらわなくてはなりません。
厳しいようですが、短い時間から始めて、少しずつ慣らしていくようにするしかありません。抱き上げてなだめる必要があるなら、必ず安全な場所に停車してからにしてください。
あまりにも泣く場合は、締め付けすぎやどこかに違和感があるなども考えられます。先を急ぐ気持ちにとらわれず、「もしや」を考えて行動することが、事故から子どもを守ります。
子どもを車に乗せる際は、手間や時間を惜しまずに、子どもとチャイルドシートにしっかりと向き合うことを忘れないようにしましょう。2014.09.22