秋の行楽シーズンにも注意したい、子どもの食中毒
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セコムの舟生です。
日に日に秋らしい気候になる9月から10月。
気温が少しずつ下がって、過ごしやすい季節になりますが、実は毎年この時期にも食中毒が多く発生しています。
9月に入ってからも、宿泊施設や飲食店などで集団食中毒の被害が報告されていますし、腸管出血性大腸菌O157による食中毒で、3歳の女の子が亡くなったというニュースに衝撃を受けた方も多いと思います。ご家族の悲しみを思うと、いたたまれません。
子どもは大人よりも重症化しやすいため、特に注意が必要です。
初秋の食中毒予防について、正しい知識をおさらいしておきましょう。
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▼ 9月、10月は細菌性の食中毒に注意
厚生労働省の統計によると、昨年は9月に727人、10月に1,109人の食中毒患者が発生しています。
冬場はノロウイルスなどのウイルス性の食中毒が多くなりますが、この時期に多いのは細菌性の食中毒。
カンピロバクター、サルモネラ菌、ブドウ球菌、ウェルシュ菌などによる食中毒が多く、O157に代表される腸管出血性大腸菌も発生しています。
<この時期に多い食中毒>
・カンピロバクター
細菌性食中毒の発生件数の6割を占めています。
牛や豚などの腸管に生息している細菌ですが、なかでも鶏肉による食中毒が多く、厚生労働省の調査によると、市販の鶏肉の約4割がカンピロバクターに汚染されていたそうです。
鶏肉の生食や、加熱調理が不十分な鶏肉料理などで感染が多く報告されています。
・サルモネラ菌
自然界に広く分布している細菌で、牛や豚、鶏の食肉のほか、卵から感染することが多いです。
犬や猫なども保菌しているため、ペットに触れた手で調理することで感染することも考えられます。
また、子どもは卵の生食は避けたほうが安心です。
・ブドウ球菌
人の皮膚にもいる細菌で、手に傷口やささくれなどがあると、食べ物が汚染される可能性が高くなります。
おにぎりやお弁当など、人の手が触れたものでの感染報告が多く、ハムやかまぼこなどの加工食品、牛乳やクリームなどの食品が原因になった例もあります。
・ウェルシュ菌
動物や人の腸管や、土壌や下水などに生息する菌で、空気がない場所で繁殖し、時間が経つと長時間の加熱にも耐える「芽胞」を形成します。原因になることが多いのは、大量調理されたカレーや煮物など。大鍋でつくると鍋底まで空気が入りにくいので菌が繁殖しやすく、一度にたくさんの患者が出ることが多いそうです。
・腸管出血性大腸菌
牛や豚などの腸内にいる病原性大腸菌で、O157のほか、O111などの感染も多くなっています。生肉や加熱不十分な肉を食べることで感染しますが、特に牛肉の発生頻度が高くなっています。
毒性が高いため、子どもは高齢者では重症化しやすく、死に至ることもあります。
細菌が付着した食材からの感染だけではなく、まな板や包丁、菜箸などの調理道具や、手指から細菌がうつる「二次汚染」が原因になることもあるので、調理の際には注意したいですね。
▼ 食中毒予防の三原則「つけない」「増やさない」「やっつける」
食中毒を防ぐには、食中毒予防の三原則「つけない」「増やさない」「やっつける」を守ることが必要です。
「つけない」
・調理前や食事前には石けんで手をよく洗う
・肉や魚を扱った調理器具はこまめに洗う。手も石けんで洗う
・生肉をつかむ箸と焼けた肉をつかむ箸は別々にする
・加熱しない食べ物は先に調理し、加熱が必要な食材のそばに置かない
・野菜などの食材は流水できれいに洗う
「増やさない」
・生鮮食品はすぐに冷蔵庫に入れる
・食材や料理を常温で長時間放置しない
・調理後はなるべくすぐに食べる
「やっつける」
・食材はしっかり中まで火を通す(中心部を75℃で1分以上)
・温めなおしのときも十分に加熱する
・まな板やフキンなどは使い終わったら消毒する(熱湯や台所用漂白剤による殺菌のほか、直射日光にあてて乾燥させることも効果的)
手洗いは、水だけではなく石けんを泡立てて洗い、流水でよく流すことが重要。
指先や爪の間、手の甲や手首もしっかりと洗いましょう。
手を拭くタオルからの二次感染も考えられますので、タオルの清潔を保つことも心がけてくださいね。
▼ お弁当やバーベキューでの食中毒を防ぐには
お弁当は時間が経ってから食べることが多いので、食中毒の原因になる細菌が繁殖してしまうことがあります。お弁当箱の中に細菌をなるべく持ち込まないことが重要です。
お弁当箱は熱湯消毒やアルコール消毒で清潔にし、前日につくったおかずは詰める前に再加熱しましょう。かまぼこやハムなどそのまま食べられるものも、一度火を通したほうが安心です。
また、おにぎりはラップを使って握る、おかずを詰めるときは清潔な箸を使うなど、食材に直接手が触れないようにしましょう。
お弁当は完全に冷めてからフタをし、保冷剤と一緒に保冷バッグなどに入れて、食べるまで低温を保つことも忘れずに。
バーベキューでは、細菌の付着した食材を十分に加熱しなかったことが原因で、食中毒になることが考えられます。肉類は特にしっかりと火を通し、野菜は流水でよく洗って、できれば加熱したほうがいいでしょう。
また、調理に使ったトングや箸は、とりわけや盛り付けには使わないようにして、二次感染を防ぎましょう。
屋外でカレーなどの煮込み料理を大量につくるときは、鍋底までよく混ぜて空気を入れること、できたらなるべく早く食べることで、食中毒のリスクを減らせます。
バーベキューでは、普段料理をしない人がつくることもあり、食中毒についての知識が不十分な場合があります。
事前に、注意することを確認しておくといいかもしれませんね。
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夏場はお弁当などの食中毒対策を徹底していたご家庭でも、涼しくなってくると少しおろそかになってしまうことがあるかもしれません。
この時期もまだまだ細菌が繁殖しやすいことを念頭におき、「つけない」「増やさない」「やっつける」の対策をおこたらないようにしましょう。2017.09.21