統計データから見る「連れ去り事件」の意外な事実
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セコムの舟生です。
12月に入り、今年も気が付けばあと残りわずかですね。この1年を改めて振り返ってみると、残念なことに今年も各地で子供が被害に遭う事件が多数発生しました。特に9月に連続して発生した事件は社会に衝撃を与え、そのうち1件はまだ未解決という状況です。
年末年始を迎える前に、ここでもう一度子供の「連れ去り事件」の傾向について、警察庁発表のデータを元におさらいしてみたいと思います。
警察庁が発表した「平成20年上半期の犯罪情勢」によると、刑法犯に関わる子供(20歳未満)の被害件数は12万8,500件で、刑法犯被害件数に占める子供の割合は18.3%となっています。
子供の被害件数を主な罪種別でみると、窃盗が10万9,758件と最も多く、ついで暴行、傷害、強制わいせつ、恐喝などとなっています。
また子供が被害者となる割合の高い罪種についてみると、誘かい(67.9%)、強制わいせつ(52.5%)、公然わいせつ(52.0%)、強姦(43.8%)、恐喝(41.9%)などが、刑法犯被害全体に占める子供の割合(18.3%)よりも高くなっています。
子供の被害の割合が最も多い誘かいについて、就学別に昨年度と比較してみると、未就学・小学生では件数が減少しているのに対し、中学生以上では増加しています。
連れ去りは小さい子だけがターゲットと思われていますが、中学生以上も多く狙われているのです。実際、年齢別の男女別の内訳を見てみると、小学から中学・高校の年齢層の女の子が最も被害に遭っています。
また、5歳未満については実は男の子の方が多く被害に遭っています。従来、「連れ去りの目的=身代金」という認識がありましたが、最近はお金ではなく、「子供そのもの」をターゲットとし、いたずらやわいせつを目的とした連れ去り事件も多発しています。単に道を歩いていたら可愛い子がいたから、などという動機で連れ去り事件が起きているのです。
ですから、連れ去りは「お金持ちの家の女の子」だけが狙われるのだと思い、「うちは男の子だから」「うちにはお金がないから」などと安心することなく、すべての子供が狙われる可能性があるのだという認識を持って、十分に注意してください。
また、この子供対象の誘かい事件を発生場所別に見ると、圧倒的に道路上が多くなっています。お子さんの通学路や、よく行く遊び場への道について、見通しの悪いところ、人通りの少ないところ、街灯がなく夜は非常に暗い道など危ないところがないかもう一度親子で確認しましょう。
年末の準備でお出かけすることも多くなり、あわただしさや人の多さから子供への注意が散漫になりがちです。
もう一度、親子で危険性の確認を行って、楽しい年末年始を迎えましょう。
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