経営情報
MANAGEMENT INFORMATION
海外での事業展開

セコムは、1978年に台湾へ進出して以来、海外事業の拡大を続け、現在は15の国と地域で、緊急対処サービス付オンライン・セキュリティシステムを中心に、市場ニーズに合わせた多様なサービスや商品を提供しています。
各国での取り組み
台湾では、業界最大手として現地証券取引所に株式を上場する中興保全科技股份有限公司が、大型施設の安全管理システムからホームセキュリティまで、幅広いサービスを提供しています。また、クラウド・AI・IoTといった最新技術を積極的に導入し、サービス品質の向上に努めています。
韓国では、現地証券取引所に株式上場する(株)エスワンが、マーケットリーダーとして、オンライン・セキュリティシステムを中心に、市場ニーズに合った高付加価値サービスを提供しています。韓国全土に配置している緊急発進拠点からの迅速な緊急対処がお客様から高く評価され、契約が拡大しています。
中国では、沿海部から内陸部までセキュリティ拠点のネットワークを構築していますが、近年のビジネス環境の変化を受けてグループ編成を見直しながら、お客様のニーズを迅速にとらえ、新商品の発売につなげています。

成長期待の高い東南アジアを重点地域と位置づけ、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、ベトナムにおいて、オンライン・セキュリティシステムなどの普及拡大を進めています(詳細は後述)。

オーストラリアでは、高品質なサービスの政府機関への提供実績を強みに、大手銀行や大型商業施設など民間企業に加え、連邦政府機関からも継続的に受注し、業績が堅調に推移しています。ニュージーランドでは、セキュリティサービスや保守点検サービスを提供しており、特に高性能な監視カメラシステムが大手スーパーマーケットや銀行から高く評価されています。

トルコでは、幅広いお客様に安全管理システムをはじめとするセキュリティサービスを提供し、同国内で着実にプレゼンスを高めています。
英国では、セコムPLCが英国全土で高品質なオンライン・セキュリティシステムなどを提供し、政府機関、大手銀行や鉄道会社などセキュリティ意識の高いお客様から高評価を得ています。2024年7月からはアイルランドにも事業展開しています。
「ANSHIN」を世界の共通語へ
セコムは、持続的な成長に向けて市場ポテンシャルの大きい海外事業の強化を「セコムグループ ロードマップ 2027」の重点施策の一つとして掲げ、連結の純売上高および営業収入に占める海外事業比率10%をめざし、既存ビジネスの深耕とともに、未進出地域や新規分野への事業展開に取り組んでいます。特に富裕層や中間層の増加が著しい東南アジア地域におけるセコムブランドの浸透に注力しています。
タイでは、積極的な広告宣伝キャンペーンを展開し、ブランドの認知度向上に取り組んでいます。また、タイやインドネシアで、デジタルマーケティングを推進し、顧客データを分析してお客様に最適なセキュリティシステムを提案し、拡販と顧客満足度の向上につなげています。
現地のニーズに合致したシステムも拡充しています。タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ベトナム、英国では、クラウドを活用したインタラクティブなセキュリティシステムの提供地域を拡充し、他国への展開も進めています。加えて、タイで社会課題となりつつある少子高齢化をとらえて、2024年3月に高齢者向けの見守りサービス「セコム・スマートセキュリティ・ケア」の販売を開始、同年7月にマレーシアでも同様のサービスを販売開始しました。さらに、AIカメラを活用したモニタリングサービスの提供を推進しています。

SI(システムインテグレーション)能力を高め、大規模施設への高度なセキュリティの提供にも努めています。近年、シンガポールやマレーシアでは、大型データセンターのセキュリティ案件を新規獲得しています。また、オーストラリアでは、大規模なSIの受注経験を生かして継続受注につなげています。
他方、新たな成長基盤の構築や中長期的シナジーの追求による事業拡大のために、成長分野への投資にも注力しています。北米を中心にVSaaS※1事業を展開するEagle Eye Networks社とACaaS※2事業を展開するBrivo社に出資し、両社のクラウドベースのセキュリティシステムを、セコムの既進出国で活用しはじめています。さらに米国市場などにおける新たな事業展開の可能性について検討しています。
2025年7月には、APAC※3やEMEA※4を中心にグローバルセキュリティSI※5事業を展開するAVTEL社を完全子会社化することに合意しました。今後、AVTEL社が扱う世界中の主要なセキュリティシステムのラインアップを活用し、海外事業の成長加速、グローバル企業の日本拠点との取引拡大を図っていきます。
セコムは、「あらゆる不安のない社会の実現」をめざし、市場拡大が見込まれる海外市場でのさらなる成長に向けて、次世代管制やITセキュリティといった事業基盤や、法令遵守、経営モニタリング強化、人財の確保・育成など経営基盤の強化を図りながら、セコムブランドを世界に浸透させ自律的成長を加速するとともに、新たな地域や事業領域への展開を推進し、「ANSHIN」が世界の共通語となるよう取り組んでいきます。
- 1 VSaaS (Video Surveillance as a Service):監視カメラ映像をクラウド上でアクセス・管理・解析するサービス
- 2 ACaaS (Access Control as a Service):ご契約先のアクセスコントロール端末をクラウド上で制御・管理するサービス
- 3 APAC:日本を含む東アジア、南アジア、東南アジア、オセアニアのアジア太平洋地域
- 4 EMEA:ヨーロッパ、中東およびアフリカ
- 5 グローバルセキュリティSI:世界各地で事業展開するグローバル企業から、国・地域を跨いで統一した入退室管理システムや監視カメラ等のセキュリティシステムの導入コンサルティング、販売、工事等を請け負うサービス




















